【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 株式市場に新たな芽吹き、景気回復を先取る非鉄素材株
「株式市場に新たな芽吹き、景気回復を先取る非鉄素材株」
●潮流の変化を告げる“桐一葉”
私は古いことわざが好きで、時々それを株式投資にも適用しているのだが、このところ次のことばに感じるところがある。
「桐一葉、落ちて天下の秋を知る」
秋が近づくと、桐は他の樹木に先駆けて葉が落ちる。それを見て秋が来たことを早めに知ることができる。ちょっとした兆候で大きな変化を察するようにしたい、という意味になる。
この点で私がここにきて、もしかしたらこれが「桐一葉」ではないかと思っている銘柄がある。エムスリー <2413> だ。
この株は今年3月に2319円の安値をつけたあと回復に転じ、ほぼ休みなく上昇を続けてきた。その間、PERも150倍、180倍と倍率が大きくなり、最近では200倍を越えていた(業績予想が非開示のためPERは実績ベース)。それでも、そんなことは意に介する様子もなく上昇し続けていたが、12月1日に高値9900円をつけて以降、下落に転じている。この原稿を書いている時点では4日続落、一時8600円台まで下げた。
これは「落ちる桐一葉」である可能性があるが、そうなるとこれまでとは異なる場所で新たな芽吹きがあるのが株式市場だ。
では、それはどこにあるのか。私の望遠鏡で見えるのは松田産業 <7456> になる。この会社はいわゆる「都市鉱山」会社。つまり、電子部品スクラップから貴金属を回収、電子材料・地金の形で販売している。
主に金の販売に注力しているが、当然、他の金属にも展開している。その背景にあるのは、もちろんそれら金属類を必要とするメーカーがその需要を増やすだろうと想定されるからだ。
●資源開発・精錬、鉱山用機械、ウエハーまで注目株は多い
こんな見方はさらに拡大が可能になる。新型コロナウイルスの感染拡大を抑止するワクチンが年内にも米英で接種可能となったことで、今後、世界経済は蘇生に向かいはじめ、それは新興経済諸国にも及ぶ。
それは製品としては自動車や電子部品、設備機械などの需要増となり、まずは 非鉄素材となるため、注目銘柄もこの観点から選びたい。
具体的には、まずは住友金属鉱山 <5713> だ。 金をはじめ、ニッケルなど非鉄全般を扱っており、東京市場の非鉄中核銘柄として人気も高く、2021年も期待が持てる。
亜鉛・ 鉛に限定すると、東邦亜鉛 <5707> がある。銅の精錬と土木鉱山用機械に強いのは古河機械金属 <5715> 。急騰はないが、次第高は見込める。
鉱山用機械で忘れてならないのが、建設機械のコマツ <6301> になる。鉱山では大型の建設機械が不可欠であり、同社株は今後2進1退高が想定される。
なお、投資対象となる素材の範囲をもう少し広げるとシリコンウエハーがある。半導体需要は、21年も縮小よりは拡大の可能性が高いと見るのが自然。そのため、半導体ウエハーで世界首位級のSUMCO <3436> の押し目は見逃さないようにしたい。
最後に、豊田通商 <8015> を。この会社はアルゼンチン・オラロス塩湖のリチウム資源開発を行っている。
2020年12月4日 記
株探ニュース