【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 追加経済対策が強力な株価支援材料となる!
「追加経済対策が強力な株価支援材料となる!」
●経済構造転換を促進する菅政権
米国の追加経済対策は、まだまとまらない。年内に与野党が合意に達すると見たいが、すでに大統領選挙前にという市場の予想は外れ、選挙が終わってもまだ合意に達しない。この調子では、年内合意の実現もまったく当てにできない。
ただ、幸いなことに株価は上昇を続けている。NYダウ、NASDAQともに最高値の更新を続けており、心強い限りだ。要するに、米国の株式市場は経済対策なしに上昇していることになる。これはこれで好ましいものの、投資の観点からは、やはり政府が追加経済対策の実施に積極的な中国や日本の方が、経済の近未来について楽観的になれるためありがたい。
日本は8日夜の臨時閣議で、財政支出の総額が40兆円、事業規模総額73兆6000億円の追加経済対策を決定した。新型コロナウイルスへの対応で4月と5月にそれぞれ事業規模約117兆円の経済対策を決定しており、今回の追加策まで加えると信じられないほどの規模になる。
まさに、全力投球。こう言ってよいほどの対策であり、菅政権の危機対応力が中途半端なものでないことは歓迎できる。中身も新型コロナの感染拡大防止策にとどまることなく、ポストコロナを見据えて経済構造の転換を促進する方針を明確にしており好感できる。
なにしろ、もっとも多額を注ぎ込むのは、経済構造の転換・好循環の実現に投じる資金。18兆4000億円が用意されているのだから、正直少々驚きだ。国土強靱化用の5兆6000億円と比べると、いかに多いか一目瞭然といえる。
●目先はEV、半導体関連株などで勝負!
当然、これらは目先すぐとはならないまでも、年末から少なくとも来年前半にかけて東京市場を押し上げる強力な株価支援材料になってくれると見てよく、大いに期待が持てる。「追加経済対策」というワードは地味であり、ワクワク感を抱かせるものではないが、株価を次第に押し上げてくれればそれでよい。
そのため目先は、引き続きEV(電気自動車)や新興国経済の復活関連株、 半導体関連株などに投資した方が成果があがりやすくなる。
そこで、まずはニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]だ。電池用の紙製セパレーター専業大手で、特にアルミ電解コンデンサー用では世界首位なので、今後リチウム用でも需要拡大が見込める。
実は、リチウム電池用のセパレーターに特化した会社もある。ダブル・スコープ <6619> がそれで、こちらも当然、投資魅力ありとなる。ただ、値動きは高度紙にくらべてやや荒い、私の感覚では手掛けにくい。
電池用正極材では、特にリチウムイオン電池向け正極材を主力とする専門メーカーである田中化学研究所 <4080> [JQ]も少々値動きは荒いが、押し目狙いならリスクは少なく手掛けやすくなるので、ちょい下げ狙いがお勧めだ。
電池を離れて別の分野に目を移すと、日本空港ビルデング <9706> がある。新型コロナの感染拡大が止まらないため、Go Toトラベルの見直し要求が激しくなっているなか、株価は高値を保ち続けている。これは、来年の空港利用者増を予見している――こう見てよく、株は強い動きを続けるだろう。同様の観点から、オリエンタルランド <4661> もある。
そして最後に、ジャスダックのアンビスホールディングス <7071> [JQ]だ。関東、東北で医療施設型ホスピス「医心館」を運営、展開している会社だ。終末期の看護ケアに特化しており、施設の利用率は高水準を保っている。施設そのものの設置も着実増となっている点に注目だ。
2020年12月11日 記
株探ニュース