【植木靖男の相場展望】 ─ 激動の10月相場は米国株次第か
「激動の10月相場は米国株次第か」
●分水嶺となるか10月相場、注目される週明けの動向
東京市場が過去、株価的に激動をみせる傾向がある10月。その10月相場入り前後に2つの話題があった。
一つは、東京証券取引所のシステム障害、初の全銘柄の終日売買停止だ。これまでも、この種の障害はたびたび発生したが、菅首相がデジタル化推進の旗を立てた矢先だけに政府の怒りのほどが知れよう。
投資家にとっては、幸い海外市場が上げ潮であっただけに、呆れながらも安堵感が漂っていた。だが、週末午後になって大きく下げたことで、不安は拭い去られていないことを確認させられた。
こうした障害は、わが国ばかりでなくマイクロソフトのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」も全世界的にダウンしたという。今後も東証で障害発生が予想されるとなれば、売買高の70%を占める海外投資家の信頼を失うリスクは高く、アジアにおける東証のシェアは一段と低下しかねない。
もう一つの話題は、米国大統領選挙におけるトランプ、バイデン両候補によるテレビ討論会だ。世界一の大国のトップを決める判断材料となる討論会であるにもかかわらず、結果は他国のことながら呆れんばかりの内容。政策の議論はなく、ただ罵詈雑言のみ。
さて、それはそれとして株式市場にとってトランプかバイデンか、どちらが株価にとってプラスか。これまでは増税ありきの民主党よりトランプの方がウォール街寄りとみられていたが、ここへきて微妙な変化が見られるという。焦点の追加経済対策の金額だ。民主党が打ち出す2兆ドルは株価にとって「蜜」だ。とすれば、バイデンでもいいかというシナリオが浮上する。
ところで、当面の株価をどうみるか。米国株はナスダックを主力に上げ潮に入ってきている。目先、NYダウが9月16日の2万8032ドルを越えられるかどうかが焦点となる。
一方、東京市場は日経平均株価の週末値が9月末の2万3185円を下回って引けたことで、第1次ばかりでなく第2次警戒警報も表面化している。2万4000円への道が依然開かれているとすれば、週明けに急反発を要することになるが果たしてどうか。
では、日柄で見るとどうか。2018年10月の大天井をつけた時の上昇相場は3月安値から131日で終焉した。この日柄を今回に当てはめると10月5~6日になる。当時はそれでも通常より長い上昇相場といわれたが、今回はさらに延びるのか。10月はきわめて重要な月となる可能性があるかもしれない。注視したい。
●ここは個別物色で凌ぐ局面か
ところで、当面の物色の流れをどうみたらよいのか。今年3月からの上昇相場が続いているとすれば、やはり米国のGAFAM(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)に代表される巨大プラットフォーマーが牽引するハイテク株が主力である。ナスダックが天井をつけるまではこれら牽引役は変わらない。ただ、長きにわたった上昇相場で相当疲れが出ていることも事実だ。とすれば、東京市場のハイテク株も同じとみるべきだ。
一方、動意をみせては消え、消えては浮かぶ景気敏感株。当面は脇役として動くことになろうが、指数全体が頭打ちとなって、次に二番天井を取りに行くときは主役として浮上することになろう。これは万古不易の原則と言えよう。
とはいえ、これまで東京市場で主役となってきたオンライン関連や半導体関連株の中には、疲れがみえてきた銘柄も少なくない。ここは少し視線を移して個別物色で凌いでいくしかないだろう。
一つはNTT <9432> 。携帯料金引き下げ観測で大きく売られたが、天下のNTTだ。携帯料金引き下げは国民にとってプラス。だとすれば、いずれ国益銘柄として評価されよう。底値圏にあるようにみえる。
次は日産自動車 <7201> だ。かつての輝きを失ったとはいえ、わが国を代表する自動車メーカーだ。「プリンススカイライン2000GT」に憧れた筆者からみれば、現下の株価には納得がいかない。やはり底値圏にあるようにみえる。
また、オンライン銘柄で、まだ高値を出し切っていないとみるブイキューブ <3681> にも注目したい。恵比寿ガーデンプレイスのオンラインスタジオを訪ねてみて再評価した。withコロナ時代が続く限りリモート化需要は拡大しよう。
2020年10月2日 記
株探ニュース