【杉村富生の短期相場観測】 ─ アメリカの製造業(ISM指数)は絶好調!
「アメリカの製造業(ISM指数)は絶好調!」
●半導体メーカーの巨額投資に注目を!
アメリカの製造業は絶好調である。米サプライマネジメント協会(ISM)の3月の製造業景況感指数は前月比プラス3.9ポイントの64.7ポイントとなった。これは1983年12月以来、37年3ヵ月ぶりの高水準という。アメリカにおける新型コロナワクチンの1回目接種率は5割を超えた。非製造(サービス)業の景況感も急改善に向かうだろう。
いや、夏場以降には抑圧された“欲望”が噴出し、空前の旅行、消費ブームが起きる可能性がある。そこに、先の1.9兆ドルに続き、2.3兆ドルの景気対策だ。総額460兆円だ。マーケットは国債増発→金利上昇、財源確保→企業増税を気にしているようだが、過度の反応は無用と判断する。
2.3兆ドルの社会資本整備、サプライチェーンの確保プロジェクトは8年計画だ。増税は15年かけて行う。株式市場はそのメリットを先取りし、享受できる。半導体についてはバイデン政権の支援に加え、インテルが200億ドル、台湾積体電路製造(TSMC)が280億ドル、サムスン電子が200億ドル超の設備投資を行う。
TSMCは今後3年間に1000億ドルの資金投入計画を明らかにしている。東京エレクトロン <8035> 、レーザーテック <6920> 、ホロン <7748> [JQ]、テラプローブ <6627> [東証M]、信越化学工業 <4063> 、新光電気工業 <6967> 、オキサイド <6521> [東証M]などは活況の季節を迎えつつある。
日本市場はジリ高をたどるだろう。買い手不在なのは気掛かりだが、外国人は世界の景気敏感セクターとしての日本株に見直し買いを入れてくるはずだ。国内勢だって、外国株、外国債券だけの運用には限界があろう。
●個人投資家の投資戦術、狙う銘柄は…?
物色面ではどうか。個人投資家の投資作戦だ。まず、強い銘柄を攻めるのがセオリーである。上場来の高値圏に位置する銘柄は基本的に好業績、好需給、かつテーマ性を内包している。チャート的には「青空を疾駆」と形容する。
すなわち、全員利食いの状態だ。このため、値動きは軽い。具体的には半導体ウエハー用研磨材(世界シェアトップ)のフジミインコーポレーテッド <5384> 、電気自動車(EV)用モーターコアの三井ハイテック <6966> 、米テキサス・インスツルメンツの半導体を取り扱っている東京エレクトロン デバイス <2760> など。
好需給という視点では直近IPO銘柄が面白い。値動きの良さを考慮すると、車載用半導体の検査装置、自動運転関連(画像処理カメラ)を手掛けるシキノハイテック <6614> [JQ]はどうか。信用取引規制(委託保証金率50%、うち現金20%)がかかっているが、実需買いが中心だけに気にする必要はないと思う。
このほか、業務支援クラウドサービスのファブリカコミュニケーションズ <4193> [JQ]、AI技術のAppier Group <4180> [東証M]に注目できる。Appierは上場時の発行株式数が9987万株、現在の時価総額は2147億円と、東証マザーズとしては超大型新人である。
テーマ的にはやはり、EVと半導体がメインとなろう。EV関連ではトヨタグループの大豊工業 <6470> 、EV用圧力計の長野計器 <7715> に注目できる。半導体関連の小物ではテスター、ハンドラ(選別装置)のテセック <6337> [JQ]、キオクシア関連のティアンドエス <4055> [東証M]はどうか。
2021年4月9日 記
株探ニュース