大塚竜太氏【年末年始どう動く、日経平均の上値どこまで】(1) <相場観特集>

特集
2020年12月14日 18時30分

―コロナ感染懸念とワクチン普及期待の狭間で思惑交錯―

週明け14日の東京株式市場は日経平均が3日ぶり反発に転じた。国内外で新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、経済活動への影響が改めて懸念されている一方、米製薬大手ファイザーの新型コロナワクチンが承認されたことなどで、ワクチン普及への期待感も高まっている。強弱感対立のなか、日経平均は2万7000円のフシ目を突破して更なる高みを目指すのか、それとも利益確定売りに調整局面が待つのか。また、ここ1ドル=104円近辺で収れんするドル円相場の先行きにもマーケットの関心が高まっている。株式と為替の展望について、それぞれ第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「過剰流動性を背景に強い相場が続く」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

ここから年末にかけ外国人投資家がクリスマス休暇に入る関係で全体相場のボリュームは落ちることが予想されるが、その分だけ個人投資家の存在感が浮き彫りとなり、中小型株中心に活況な地合いが続くとみている。今週15日からはIPOラッシュが再び始まることも新たな個人マネーを誘引する呼び水となりそうだ。

相場のムードは悪くないが、全体指数的にも弱気にはみていない。海外マネーの買いが細り東証1部の主力株は総じて上値の重さが意識されやすいなか、日経平均は2万7000円台乗せがなかなか実現しにくいとみる向きも多いようだが、早晩ここをクリアするチャンスが訪れるだろう。

米国の追加経済対策の発動が依然として見えない状況下、深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大が与える影響など実体経済へのネガティブ材料に目をつぶれとはいわないが、過剰流動性をベースとした地合いの強さに変化はないと考えてよい。今週15~16日に行われるFOMCで量的緩和策の強化があってもなくても、それが相場の方向性を変える要因とはなり得ない。

目先利益確定売り圧力も意識されるが、ワクチンの接種が英国や米国で始まり、経済活動が正常化することへの期待感が相場の下値を支えそうだ。物色の方向性としては、足もと電気自動車(EV)関連水素関連、ワクチン周辺株の個別材料株人気が継続する一方、中長期視野では、米中での販売回復が顕著となっている自動車セクターや、コロナ禍で加速したテレワーク特需などを背景に半導体セクターなどの大型株も注目されよう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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