富田隆弥の【CHART CLUB】 「出遅れ大型株にマネー流入」
◆勢いよく上げていた東証マザーズ指数がさすがに一服入れた。すると、入れ替わるように東証1部の重厚長大(大型)銘柄が活気づいてきた。超過剰流動性の地合いにあって、長らく人気の圏外に置かれてきた重厚長大銘柄だけに目が離せない。
◆重厚長大銘柄というのは鉄鋼や非鉄、造船、化学、重電、機械、自動車、そしてメガバンクといった超大型株を指す。これらは総じて発行済み株式数が多く、株価の動きは重いというのが定説だが、市場にあふれるマネーを吸収できる銘柄群として「金融相場」では注目されやすい。
◆代表的な重厚長大銘柄の5月28日の動きをみると、日本製鉄 <5401> は前日比58円高の1068円、ジェイ エフ イー ホールディングス <5411> は44円高の833円、三菱重工業 <7011> が118円高の2908円、川崎重工業 <7012> は49円高の1803円、日立製作所 <6501> が145円高の3580円、三菱電機 <6503> は52円高の1471円、三井住友フィナンシャルグループ <8316> が114円高の3190円と上昇している。これら超大型株が一斉にこれほど上げることなど通常の地合いでは想像できず、地合いの変化を感じる。
◆重厚長大銘柄は、 ハイテクやIT関連の成長株とは対極に位置する。だが、このところ東証マザーズが1年ぶり高値圏に躍進し、5月26日に出来高が5年半ぶりとなる4億株を記録するなど、小型株全般に過熱警戒感が台頭していた。そうなると、大量のマネーを運用するファンド勢は、ハイテクやIT関連株を一旦利食い、出遅れている重厚長大銘柄に乗り換えたとしてもおかしくない。
◆外国人投資家(現物+先物)が5月第3週に15週ぶりに3863億円と買い越しに転じたほか、プログラム売買に伴う裁定売り残は2兆5707億円と過去最高水準にあり、買い戻しの余地も十分。そして、景気対策として日銀と政府は未曽有の金融緩和と財政出動に動いており、市場に出回るマネーの量はたっぷりある。
◆大型銘柄であっても大量のマネーが介入するなら値動きは侮れない。日経平均株価やNYダウの上昇基調の継続が条件になるが、押し目買いや出遅れ株物色を背景に重厚長大銘柄の動向は今後も注目されよう。
(5月28日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース