この記事はプレミアム会員限定です

決算・修正履歴はこう読む! すご腕投資家に聞く『株探プレミアム』の使い方~DAIBOUCHOUさんの場合 第1回

特集
2019年9月26日 10時30分


株探プレミアム・リポート

真弓重孝 = みんかぶ編集部・編集統括プロデューサー

ビジネス誌、マネー誌などをへて、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。

すご腕投資家さんは、情報分析に『株探』そして有料サービスの『株探プレミアム』をどのように使いこなしているのか?

『株探』を始め『会社四季報オンライン』や『ヤフーファイナンス』など各種の投資情報サービスに精通しているDAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム)に、2回にわたって『株探』『株探プレミアム』ならではの使いこなし術を聞いた。

第1回目は、「長期業績データ」「四半期決算情報」「業績修正履歴」などについて解説してもらった。

(聞き手は真弓重孝 = みんかぶ編集部・編集統括プロデューサー)

*本記事はプレミアム専用コラムですが、無料会員の方も全てご覧いただけます。

DAIBOUCHOUDAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム・40代・男性)のプロフィール:

投資歴約19年で、現在は専業投資家。2005年前後には不動産株への集中投資を行い、200万円を一時10億円にまで、まさに「大膨張」させた実績のあるすご腕。その後のライブドア・ショックで5億円に、リーマン・ショックの頃には資産は約2.5億円に減ってしまったことから、特定セクターに集中し、銘柄数を絞った割安成長株狙いの戦略を転換。セクター分散し、収益のほかに資産面での割安株や、配当や優待狙いも加え、100銘柄以上を保有して、資産を守りながら増やす投資を心掛ける。現在の資産は不動産3億円を含めると、総額6億円ほど。

*イラスト:福島由恵

――DAIBOUCHOU(以下、DAI)さんが、『株探』を使い始めたきっかけを教えていただけますか。

DAIさん: 2017年5月に有料サービスの『株探プレミアム』が始まった頃には、かなり使うようになっていました。それを考えると2015年もしくは2016年の頃から『株探』を活用するようになったのではないかと思います。

閲覧するようになったきっかけは、ツイッターで『株探』に掲載された決算速報をつぶやいている人がけっこういて、それを見て自然に使い始めた感じですね。

――『ヤフーファイナンス』や『会社四季報オンライン』など他のサービスと比べて、『株探』で良くご覧になる情報はありますか。

DAIさん: 『株探』は四半期業績が昔から表示され、季節要因の有無や業績修正の可能性を把握しやすい点が重宝していました。

■『株探』に掲載している四半期決算情報(三井倉庫ホールディングス <9302>

タイトル

――それらは、他社の情報サービスと比べて充実していたのでしょうか?

DAIさん: 例えば『ヤフーファイナンス』は、『株探』と比べると長期の業績推移を確認できません。そのため、業績よりは「掲示板」で、投資家がどんなことを思っているのかを知るのに活用していました。

『四季報オンライン』は非常に便利で、業績推移も通期ベースでは確認できます。しかし、四半期業績がどうなっているのかは、『株探』ほどすぐには出せません。ファンダメンタルズ情報で銘柄を選ぶ立場からすると、例えば第2四半期時点で通期予想に対する進捗がどのようになっているのかは、大切な情報です。

進捗が良くて上方修正しそうなのか、それとも進捗は悪いけれども下期に挽回できそうなのか。それらを自分なりに分析した上で今後の方針を決めることができるのと、できないのとでは、運用成績に大きく関わってきます。

『株探』の場合、会社の業績予想も表示されるようになったこともあり、例えば進捗率が良い銘柄が上方修正するとしたら、いつ頃なるだろうかというメドを立てることも、以前よりやりやすくなっています。

景気が悪い時の業績がどのようだったのかは重要な情報

――DAIさんのように、ファンダメンタルズを分析して銘柄選びをする投資家さんにとっては、

業績を長期にわたって検証できる、
四半期ベースでの変化が確認できる 、というのはとても重要なことなのですね。

DAIさん: その通りです。他のサイトでは、長期業績が掲載されていても、5年くらいが一般的ではないでしょうか? 今年は2019年ですから、業績の表示期間が5年の場合、2014年からの推移は確認できます。この5年は実感があまりないですが、国内景気は拡大基調を維持しています。

景気が良い時の業績も大切ですが、私のように長期投資を基本戦略に据えている投資家の場合は、2008年から2009年に起きた景気後退期の業績の方が重要になります。景気が後退していても業績が伸長ないし落ち込みの少ない企業は、収益構造に大きな変化がなければ、今後の景気悪化期も業績の持ちこたえを期待できます。

タイトル

それらを見極める上では、最低でも10年分の業績情報が必要ですね。10期以上の通期業績が確認できる情報サービスは、『株探』の有料版である『株探プレミアム』以外にも、『会社四季報オンライン』の有料版があります。またマネックス証券の『銘柄スカウター』も最近、対応しています。

『株探プレミアム』の場合、これまで最大20期分のデータを確認できましたが、今年の夏から最大25期に拡大しましたね。それによって、2000年後半から起きた景気後退時期の業績動向も把握できるようになったので、より深い分析ができるようになりました(参考)。

たまたま良かったのか、実力なのかを長期データで見極める

――通期のみならず四半期決算でも、長期での確認が必要なんですね。

DAIさん: 過去1年の四半期業績しか見られないと、その時期の四半期業績がたまたま良かったのか、それとも逆に悪かったのかがよくわかりません。最低でも2年以上の四半期を見なければ、一時的な要因によるものか、構造的なものなのを掴むことはできません。

また業績修正の有無や修正時期の見極めにも四半期決算の情報は重要です。例えば、これから第3四半期の決算が来る銘柄があるとします。仮に前年の第3四半期決算が非常に良すぎると、今期はその反動で減益になる可能性があります。

前年同期でマイナスになると、いくら前年の反動減であろうと、失望売りにさらされてしまうことがあります。それを踏まえると、これから新規に、もしくは追加で購入する場合、第3四半期決算後の株価の動きを見てからの方が良さそうですよね。

逆に前年の第3四半期が冴えず、今期の第3四半期決算のハードルが低いケースもあります。増収率ないし増益幅が非常に大きくなる可能性があり、そうなった場合は、見た目の良さから株価が上昇する可能性があります。

たった3カ月の決算では、本来の力は計れませんが、ともかく株価が一時的でも反応しそうなら、いわゆる「決算プレイ」をして短期で利益を稼ぐようなこともできますね。

■『株探プレミアム』で表示される最大25期分の通期業績(ソニー <6758> の場合)

タイトル

長期の業績で景気が悪い時も耐性があるストック・ビジネス銘柄を探す

――DAIさんのようなファンダメンタルズ重視の長期志向の投資家さんの中には、安定収益を稼ぐ「ストック・ビジネス」を持つ銘柄に注目する人が多いですよね。ストック・ビジネスを持つ銘柄なのかの確認に、長期業績のチェックは欠かせないのでしょうか?

DAIさん: そうですね。まず長期投資家の多くがストック・ビジネス銘柄に注目するのは、先程も話題にしましたが景気の悪化時にも業績への影響が受けにくい可能性が高い。今流行りのサブスクリプションなど定期的に収入を稼ぐ事業は、いったん使い始めると止めにくく、使い続けられる期待を持てます。

その見立て通り、安定収益を稼ぎ続けているかを確認するには、やはり長期の業績が見られないといけません。通期業績はもちろん、四半期業績で季節性などを踏まえておかないと、例えば業績の勢いが衰えた時に、ストック・ビジネスに陰りが出てきた構造要因による業績悪化なのか、それとも季節要因で悪化したのかがわかりません。

――そのほかに評価していただいている点はありますか。

DAIさん: 『株探』は簡単にさっと見られるのも便利ですね。例えばオフ会での場で、議論にしている銘柄の業績や株価の動きを30秒くらいでチェックしたいときに、すぐに決算のページやチャートを出すことができます。

クッキを有効にしていれば、すぐにログインでき、見たい銘柄のページに飛んで、「決算」タブを押せば、様々な業績情報が見られるようになっている点では重宝しています(上の図参照)。

――『株探プレミアム』の税込み料金は月額で2000円を超えています。高いと感じる人もいるかと思いますが、DAIBOUCHOUさんは、支払うのに躊躇する金額とは感じなかったでしょうか?

