復活の第1章突入へ、大駆け低位株「変身前夜の5銘柄」 <株探トップ特集>
―雌伏の時を経て本格的な上値追いチャンス到来、株高材料を搭載する低位株精選―
9月、10月相場で強力な上昇波を形成した東京株式市場だったが、名実ともに11月相場入りとなった1日の市場は気迷いの色をみせた。その前日の米株安や為替の円高が上値の重石となり、3連休前ということもあって買いの勢いが止まった。ただ、売り圧力は限定的で下値抵抗力も発揮している。3月決算企業の中間期決算発表については、外需株中心に厳しい内容が目立つが、投資家サイドとしては米中摩擦の影響に対して最初から身構えていた部分もあり、全体相場を波乱に誘導するような動きは今のところみられない。
●個人投資家マネー回帰で変わる市場
3連休明けの5日は変化日ということもあり、売り方としてはこれまでの強調相場の波紋の変化に期待したいところであろうし、買い方としては総論弱気に与みしないまでも、ややポジションを軽めにしておきたいというのが本音であろう。ただし、個別株の動きは全体指数とは別次元だ。流動性相場の再来を背景とする個人投資家の信用余力の高まりが、材料株物色意欲を日増しに高めている。前に進むにあたって課題となるのは、決算発表という氷山をいかにかわして有望株を選別し、機動的な投資を実践するかということだ。
20年3月期上期の国内企業業績は2ケタ減益というのがコンセンサスであり、通期予想についても為替を厳しめにみて、外需企業中心に今後も下方修正の動きが少なからず出ることが想定される。しかし、マーケットは企業のガイダンスリスクについても相応に織り込んでいるフシがある。既にこれまでの相場の動きでそれは裏打ちされている。したがって、この決算発表シーズン通過後に焦りを覚えるのは買い方ではなく、むしろショートポジションを取っている側ということになる。相場の体感温度が高まることで、材料株物色の流れも一気に加速していく公算が大きい。
●長期トレンドで底値離脱に動く低位株
では、どこに照準を合わせるか。株価が低位に位置している銘柄は、個人投資家の心情として基本的に買いやすさがある。安く放置されている理由は目先の決算に対する懸念であり、今期業績見通しに対する不安でもあるが、米中対立によるケガの功名でマーケットの視点が来期の回復に向いているとすれば、それらは怖くなくなる。総論として企業のガイダンスリスク恐れるに足らずというムードが醸成されてくることで、材料性を伴う低位株は吹っ切れたように上値を追うことになる。
今回は株価押し上げ材料に事欠かない中小型株の中で、低位株の範疇に属する銘柄を選出。ぜひ、株探の週足チャートを用いて過去2、3年さかのぼったタームでこの5銘柄の全容を眺めてほしい。ここでの上昇は復活の第1ステージに立ったに過ぎないということが良く分かる。
●復活の狼煙上げるこの5銘柄に要注目
【リブセンスは人材分野で活躍、需給相場の芽も】
リブセンス <6054> は10月18日にマドを開けて底値圏を上放れ、300円近辺で三角もち合いを煮詰まらせており、ここから大勢2段上げに向かう可能性が高まっている。
求人情報サイトを運営するが、構造的な人手不足や政府が推進する働き方改革が追い風となっている。成功報酬型ビジネスモデルを特長とするアルバイト求人サイト「マッハバイト」は広告出稿が増勢。19年12月期業績は営業利益段階で前期比23%増を見込んでいるが、不動産情報メディアでは「DOOR賃貸」を売却し、10~12月期に17億5000万円を特別利益に計上する見込みにある。
注目すべきは株式需給だ。18日の急動意を契機に売り残が急増し、株価低位にも関わらず信用倍率は1.1倍台と拮抗、日証金では貸借倍率0.9倍台で逆日歩がついた状態(貸株注意喚起対象)にある。滞留出来高面から300円台から上は真空地帯で意外高に進む可能性を内包している。<急騰性3・中長期的上値余地4>
【ダイトーケミは半導体用感光材で戻りの緒に就く】
ダイトーケミックス <4366> [東証2]は目先急動意し400円台に歩を進めているが、急騰力抜群で天井も高く、中長期スタンスで絶好の仕込み場となろう。
感光材料のトップメーカーであり、半導体向けで需要を捉えるほか、医薬中間体、イメージング材料などにも展開する。ここにきて半導体市況の底入れ観測が同社にとって追い風として意識されており、水準訂正相場に火が付いた株価中低位の半導体関連物色の波に乗ることが予想される。
