利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第1弾 35社選出 <成長株特集>
本特集では、10月下旬から11月中旬までの決算集中期間に配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。今回は総集編 第1弾として、時価総額2000億円以上の銘柄を対象に、21年7-9月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ今期も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、21年7-9月期に経常利益が全四半期ベースの過去最高益を上振れて更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している35社を選び出し、7-9月期の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、バイオ医薬品メーカーのJCRファーマ <4552> 。21年7-9月期(第2四半期)の経常利益は過去最高益を2.4倍も上回る107億円に急拡大して着地した。英アストラゼネカ<AZN>から受託している新型コロナウイルスに対するワクチンの原液を販売したことに加え、契約金収入が急増したことが収益を大きく押し上げた。
2位から4位は川崎汽船 <9107> 、商船三井 <9104> 、日本郵船 <9101> と海運大手3社が並んだ。いずれも7-9月期(第2四半期)は旺盛な輸送需要が継続するなか、コンテナ船事業で3社が共同出資する持ち分法適用会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が大幅に改善し投資利益が急拡大したほか、ばら積み船や自動車船がコロナ禍の影響から回復し、川崎汽と郵船は3四半期連続、商船三井は2四半期連続の過去最高益を達成した。業績好調に伴い、3社とも今期3回目となる22年3月期通期業績予想の上方修正に踏み切っている。株価は9月下旬に利益確定売りがかさみ急落したが、極めて低水準な予想PERや配当利回りの高さから足もとでは見直す動きが出ている。
5位にリスト入りしたデクセリアルズ <4980> の7-9月期(第2四半期)業績は、タブレットやスマートフォン向けを中心に蛍光体フィルムや反射防止フィルム、異方性導電膜、表面実装型ヒューズなど高付加価値品の販売が大きく伸びた。好調な業績を踏まえ、22年3月期通期の経常利益を従来予想の118億円から198億円(前期比82.6%増)に上方修正し、従来の2期連続での過去最高益予想をさらに上乗せした。株価は青空圏を快走する展開が続いている。
選出リストには、世界的に拡大する半導体需要を取り込んだ企業が目立つ。シリコンウエハー世界トップの信越化学工業 <4063> が8位、光半導体素子大手の浜松ホトニクス <6965> が12位、世界的な半導体パッケージの総合メーカーである新光電気工業 <6967> が16位、半導体製造用フォトレジストで世界大手の東京応化工業 <4186> が20位、半導体ウエハー用研磨材トップのフジミインコーポレーテッド <5384> が31位に入った。このうちホトニクス、新光電工、フジミインコの株価は、決算発表を受けて上場来高値を更新している。
13位のオリンパス <7733> と19位のカチタス <8919> も決算発表後に株価は過去最高値を塗り替えた。また、11位のNTTデータ <9613> は2000年5月以来、約21年半ぶりの高値圏に浮上している。オリンパスの7-9月期(第2四半期)は新型コロナウイルスワクチンの普及による市況回復を背景に、主力の内視鏡や治療機器の販売が伸び、8四半期ぶりに過去最高益を更新した。
中古住宅再生・販売大手のカチタスの7-9月期(第2四半期)業績は、コロナ禍で戸建て住宅の強い需要が続くなか、値引き販売の抑制が奏功し採算が改善した。NTTデータはデジタルシフトの加速を背景に、国内で製造業や流通・サービス業、中央省庁、銀行向けの案件が伸びたほか、海外事業の構造改革効果も利益拡大につながった。
このほか、全体相場が荒れた展開のなかでも頑強な値動きを続けている、9位のバンダイナムコホールディングス <7832> 、23位の近鉄エクスプレス <9375> 、34位のトレンドマイクロ <4704> なども注目したい。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 7-9月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<4552> JCRファ 142 10731 4443 156 21700 8488 18.4
<9107> 川崎汽 69.1 149573 88441 210 390000 125867 1.8
<9104> 商船三井 60.7 167575 104268 58.8 480000 302219 2.0
<9101> 郵船 58.6 243626 153620 230 710000 215336 2.0
<4980> デクセリ 54.3 6965 4513 82.6 19800 10844 18.4
<2412> ベネ・ワン 38.4 4010 2898 20.0 11830 9858 95.8
<6976> 太陽誘電 34.2 20370 15174 55.2 64000 41247 17.4
<4063> 信越化 32.0 172691 130831 19.5 500000 418242 23.0
<7832> バンナムHD 23.0 35357 28754 6.1 93000 87612 35.8
<2331> ALSOK 21.2 15717 12969 10.9 43500 39212 17.3
<9613> NTTデータ 18.7 62069 52306 19.1 175000 146914 32.4
<6965> ホトニクス 18.0 11059 9371 12.3 38900 34648 40.7
<7733> オリンパス 17.7 46894 39845 42.8 139000 97312 30.0
<4485> JTOWER 17.2 109 93 1.1 180 178 2303
<6981> 村田製 16.7 124143 106340 16.0 367000 316417 21.9
<6967> 新光電工 16.6 16990 14569 76.0 61400 34887 17.7
<1911> 住友林 15.0 36588 31807 114 126000 58824 6.2
<6098> リクルート 12.4 118436 105407 52.2 365000 239814 41.6
<8919> カチタス 11.4 3649 3275 10.5 12293 11125 39.9
<4186> 東応化 10.7 5644 5099 22.8 19800 16129 20.2
<3291> 飯田GHD 9.6 44157 40278 4.4 125000 119685 8.7
<2264> 森永乳 8.3 11162 10309 5.6 31800 30109 7.9
<9375> 近鉄エクス 8.2 13320 12309 47.7 51000 34529 6.9
<8424> 芙蓉リース 7.9 15280 14160 4.2 50000 47996 7.6
<8113> ユニチャーム 7.8 36895 34220 22.1 117000 95849 39.3
<7309> シマノ 7.8 39824 36952 40.7 142300 101110 29.6
<4061> デンカ 7.5 16130 15008 21.9 40000 32811 11.1
<6273> SMC 4.4 64708 61961 15.0 228000 198201 31.2
<4403> 日油 4.1 9863 9471 14.6 34500 30099 20.9
<2127> 日本M&A 3.1 5986 5807 8.8 18000 16540 82.6
<5384> フジミインコ 3.0 3225 3132 52.4 11750 7709 22.2
<5713> 住友鉱 3.0 61727 59939 22.1 266000 217866 5.7
<4684> オービック 2.8 14669 14266 6.5 56000 52600 48.8
<4704> トレンド 2.5 12681 12373 3.4 41200 39854 27.9
<2702> マクドナルド 1.9 10981 10773 5.0 33000 31425 32.5
※ 2020年10月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した2003年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
株探ニュース