ウィズコロナ時代の「最高値更新銘柄」リスト、新成長株の条件を探る <株探トップ特集>
―非対面・デジタル・ヘルスケアに急騰素地、FA・設投関連株の異彩高が続く―
株式市場が急激な戻り相場に入っている。海外ではナスダック指数が最高値を更新し、国内では日経平均株価が1月高値を視野に入れつつある。そんななか、市場でひときわ鮮明な光を放つのが、コロナ禍で逆行高を演じる上場来高値銘柄だ。そのカテゴリーは、 新型コロナウイルスとともに生きるウィズコロナ時代を意識する、「ヘルスケアなど新需要を開拓する企業」や「巣ごもり関連株」あるいは「デジタル化の一段の進展を牽引する企業」、そして「無人化を牽引する設備投資関連企業」などだ。これら分野での新需要の開拓に成功したウィズコロナ関連株は、最高値に買われ市場の高評価を得ている。
●ユニチャームなどヘルスケア関連株が人気化、物流関連にも矛先広がる
9日の東京株式市場で日経平均株価は7日ぶりに反落したものの、相場の基調は強く今年1月高値の更新も視野に入る状況にある。日経平均株価は、今春の急落を克服しようとしているが、株式市場を牽引してきた企業の顔ぶれは旧来型の大型株とは全く異なっている。
対人型の製造業やサービス関連の銘柄が低迷を続けるのに対し、市場が評価するのは新型コロナとともに生きることを余儀なくされるなかでの“ウィズコロナ銘柄”だ。今春の急落後、相場の牽引役を果たしてきた一連の上場来高値銘柄がその代表例といえる。
象徴的な銘柄が「ヘルスケアなど新需要を開拓する企業」だ。例えば、 マスクやアルコールウェットティッシュの伸びでユニ・チャーム <8113> が最高値に買われた。また、アース製薬 <4985> や大幸薬品 <4574> といった企業の株価も青空圏に駆け上がった。アース製薬はマスクの販売好調などが評価されたほか、大幸薬品は空間除菌「クレベリン」が新型コロナ感染拡大のなか除菌需要に乗った。コスモス薬品 <3349> やスギホールディングス <7649> 、ウエルシアホールディングス <3141> といったドラッグストアもマスクや除菌製品の好調で最高値を更新した。除菌・消毒用アルコール製剤の需要増でニイタカ <4465> も急伸し、オンライン医療関連ではエムスリー <2413> などが人気化した。
マスクや消毒液、防護服などが伸びたオンライン通販のMonotaRO <3064> やホームセンター大手のコーナン商事 <7516> が最高値を更新している。物流を支える運輸関連ではSGホールディングス <9143> や丸和運輸機関 <9090> 、遠州トラック <9057> [JQ]が上場来高値に買われている。
●「巣ごもり関連」ではカプコンや神戸物産、エフピコなどが青空圏に
また、「巣ごもり関連株」も人気化。巣ごもりによるゲーム関連株では、主力タイトル「モンスターハンターワールド:アイスボーン」の販売が好調なカプコン <9697> や「三國志14」などが伸びたコーエーテクモホールディングス <3635> が買われた。食品スーパー関連では、神戸物産 <3038> が連日人気に沸き青空圏にいるほか、内食や飲食店の宅配による食品トレーへの需要増でエフピコ <7947> も上場来高値を更新した。
●「デジタル化推進」は一大潮流に、レーザーテクなど半導体関連にも追い風
更に今後の大きな流れとなるのが、「デジタル化の一段の進展を牽引する企業」だ。コロナ禍の非対面化によるオンライン需要でデジタルトランスフォーメーション(DX)支援のIT企業も人気化。野村総合研究所 <4307> や独立系SIのコムチュア <3844> も買われた。社会のデジタル化進展とともに半導体関連需要は伸びるとの見方からEUV関連のレーザーテック <6920> や東洋合成工業 <4970> [JQ]は青空圏に上昇している。
テレワークやオンライン学習関連株もデジタル化の流れに乗る。テレワーク関連では、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの国内販売代理店で脱ハンコにも絡むNECネッツエスアイ <1973> が急伸したほか、テレワークでのパソコン関連機器の伸びでエレコム <6750> が上昇。脱ハンコに絡み弁護士ドットコム <6027> [東証M]も一時初の1万円に乗せた。グループウェアのサイボウズ <4776> も上場来高値に上昇している。在宅勤務需要でホームオフィス家具が売れているニトリホールディングス <9843> も6月に初の2万円に乗せた。オンライン学習や教育ICTに絡んでは、デジタル教材を手掛けるチエル <3933> [JQ]や学校向けパソコン販売で大塚商会 <4768> が過去最高値に買われている。ネット接続大手の朝日ネット <3834> も急伸している。
●「FA関連」は無人化で需要拡大、キーエンスやダイフクに成長余地
異彩高を演じているのが、「無人化を牽引する設備投資関連企業」だ。具体的にはキーエンス <6861> やSMC <6273> といった大手FA関連株がこれに該当する。ダイフク <6383> も上場来高値にある。市場では「中国向け受注に底打ち観測が膨らんでいるほか、工場の無人化に絡んだ需要増への期待が株価上昇の背景にある」(アナリスト)との見方が出ている。外国人投資家が買い戻しを進めているのが、これら設備投資関連株だといわれている。
足もとで上場来高値に買われているのは、コロナ禍に絡み非対面化需要に乗る銘柄が多い。マスクや消毒液などへの特需は今後、一巡する懸念もあるが、ウィズコロナ時代の新たな風に乗った企業が今後も市場から高評価を得ることは間違いない。
株探ニュース