今週10月29日の取引時間中に19年4-9月期の決算を発表したが、会社側従来計画を上回る内容で20年3月期の営業利益を5億円から5億5000万円に上方修正、これを手掛かり材料にストップ高に買われた。上方修正後でも前期比3割減益となるが、半導体関連は回復の兆候が見えると株価は急速に底入れの動きをみせるのが通例。同社株は1996年に2890円の上場来高値、最近では2017年1月に1059円の高値をつけており戻り余地が大きい。<急騰性5・中長期的上値余地3>
【藤コンポはMg電池&半導体で急騰DNA内在】
藤倉コンポジット <5121> は400円台前半で売り物をこなしジリジリと水準を切り上げてきたが、ここからスケールの大きい上昇局面に向かう可能性がある。
ゴム引布加工品などを主力に産業用資材を手掛けるが、ポスト・リチウムイオン電池関連として高い人気性を内在させている。現在は非常用マグネシウム空気電池「WattSatt(ワットサット)」を手掛け、スマートフォン向け災害時対応商品として好調に受注を伸ばしているが、スマホにとどまらず将来的な商品展開力に思惑が膨らむ。 半導体関連の制御機器については世界的な半導体設備投資需要の回復が、今後追い風要因として注目される。
20年3月期は営業利益段階で前期比64%増の15億円を見込む。これは米中貿易摩擦の余波もあって未達の可能性があるが、株価への織り込みが進んでおり、その一方で純資産が厚く、PBR0.4倍台は指標面から割安感が際立つ。株価は2013年12月から14年1月にかけてマグネシウム電池関連として稀に見る急騰を演じ、1750円の高値まで買われた経緯がある。<急騰性4・中長期的上値余地5>
【IMVは底値買い好機、EV関連で再浮上の機熟す】
IMV <7760> [JQ]は底値圏に位置しており、元来の人気化素地を開花させるタイミングが再び近づいているようだ。
同社は振動関連の試験装置メーカー最大手で、受託試験サービスも請け負う。国内シェア7割弱と圧倒的、世界でも約3割のシェアを誇る実力を持っている。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などに搭載するリチウムイオン電池の温度・振動などの複合環境において充放電の性能を確認する受託試験も手掛けており、EV市場の成長を背景とした車載2次電池関連として将来的な収益機会拡大に対する期待が大きい。
このほか、トラックなどで運搬中の商品が揺れに耐えられるかを検査する輸送試験機で従来比半額に抑えた低コストの輸送試験機を開発、需要開拓に本腰を入れる構えにある。19年9月期の業績は下方修正の懸念があり、それを理由に上値が押さえられてきたが、逆に底値買いのチャンスを提供している。<急騰性3・中長期的上値余地3>
【三光合成は高技術光る、底入れ初動で上値余地大】
三光合成 <7888> は10月中旬を境に上放れてきたが、適度にブレーキを利かせながら5日移動平均線を絡め上値指向の強いチャートを形成している。
自動車向けを主体とする樹脂製部品の大手メーカーで、その技術力の高さに定評がある。炭素繊維の強度を生かす成形技術の開発など高度な技術力で優位性を持っており、金属3Dプリンターを活用した金型製造では業界の先駆的存在だ。
米中貿易摩擦の影響もあって、20年5月期第1四半期(6-8月)は営業利益が前年同期比74%減と大きく落ち込み、最終損益は赤字となった。しかし、株価面では足もとの収益不振は織り込まれており、決算発表後に上値追いをスタートさせた。業績悪も今はまだ第1四半期の結果しか見えておらず、米中協議の進展期待を背景に下期以降の改善期待は強い。時価はここ2年のタームをみれば底入れの初動段階。PER8倍台、PBR0.6倍台で株価指標面の割安感から、中期スタンスで仕込み妙味が大きい。<急騰性3・中長期的上値余地4>
■大駆け低位株 変身前夜の5銘柄■
中長期的
銘柄 <コード> 急騰性 上値余地
ダイトーケミ <4366> ☆☆☆☆☆ ◆◆◆
藤コンポ <5121> ☆☆☆☆ ◆◆◆◆◆
リブセンス <6054> ☆☆☆ ◆◆◆◆
IMV <7760> ☆☆☆ ◆◆◆
三光合成 <7888> ☆☆☆ ◆◆◆◆
※急騰性は☆が多いほど強く、中長期的上値余地は◆が多いほど大きい
株探ニュース