機械株に株高の号砲鳴る、世界景気拡大期待で上昇本番 <株探トップ特集>

特集
2020年12月15日 19時30分

―工作機械受注のプラス圏浮上が契機、中国の設備投資拡大が牽引―

機械株が新たな投資ステージに突入している。代表的な景気敏感株として知られる機械株だが、足もとでは受注が底打ちから回復傾向に入りつつある。新型コロナウイルスのワクチンに対する期待も膨らむなか、2021年は世界的な景気回復局面に入るとの観測も浮上し始めた。なかでも牽引役となる中国では、5G電気自動車(EV)などでの設備投資需要の拡大が見込める。世界的な高シェアを誇る日本の機械株は、この景気回復の恩恵を享受し上昇本番を迎えそうだ。

●機械関連統計に回復示す指標が相次ぐ

足もとで機械受注の回復を表す経済指標が相次いで発表されている。内閣府が9日に発表した10月の機械受注統計では、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」が前月比17.1%増となり、基調判断は「下げ止まっている」に上方修正された。また、日本工作機械工業会が9日に発表した11月の 工作機械受注(速報値)は、前年同月比8.0%増と2年2ヵ月ぶりにプラス圏に浮上した。更に、14日に発表された日銀短観では、生産用機械の業況判断指数(DI)は9月のマイナス43が、12月はマイナス21となり、先行きはマイナス6と改善が続くとの見方が示された。

●工作機械受注はプラス圏サイクルに突入

とりわけ、工作機械受注がプラス圏に浮上した意味は大きい。工作機械は設備投資の先行指標であり、浮き沈みの激しい業界であることでも有名だ。近年の受注サイクルを眺めると、13年10月~15年7月と16年12月~18年9月の期間にともに22ヵ月間プラス圏に浮上している。

目先の揺り戻しもあり得るものの、足もとで2年強の不振状態にあった工作機械の受注は、過去の例と同様の展開が続くとすれば今後は2年近くのプラス圏が見込めることになる。近年のプラス圏のピークは前年同月比で40~50%増を記録しており天井は高い。工作機械の主要銘柄の株価が上昇基調を強めるのも、この受注拡大局面だ。工作機械の受注はプラス圏に入ったばかりであり、株価は絶好の仕込み場を迎えているといえそうだ。

●世界景気回復シナリオで日本の機械株が急浮上

この機械受注拡大の背景にあるのは、中国需要に加え北米を中心とする自動車関連の回復とみられている。大手証券では、中国の国内総生産(GDP)は20年の前年比1.9%前後の増加に対し21年は同7.5~8.5%増に加速すると予想している。新年は中国での5GやEV関連投資の拡大などが期待される。また、米国の自動車販売台数も春先に大幅な減少を記録した後は回復基調にあり、機械受注の押し上げに寄与している。

こうしたなか、経済開発協力機構(OECD)が発表する景気先行指数(CLI)も、回復している。足もとでは新型コロナワクチンの接種による経済正常化に向けた期待も膨らんでおり「21年の世界景気回復シナリオが現実味を帯びてきた」(アナリスト)との声は少なくない。このなか投資対象として候補に挙がるのが、景気敏感株の機械株だ。日本は、世界的に高シェアを誇る機械関連企業の宝庫であることは忘れてはいけない。

●ハーモニック、和井田、ソディックなど注目

機械セクターの先頭を切って物色されたのは、ファクトリーオートメーション(FA)関連の安川電機 <6506> やSMC <6273> 、キーエンス <6861> 、それにファナック <6954> といった銘柄だ。FA関連株には新型コロナの感染拡大に伴う工場無人化の需要も追い風となったが、ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]を含め一段の上昇が期待される。また、今後の本格的な見直しが期待されるのが、前出のように受注がプラス圏に浮上した工作機械株だ。ツガミ <6101> やオークマ <6103> 、牧野フライス製作所 <6135> 、DMG森精機 <6141> 、それにアマダ <6113> 、アイダエンジニアリング <6118> などが注目される。

更に、ベアリングの日本精工 <6471> やNTN <6472> 、プリント配線板の世界最大手ユニオンツール <6278> などにも追い風は強まりそうだ。また、半導体関連でウエハー平面研削盤に強みを持つ和井田製作所 <6158> [JQ]や岡本工作機械製作所 <6125> [東証2]、ソディック <6143> 、FUJI <6134> などにも上昇期待が強まっている。

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