富田隆弥の【CHART CLUB】 「年内スピード調整も」

市況
2020年12月12日 10時00分

◆菅内閣は「グリーンとデジタル」を柱に73兆円超の追加経済対策を決めた。東京都は2030年までに販売される新車をEV(電気自動車)HV(ハイブリッド車)などの「脱ガソリン車」とする方針を示した。こうした流れを背景に、株式市場でもグリーン(環境)とデジタルに関わる銘柄が人気づいている。新エネルギーの「水素」関連に注目しているが、これらがそのまま新年の中核テーマとなることに異論はない。

◆ただし、日本株全体を見渡すと勢いに陰りも見られる。師走となり、11日のメジャーSQ(先物・オプション清算日)にかけては例年「買い」で盛り上がるところだが、日経平均株価(12月10日時点2万6756円)の高値は7日の2万6894円(ザラバ)止まりで、日足チャートは高値圏で丸みを帯びた形状を描き、勢い鈍化の雰囲気を漂わす。

◆日経平均のRCI(順位相関指数)は、日足ベース(9日、13日、25日)が12月4日に90%台でピークアウトし、週足ベース(9週、13週、26週)は85~95%の高値ゾーンに集まっており、ともに注意信号を灯す。25日移動平均線(10日時点2万5962円)の上にあり上昇基調に変わりないものの、少し長引くスピード調整があったとしてもおかしくない状況と言えるだろう。

東証マザーズ(10日時点1156.97ポイント)を見ると、10月14日の1368.19ポイントを高値に調整が続き、下値を支えてきた75日移動平均線を7日に割り込んだ。これは、3月コロナショック後の上昇を牽引した小型材料株にピークアウトしたものが少なくないことを示している。

◆年末年始、そして2021年の新年に向け「上昇」を唱える声が多くなり、投資家も期待を抱きやすくなるところだが、クリスマス休暇を控えて外国人投資家がポジション整理に動くタイミングでもある。新型コロナワクチンや追加経済対策への期待はあるものの、11月の上昇相場でひとまず織り込んだことは否めず、年内相場はピークアウトの可能性に少し注意したい。もちろん、調整を入れるならどこかで押し目買いの好機となろう。

(12月10日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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