雨宮京子氏【上放れ近づく日経平均、その時買われる銘柄は?】 <相場観特集>
―サマーラリーはあるか、FOMC後の展望と個別銘柄―
週明け14日の東京市場は、日経平均が反発に転じた。もみ合い局面が続いているが、メジャーSQ算出を通過した6月第3週は株式需給面からの不安定要素がひとつ解消した。今週は15~16日のFOMCが焦点となるが、これも波乱なく通過できれば、いよいよもみ合い上放れに向けた下地が整うことになる。7月中旬に向けた相場展望と有力視される個別銘柄について、雨宮総研代表の雨宮京子氏に聞いた。
●「3万円回復から更に上を目指す強調相場へ」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
東京株式市場は足もと2万9000円近辺で膠着状態が続いていたが、早晩上放れに向かいそうだ。目先は今週半ばのFOMCの結果とパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まっており、これを見極めるまでは動きにくいというムードだが、実際のところテーパリング議論開始時期はまだ先で、今回の会合では金融緩和政策の現状維持を確認する形となろう。したがって、FOMC通過後は日米ともに上値追いが期待できる。
国内ではワクチン接種の急速な進展で経済正常化を織り込む動きが強まっている。これは先駆した欧米市場と同じ道程をたどることが予想される。また、企業業績も22年3月期予想については好調が目立ったが、それでも総じてみれば保守的であったと思う。これは7~8月の第1四半期(4-6月)決算発表で上方修正期待となって、相場押し上げの原動力となり得る。また、今秋までに行われる解散総選挙を控え、菅政権からは国民が納得するような経済対策が打ち出される可能性が高く、これも追い風要因となりそうだ。
サマーラリーへの期待は十分といってよい。7月中旬にかけて日経平均は3万円大台回復から一段と上を目指す展開となり、2月16日につけた年初来高値3万467円(終値ベース)を払拭するようなケースも考えられる。ここを上抜けば需給面も軽くなり、オーバーシュート気味に3万1500円近辺をうかがうような意外高の局面も想定している。
個別株は好業績もしくは業績回復色の強いもののなかから、見直し人気に乗る銘柄が相次ぎそうだ。まず、主力銘柄では日立製作所 <6501> 。選択と集中によるグループ再編の動きがプラス面で顕在化しており、今後マーケットの新たなリード役として浮上しそうだ。
リベンジ消費関連ではすかいらーくホールディングス <3197> が面白い。21年12月期は営業損益段階からの黒字化が見込め、株式需給面でも信用取組は大幅に売り長の状態にある。また、バイオ周辺では有機合成薬品工業 <4531> 。新型コロナウイルスや「アミノ酸」関連の一角で、業績も22年3月期は営業65%増益予想にあり300円近辺は拾い場と思われる。
素材関連の出遅れでは日本冶金工業 <5480> をマーク。22年3月期は2ケタ増収、営業5割増益予想でPER、PBRなど株価指標面でも割安感が際立つ。最後に、金融セクターから東京きらぼしフィナンシャルグループ <7173> に着目。地銀再編に向けた動きが一段と進むなか同社株には思惑的な買いが継続、上値の可能性が意識される。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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