【植木靖男の相場展望】 ─ 主役は徐々に2番手グループへ
「主役は徐々に2番手グループへ」
●整う日本株押し上げの“正三角形”パターン
2020年株式市場の幕開けは大波乱で始まった。中東情勢の緊迫化が背景だが、直接的には円高・ドル安による。
頭をよぎったのは、1989年大納会での史上最高値を受けての1990年の年明けだ。じわりと円高が進み、高値更新を期待していた投資家を落胆させたことは、記憶にいまだ鮮明である。
もっとも今回は、米イランの衝突に関して両国はともに全面戦争を好まず、危機が回避されたことで株価は世界的に急速に戻り始めている。
今後の見通しはどうか。日経平均株価、ドル・円相場、NYダウ平均を頂点とする三角形。これが正三角形を成し、それぞれの頂点が伸びて面積が拡大するのがベストシナリオだ。
これまでは、三角形であっても正三角形とならず、やや歪んでいた。しかし、ここへきてようやく正三角形に戻り始めている。具体的には、NYダウの2万9000ドル、日経平均の2万4000円、1ドル=110円を目指した体制が整いつつあるかにみえる。
だが、相場に100%断定は禁物だ。過去の経験則からみれば、たとえば日経平均。昨年末からの値動きを精査すれば、ここで一気に2万4000円どころに突っかけないと、株価は怖じ気づいてしまうことも往々にしてあるのだ。昨年12月17日高値からの下げの中段保ち合いの中での上昇でしかない、ということもあり得るのだ。
その意味で、今週の動きは要注目である。このまま、正三角形が一気に伸長、拡大すれば、最長で2月中旬頃までは上昇基調が持続する可能性が出てくる。水準は定かではないが、18年10月の高値2万4270円(終値ベース)も視界に入ってくるだろう。
●相場に若さ・勢いのある2番手、3番手が優位に
さて、これからの物色の流れはどう読んだらよいのか。
19年8月安値からの上昇基調がなお続行中ということであれば、この間、市況をけん引したハイテク株、もしくは超値がさ株が引き続き柱となるはず。
ところが、ファーストリテイリング <9983> 、TDK <6762> 、キーエンス <6861> 、ファナック <6954> などはいまだ前年の高値を奪回できずにいる。もっともアドバンテスト <6857> 、安川電機 <6506> 、エムスリー <2413> などは、引き続き高値を更新中である。つまり、騰落まちまちである。
こうした1番手グループから、徐々に2番手グループに主役が移行しつつあることに注目したい。だとすると、ここでの新規投資は1番手グループより若さで勢いのある2番手グループ、あるいは3番手グループの方が投資効率は高いのではないか。
今回は、次の3銘柄を取り上げてみたい。
ウシオ電機 <6925> 。IoT、5G向け半導体需要などを背景に投影露光装置が好調で今期業績は営業2ケタ増益予想だ。
NEC <6701> も面白そうだ。五輪接近で顔認証システムがクローズアップされよう。
このほか、IHI <7013> 。唯一残された成長領域の航空・宇宙で存在感抜群。子会社に宇宙、防災の明星電気 <6709> [東証2]、宇宙開発、航空エンジン部品のIHIエアロスペースを持つ。
2020年1月10日 記
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