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2019年12月5日 19時30分
特集

奔り出す再編思惑、「親子上場解消」で急騰する株を追え <株探トップ特集>

―統合の動きが加速、企業価値向上に向けた新たなる枠組みつくりが意味するもの―

ここ最近、株式市場で 親子上場への関心が高まっている。直近では、4日に富士通フロンテック <6945> [東証2]、FDK <6955> [東証2]、新光電気工業 <6967> など富士通 <6702> グループ会社の株価が急上昇したが、一部月刊誌で富士通が「(親子上場の)解消に向けて動き始めている」と報じたことがきっかけだった。会社側では「現時点で具体的な話は何も決まっていない」と否定しているが、親子上場解消に向けたアクションに対する市場の関心の高さがうかがえる。

日本では親子上場している企業の比率は全体の約6%あり、先進国の中でも高いといわれている。ただ、東京証券取引所は11月29日、親子上場の統治ルール策定で有識者らによる研究会を設置すると発表。親子上場の最近の事例が示唆する問題点や利害調整のあり方、上場子会社の少数株主保護の枠組みなどを議論する方針という。親子上場とその解消は、今後も話題を集めるテーマといえそうだ。

●企業統合や事業統合の発表が相次ぐ

10月以降、企業統合や事業統合に関する話題が相次いだ。10月30日には、日立製作所 <6501> とホンダ <7267> が、日立オートモティブシステムズ(茨城県ひたちなか市)とケーヒン <7251> 、ショーワ <7274> 、日信工業 <7230> の部品会社4社の経営統合を発表。新会社は、自動車部品メーカーとして売上高は国内3位となる見通しだ。

また、11月13日には、東芝 <6502> [東証2]が東芝プラントシステム <1983> 、ニューフレアテクノロジー <6256> [JQ]、西芝電機 <6591> [東証2]の上場子会社3社に対するTOBを発表。更に同月18日には三菱ケミカルホールディングス <4188> が田辺三菱製薬 <4508> に対するTOBを発表している。

特に東芝や三菱ケミHDなど親子上場の解消では、「グループとしての一体的な事業推進」や「グループとしての企業価値の最大化」「ガバナンス体制の強化」などを理由として挙げている。また、経済産業省が6月に発表した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針(グループガイドライン)」では、上場子会社においては取締役会における独立社外取締役の比率を高めることを目指すことが基本とされており、コスト増を避ける意味からも親子上場の解消に至ったようだ。

●親子上場のメリットとデメリット

日本では従来、子会社を株式公開し、一部の持ち株を放出することで資金調達を行い、別の事業に新規投資を行うという動きが多くみられた。子会社にとっても、親会社から独立することで経営の自由度が増すといったメリットがあり、これらが親子上場を増やすことにつながっていた。

風向きが変わったのは、2000年代に入ってからで、東証が07年6月に発表した「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」でも、親会社により不利な事業調整や条件による取引などを強いられる、資金需要のある親会社が子会社から調達資金を吸い上げる、上場後短期間で非公開化するなどの利益相反の例を挙げ、「子会社上場を一律に禁止するのは適当ではない。しかし、子会社上場は必ずしも望ましい資本政策とは言い切れない」とした。

ただ、世界的にみても子会社の上場自体を禁止している国はなく、更に実証研究などで、親会社による子会社の重大な経済的搾取はみられないとの見方が広がり、親子上場に関する論議は下火になっていた。

●親子上場解消の動きは今後も継続へ

それがここにきて再度、親子上場への関心が高まっているのは、18年10月以降、経産省のコーポレート・ガバナンス・システム研究会(第2期)で、グループ全体の企業価値向上を図るためのガバナンスを適切に運営・強化するためのあり方が議論されたことがきっかけとされている。

同研究会では19年6月に前述の「グループガイドライン」を策定し、独立社外取締役の比率上昇のほか、報酬委員会の親会社からの独立性担保や、積極的な情報開示の必要性など、上場子会社に関するガバナンスのあり方を指摘した。ここからも、親子上場に対する経営監視の目が一層厳しくなっていることをうかがわせている。

更に、以前より企業の間で、グループ全体の企業価値向上を目指す戦略やグループ再編の一環として親子上場の見直しが続いていることを考慮すると、今後も解消に向けた活発な動きは続きそうだ。

●競争激化の自動車業界の動向に注目

親子上場解消を予測することはできないものの、子会社や関連企業には注目が必要だろう。

例えば電機業界では、NEC <6701> が04年以降、NECソフトやNECシステムテクノロジー、NECトーキン、NECフィールディングなどを順次完全子会社化。パナソニック <6752> も松下通信工業、松下寿電子工業、三洋電機、パナソニック電工、パナソニック インフォメーションシステムズ、パナホームなどを完全子会社化した。一方、日立は現在も日立金属 <5486> 、日立ハイテクノロジーズ <8036> 、日立化成 <4217> 、日立建機 <6305> 、日立キャピタル <8586> などの子会社や関連会社が上場している。先日は、日立化を昭和電工 <4004> に売却する方針を固めたと伝わったが、売却の方針は織り込み済みとされていたにもかかわらず、日立化の株価は急伸した。

また、三菱電機 <6503> も弘電社 <1948> [東証2]や菱電商事 <8084> 、北弘電社 <1734> [札証]、カナデン <8081> 、西菱電機 <4341> [東証2]などの関連会社が上場している。

自動車業界では、ホンダが前述のように日立と部品会社の統合を発表したが、トヨタ自動車 <7203> は、豊田合成 <7282> 、トヨタ紡織 <3116> 、共和レザー <3553> 、大豊工業 <6470> 、トリニティ工業 <6382> [東証2]、フタバ産業 <7241> 、東海理化電機製作所 <6995> 、愛三工業 <7283> 、中央発條 <5992> 、デンソー <6902> 、アイシン精機 <7259> など関連会社が多く上場している。自動車業界はCASEの進展でIT企業との競争が激しくなっているだけに、動向が注目されるところだ。

●親同士の再編進む鉄鋼業界

鉄鋼業界は、02年にNKKと川崎製鉄が、12年に新日本製鉄と住友金属がそれぞれ統合するなど、“親会社”同士の再編が進み、それに伴い関連会社の整理も進んだが、日本製鉄 <5401> の子会社・関連会社では日鉄ソリューションズ <2327> や大阪製鐵 <5449> 、山陽特殊製鋼 <5481> 、黒崎播磨 <5352> 、ジオスター <5282> [東証2]、日鉄物産 <9810> 、サンユウ <5697> [東証2]、高砂鐵工 <5458> [東証2]などが上場。また、ジェイ エフ イー ホールディングス <5411> の子会社・関連会社ではJFEシステムズ <4832> [東証2]やジェコス <9991> 、JFEコンテイナー、日本鋳造 <5609> [東証2]、品川リフラクトリーズ <5351> などが上場している。

ここまで挙げた銘柄は、主にグループ再編の動きから注目されているが、このほかにも、秋以降の親子上場解消に関する関連物色のなかで物色人気が高まった、三井金属鉱業 <5706> 子会社の三井金属エンジニアリング <1737> [東証2]や、エヌ・ティ・ティ・データ <9613> 関連会社のエヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート <3850> [東証2]、内田洋行 <8057> 関連会社のウチダエスコ <4699> [JQ]、図研 <6947> 関連会社の図研エルミック <4770> [東証2]、富士フイルムホールディングス <4901> 傘下のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング <7774> [JQG]なども引き続き注目したい。

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