大相場への夢いま再び、「お宝」中低位株とっておき7選 <株探トップ特集>

特集
2021年3月27日 19時30分

―ワクチン普及でアフターコロナの世界を織り込む、究極のバリュー系材料株を追え―

●ハイボラティリティな1週間

東京株式市場は3月期末を目前にしてハイボラティリティな相場展開が続いている。週末の日経平均株価は400円を超える上昇で続伸、4営業日ぶりに終値で2万9000円台を回復した。とはいえ、今週は投資家にとってはかなり不安を掻き立てられた波乱要素満載の週であった。

前週末19日の日銀金融政策決定会合後に、日銀はETFの買い入れ対象から日経平均連動型の除外を決めたと発表、これが波紋を呼び、同日にファーストリテイリング <9983> を筆頭とする日経平均寄与度の高い値がさ株を中心に大きく売り込まれる格好となった。このリスクオフの流れは、今週に入ってからも続き、週明け22日に日経平均は600円あまりの下げを演じ、更に23日、24日も下げ止まらず、結局前週末からの4営業日合計であっという間に1800円を超える急落に見舞われた。

●口実に使われた「日銀ETFショック」

しかし、昨年来の過剰流動性を背景とした上昇相場において、日銀のETF買いがどのくらいの重要性を持っていたかというのは未知数である。全体相場が前引け時点で安かった時(TOPIXベースで0.5%超下げた時というのが暗黙のコンセンサス)、日銀は後場に買い入れを行うというのが、これまでのETF購入に際してのスタンスである。当然ながら、全体市場が上値指向の強い局面ではなかなか出番は訪れない。下値でセーフティーネットが敷かれていることへの安心感は与えたかもしれないが、実際に上昇相場のエンジンとなったのは米国を先導役とする世界株高であって、少なくとも日銀ではない。

買い入れ対象から日経平均連動型を除外することで、ファーストリテが波乱安の展開を強いられたのは仕方ない部分があるが、結局はTOPIX連動型の銘柄も十把ひとからげに売られ、日経平均・TOPIXともに大幅な調整を余儀なくされた。冷静に考えれば、金利の動向や企業業績(見通しも含む)といったファンダメンタルズから離れたところで、金額の規模はともかく銘柄入れ替えにも等しいテクニカル的な要因が、全体相場のトレンドの向きを180度変えてしまうようなことはない。日銀の発表は急落のトリガーを引く損な役回りとはなったが、それ以外には何のネガティブ要素もなく、行き過ぎた株価調整場面における口実に使われただけである。

●振れ幅は大きくても振り子は戻ってくる

つまり、前週末から今週央にかけての急激な株価調整は、願ってもない買い場提供場面であったといえる。週後半の25日には75日移動平均線を足場にきれいな切り返しをみせ、週末はここぞとばかりに仕切り直しの買いが流入してきた。現在の相場はAIアルゴリズム取引の絡みもあって、同一方向に走り過ぎる傾向がある。“生身の”投資マインドであれば躊躇するところでアルゴリズムは売りも買いも上乗せする。また、それを見込んで便乗する売買も加わり、振り子の振れ幅は想定外に大きくなる。しかし、ひとつの摂理として振り子はすぐにまた戻ってくるのである。売りのタームと買いのタームは人間の呼吸と同じく交互にやってくる。

全体が想定以上にイレギュラーな下げに見舞われたのであれば、そこは買いの姿勢を貫いて正解となるが、問題はその投資資金の振り向け先である。全体指数を投資の対象と考えるならNF日経レバやNF日経ダブルインバースなどを拾えばよい理屈だが、それよりもこのバーゲンハンティングチャンスを生かして、中長期投資で大きく利益を取りにいくスタンスをとりたい。個別株に照準を合わせるのであれば銘柄選別は重要となる。

●ハイテク値がさ株よりも中低位株に利あり

日銀のETF購入手法の変更は、全体相場の方向性を変えるものではないが、日経平均寄与度の高いハイテク系グロース株などの値がさ株には上値を重くする材料となる。ファンダメンタルズは好実態であっても、株式需給面でファンド系のポジション調整に伴う売りをこなす時間が必要となるからだ。現在は、米国を先頭に新型コロナウイルスワクチンの普及期待が高まるなか、景気敏感セクターを中心としたバリュー系銘柄に光が当たる順番となっている。株価水準的にも、これまで機関投資家の組み入れが進んでいなかった中低位の銘柄に優位性がある。今の東京市場には、実態は決して悪くないのにPBRなど株価指標面から割安な銘柄がゴロゴロしている。

そしてポイントとなるのは、視点を前方に置き足もとの収益に惑わされないということだ。3月決算企業についていえばカギを握るのは今期ではなく来期業績に対する展望である。また、12-2月期決算企業であれば前期の業績は不問で、今期の業績がどうなるかが重要となる。直近は欧州での新型コロナ感染再拡大で油断のできない状況ではあるが、それでも株式市場はアフターコロナを見据えた動きにある。コロナ禍から脱出し、経済活動正常化のプロセスにおいて輝きを放つのはどういう銘柄か。今回の特集では、それに該当する条件を備え、なおかつ個人投資家の土俵で戦いやすい中低位の有望株を7銘柄厳選した。