DAIさん: 私にとっては、2000円の利用料で、2000円以上の売買手数料の無駄を削減できれば良いかなと思っています。仮に100万円投資して月2000円、年間2万4000円を稼ぐとなると年間で2.4%なので、そんなに難しくないと思いますね。

あとは有料会員にならないと見られないコンテンツも最近は充実していますから。無駄だと思ったことはないですね。

業績予想の修正履歴で銘柄のクセを読む

――『株探プレミアム』では、業績の推移と共に、過去に遡って業績予想の修正履歴を確認できるのが特徴です。こちらは活用されていますか?

DAIさん: 決算の数字を見るだけではわからないことが見えますよね。業績予想の修正履歴を見ると、その会社が常に弱気予想を出していて、第2四半期で上方修正するとか、そういう傾向がわかるんですね。

そうなってくると、本決算の時はいつも弱気予想を出して株価が下がるから、「決算発表をまたいで持ち越さないようにしよう」といった計画も立てられます。第2四半期で上方修正する傾向があれば、それを狙って「ちょっと多めに買おう」というそういう作戦もできますね。

またある銘柄が第1四半期で上方修正したとします。最初の3カ月決算で修正するというのは、足元の事業環境が絶好調で、これは強気にかまえていいのではないかという考えもできます。そのほかにも、常に実績のプラス10%で予想を出しながら、それでも上方修正するという銘柄を過去の動きから探ることもできます。そうした銘柄も基本は、強気に構えてられますよね。

一方で、いつも期初に強気の予想を出しながら、本決算直前で下方修正する傾向が強い銘柄もあります。そういう場合は、「期初の予想はあまり当てにしないようにしよう」と考えられますね。

■『株探プレミアム』で確認できるアバント <3836> の業績予想の長期修正履歴

タイトル

――先日『株探プレミアム』の専用コンテンツ(参照)でご協力いただいたアバント <3836>は、本決算が出る直前に上方修正をする傾向のある会社でした(上の図)。アバントのこうした特色も、買われる際に『株探プレミアム』で調べていたのですか?

DAIさん: はい。同社の場合、おそらく予算を立てる時には受注を見込んでいなかった案件が、決算期近くの3月頃に飛び込んでくるんだと思うんですね。そういった案件を受注でき、業績が積み上がって、結果的に良くなるとか。

あとは、費用を保守的に見積もったのだけれど、計上せずに済んだとか。いろいろな事情はあると思うのですが、社風や事業の特徴・特色がそういう傾向を作り出しているのではないでしょうか。

――修正履歴からは、その会社の決算見通しに対する傾向を掴み、そして業績の勢い(モメンタム)がどの程度のものかを計ることで、売買のタイミングを決めることができるのですね。

DAIさん: そうですね。他にも、その事業の特色や経営者の性格などですね。そういったものが、業績予想の修正履歴でわかるのでは。下方修正をした後などは、比較的、保守的に予想を立てる傾向があると思っています。

アバントも一時期、ERP事業の失敗などで不採算事業を抱え、下方修正していました。そういった業績が悪くなった時もあったので。おそらく、そういった経緯もあって通期決算を閉める直前に上方修正するような保守的な予想を立てる傾向ができたのかもしれないと仮説を作ったりしていますね。

次回に続く

『株探プレミアム』で掲載したDAIBOUCHOUさんに関する記事は以下をクリック!

【すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技】

第1回第2回第3回最終回

【大荒れでも全額投資を続ける!~「フルインベスター3人衆」座談会】

第1回第2回第3回最終回

【すご腕投資家が注目企業を直撃~アバント編】

第1回第2回最終回

株探ニュース

 

 

こちらは株探プレミアム限定記事です。プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む (初回無料体験付き) プレミアム会員の方はこちらからログイン
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
株探プレミアムとは

日本株

米国株

PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.