今週の【早わかり株式市況】小幅続落、日米での新型コロナ感染の再拡大が重し
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週連続下落、週間の下げは小幅にとどまったが買い手控え感強い
2.週明けは上海株市場などが大きく買われ、これを背景に買い戻し誘発し大幅高
3.米国では新型コロナ感染拡大が加速、国内も都内中心に感染第2波警戒局面に
4.ETFの分配金捻出に絡む売り圧力なども意識され、週央以降は地合いが悪化
5.半導体関連が買われ、個別ではソフトバンクGが20年ぶり高値で全体を支える
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比15円(0.07%)安の2万2290円と2週連続の下落となった。
今週は週初に日経平均が大幅高したものの、新型コロナウイルスの感染拡大が米国で加速したほか、日本でも都内で1日当たりの感染者数が過去最高を記録するなど感染第2波に対する警戒感から買い手控えムードの強い週となった。ETF決算に絡む分配金捻出に伴う売り圧力も意識された。
週明け6日(月)は日経平均が大幅高となった。中国・上海株市場や香港が大きく水準を切り上げたことが市場心理を強気に傾け、空売りの買い戻しなどを絡め上げ足が加速した。7日(火)は反落も下げ幅は100円弱と限定的。上海株が前日に続き強い動きを示したことなどが下支え効果を発揮した。8日(水)は新型コロナの感染拡大に対する警戒感が強まった。前日の米株市場では新型コロナの感染者数に歯止めがかからないことを嫌気してNYダウ、ナスダック総合指数ともに安く、東京市場でもリスクオフの流れに。ETFの分配金に充てる資金捻出の売り圧力も意識され日経平均は終盤に下げ幅を広げた。9日(木)は気迷いムードのなかも反発して引けた。米国株市場では前日にナスダックが最高値更新するなどハイテク株が強く、東京市場でも半導体株中心に追い風。ソフトバンクグループ <9984> が大幅高し20年ぶりの高値圏に浮上したことも日経平均を後押しした。もっとも値下がり数は全体の7割に達するなど地合いは悪い。そして10日(金)は240円近い下げで週初の大幅高の分が完全に消失。ETF絡みの売りが重荷となったほか、都内の新型コロナの新規感染者数が240人以上確認され過去最高となり、リスク回避の色が強まった。
■来週のポイント
都内の新型コロナの新規感染者数が2日連続で最多を記録しただけに、来週も上値の重い展開が続きそうだ。新規感染者数の増加が続けば警戒感が強まり下値を探る動きになることも想定される。
重要イベントとしては、国内では14日-15日に開催される日銀金融政策決定会合が注目される。海外では14日発表の中国6月貿易収支や15日に発表される米国6月の鉱工業生産と設備稼働率のほか、16日に発表される中国4-6月期GDPやECBの政策金利、米国6月小売売上高に注視が必要だろう。
■日々の動き(7月6日~7月10日)
【↑】 7月 6日(月)―― 3日続伸、中国株急伸を受け上値追いが加速
日経平均 22714.44( +407.96) 売買高10億2539万株 売買代金 1兆8013億円
【↓】 7月 7日(火)―― 4日ぶり反落、前日急伸の反動で利益確定売り優勢
日経平均 22614.69( -99.75) 売買高10億9360万株 売買代金 2兆1263億円
【↓】 7月 8日(水)―― 続落、手掛かり材料に欠けるなか上値の重い展開
日経平均 22438.65( -176.04) 売買高11億5596万株 売買代金 2兆1599億円
【↑】 7月 9日(木)―― 3日ぶり反発、米株高受け買い優勢も上値は重い展開
日経平均 22529.29( +90.64) 売買高11億7582万株 売買代金 2兆2220億円
【↓】 7月10日(金)―― 反落、東京都の新型コロナ感染者数増加で売り優勢
日経平均 22290.81( -238.48) 売買高13億3791万株 売買代金 2兆4589億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、29業種が下落
(2)国際石開帝石 <1605> など鉱業が値下がり率トップ
(3)菱地所 <8802> など不動産やJR東日本 <9020> など陸運、三菱倉 <9301> など倉庫・運輸など内需株が大きく売られた
(4)輸出株はトヨタ <7203> など自動車、オリンパス <7733> など精密機器が下げる一方
ソニー <6758> など電機、ダイキン <6367> など機械は値を保つ
(5)三菱UFJ <8306> など銀行、第一生命HD <8750> など保険といった金融株が安い
(6)内需株で唯一、KDDI <9433> など情報・通信が買われた
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数上位5テーマ)
1(1) デジタルトランスフォーメーション(DX)
2(3) 半導体
3(2) 5G
4(6) テレワーク ── 更なる普及に向け富士通など大手の動向に注目
5(99) 水害対策 ─── 熊本豪雨で警戒感高まる
※カッコは前週の順位
株探ニュース