●注目必至の「お宝3ケタ株」7銘柄

【新日本電工はリチウム電池材料で見直しへ】

新日本電工 <5563> は3月15日に331円の高値をつけた後、調整を入れているが75日移動平均線をサポートラインに切り返しを期待。信用買い残の整理も進んでおり、300円ラインを通過点に中勢500円を目指す動きが期待できる。日本製鉄系の合金鉄大手で粗鋼生産の回復を背景に収益環境の改善が進んでいる。20年12月期は黒字転換し復配も実現させたが、21年12月期も増収増益基調を維持し増配も視野に入る。ハイブリッド車(HV)用水素吸蔵合金や電気自動車(EV)用リチウムイオン電池正極材などのOEM生産で実績が高く、EV関連の有望株として大きく見直される可能性がある。

【藤コンポは超低PBRで新エネ材料も】

藤倉コンポジット <5121> は年初から一貫した上昇波を形成。19年11月につけた戻り高値543円払拭から上げ足に勢いがつきそうだ。PBRは0.5倍近辺と解散価値の半値水準で、仮に1株純資産並みのPBR1倍に買われたとして1000円大台までの上値余地がある。ゴム加工品や産業用資材大手で幅広い需要を捉える。特に、自動車販売の好調を背景にエンジンやブレーキ用部品の伸びが予想され、22年3月期業績は急回復が有望視される。非常用マグネシウム空気電池で高実績を有し、風力発電機用保護シートも手掛ける。アフターコロナではゴルフコンペが復活し、ゴルフシャフトにも追い風が強い。

【クロスマーケはDXで株価変貌の緒に就く】

クロス・マーケティンググループ <3675> の400円台のもみ合いは次の上昇ステージに向けた踊り場として強気対処したい。時価は昨年来の戻り高値の強力なフシであった440円ラインをブレイクし新波動入りを暗示している。ネット調査を祖業に現在はデジタルマーケティング事業や、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に経営の重心を置く。ITソリューションではIT系人材ビジネスに引き合いが強く今後に期待が大きい。21年6月期は6ヵ月の変則決算となり比較はできないが、22年6月期については営業利益段階で過去最高水準を上回り14~15億円への拡大が視野に入る。

【シンニッタンはEV電池用パレットに期待】

シンニッタン <6319> は3月に入ってから急速に上値指向にあるが、PBRは依然として0.5倍前後と解散価値の半値水準で株価修正余地が大きい。目先の押し目は買い向かって報われそうだ。自動車や建設機械向け鍛造品を主力とし、世界的な自動車販売需要の回復を受け収益環境の改善が急だ。21年3月期業績は営業赤字を余儀なくされる見通しながら、今期での底入れが濃厚で22年3月期は急回復に向かうことが想定される。財務健全で配当はゆるぎなく実施、配当利回りも3%超と高い。EVバッテリー向けパレットを展開しており引き合いは旺盛、世界的なEVシフトを背景に今後の需要獲得が期待されている。

【nmsは製造業大手のニーズ捉え復活へ】

nms ホールディングス <2162> [JQ]は1月下旬に急速に上放れた後、上げ下げを繰り返しながらも次第に下値を切り上げる展開。300円台後半に歩を進め昨年2月下旬のコロナショック急落前の水準に近づきつつある。電機や精密機械など製造受託サービスや人材サービスを手掛け、パナソニック <6752> やソニー <6758> などを主要顧客に来期業績回復に向けた足場を固めている。育成中の電源事業も家庭用、産業用、医療用の各種機器向けに幅広く対応した電源製品を開発し需要獲得が進む。業績は21年3月期が底で22年3月期は大幅増収増益が濃厚、営業利益は10億円台に乗せてくる公算が大きい。

【ジオスターは15兆円国土強靱化で出番】

ジオスター <5282> [東証2]は調整一巡から再び上値追いの動きを強めそうだ。400円近辺の株価は値ごろ感がある。道路やトンネル向けなどを主力とするコンクリート2次製品の大手で、セグメントや鋼製土木建材の製造技術にも強みを発揮。シールドトンネル用セグメントでは業界随一の実力を持つ。21年度からスタートする国土強靱化 5ヵ年計画は事業規模15兆円と巨額だが、トンネルの老朽化への対策は待ったなしの状況にあり、同社は中期的に強力なフォローの風を受けることになる。21年3月期営業利益は従来予想から増額し、前期実績比横ばいの14億円を見込むが、22年3月期は2ケタ成長が有望視される。

【IJTTはトヨタといすゞの提携で思惑】

IJTT <7315> [東証2]は3月中旬を境に動兆しきり。ただ、PBRは0.3倍台と評価不足が著しく今は水準訂正の初動。500円台後半で売り買いを交錯させている現状は仕込み場といえる。いすゞ系自動車部品メーカーで自動車販売回復の追い風を享受するが、ポイントとなるのはトヨタ自動車 <7203> といすゞ自動車 <7202> の資本提携だ。両社は小型トラック分野でのEV化や自動運転などで協業を進める方針で、これはIJTTのビジネスチャンスにもつながる。既にこれに先立って電動駆動システムの開発などに積極的な取り組みをみせている。足もとの業績悪も織り込み済みで来期のV字回復に期待がかかる。

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