新興市場見通し:材料・テーマ株物色支えだが逃げ足速く、IPO1社のみに

市況
2020年4月4日 16時36分

先週の新興市場では、日経平均とともにマザーズ指数、日経ジャスダック平均も下落した。名実ともに新年度相場入りし、日経平均が急落した場面でマザーズ指数は600pt台前半でのもみ合い推移が続いた。個人投資家の物色が材料性やテーマ性のある中小型株に向かったとみられる。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から資金の逃げ足は速く、週末を前に利益確定の売りが出て値を崩した。なお、週間の騰落率は、日経平均が-8.1%であったのに対して、マザーズ指数は-4.7%、日経ジャスダック平均は-6.0%だった。

個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で14.4%安、フリー<4478>が同13.5%安と大きく下落。売買代金上位ではアンジェス<4563>やジーエヌアイグループ<2160>といったバイオ関連株が売りに押された。また、フィードフォース<7068>が決算発表後に大きく売られ、週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、弁護士ドットコム<6027>は法律相談が増加しているとの観測から同18.1%高。メドレー<4480>やMRT<6034>、メドピア<6095>といった遠隔医療関連銘柄にも物色が向かい、Welby<4438>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力はワークマン<7564>が同6.5%安、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同9.3%安と全般軟調。ワークマンは既存店売上の堅調推移が好感される場面もあったが、買いは続かなかった。売買代金上位ではリプロセル<4978>などが売り優勢で、SDエンターテイメント<4650>が週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、巣ごもり消費関連の出前館<2484>などは大きく買われ、特許取得を発表したビーマップ<4316>が上昇率トップだった。IPOでは3社が新規上場し、3月31日のMacbee Planet<7095>は公開価格を3割近く上回る初値を付けた。30日のNexTone<7094>は初値後に大きく上昇した。

今週の新興市場では、マザーズ指数が引き続き安値圏で軟調に推移しそうだ。株式相場全体としては、新型コロナの感染拡大に伴って東京の都市封鎖(ロックダウン)が実施されるのかが焦点となり、神経質な展開を余儀なくされている。マザーズでは短期のテーマ・材料株物色が一定の支えとなっているものの、資金の逃げ足は速い。中長期投資家は買い持ち高の解消こそ一巡したとみられるが、新規投資を行うムードも依然乏しい。

先週、投資テーマとして注目された遠隔治療を巡っては、一部報道で規制緩和への期待が後退。一方で外出自粛要請や休校措置が長期化しつつあるなか、出前館やすららネット<3998>、チエル<3933>といった銘柄は引き続き物色を集める可能性がある。なお、今週は4月9日にドーン<2303>、エルテス<3967>、フロイント産業<6312>、10日にチームスピリット<4397>、SERIO HD<6567>などが決算発表を予定している。成長期待の高いチームスピリットだが、今期は積極投資を続けている。

IPO関連では、4月6日に松屋アールアンドディ<7317>がマザーズへ新規上場する。同社は縫製自動機や血圧計腕帯、カーシートカバー等の各種縫製品を手掛け、公開規模こそ小さいものの新型コロナの影響が警戒される可能性がある。なお、先週は5社が上場取り止めを発表。松屋R&Dに続くIPOは軒並み中止に追い込まれている。

《HK》

提供:フィスコ

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