雨宮京子氏【上値重い日経平均、東京市場に春の兆しは見えるか】(1) <相場観特集>
―金融引き締め警戒と業績相場への期待が錯綜するマーケット―
週明け7日の東京株式市場は、リスク回避ムードのなか日経平均株価は軟調な展開となった。前週末の米国株市場は主要株指数が高安まちまちだったとはいえ、1月の米雇用統計発表を受け、FRBによる利上げや量的引き締め策への警戒感が改めて強まっている。3月期末にかけて日経平均は戻り足を継続できるのかどうか。全体相場の見通しや物色の方向性などについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「目先不安定な地合いで好業績銘柄に優位性」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
東京市場は足もと気迷いムードが強い。3月期末を意識して足もとでは機関投資家の損出し売りが出ており、2万7000円台半ばから上は値運びがどうしても重くなりがちだ。日経平均株価は1月大発会の大幅高でつけた2万9300円台から、直近安値である1月27日の2万6000円トビ台までの半値戻し水準が2万7600円前後で、目先的にはほぼ半値戻しを達成したものの、ここからが正念場となる。仮に押し戻されて2万7000円台を割り込むような展開となると、再び2番底を探りに行くケースも考えられる。
北京五輪開催中は軍事衝突などの地政学リスクは後退するが、欧米での金融引き締め政策への転換が意識されるなか楽観はできない。日経平均は欧米株が再び波乱展開となれば、その影響は避けられず、再び2万6000円近辺まで深押しもあり得る。一方、半値戻し水準から売り物をこなした後、もう一段の上昇があれば視界は変わり、3月期末にかけて2万9000円台を目指すような強調相場に発展する可能性もあるとみている。足もとでは、全体相場が先物主導で不安定となりやすく、個別株戦略も目先の値動きに翻弄されず業績好調なものに照準を合わせるのがセオリーとなる。
個別銘柄では、まず三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> をマーク。米金融政策の正常化が前倒しされる方向にあるなか、ここ米長期金利の上昇基調が強まっており、運用環境面で追い風が強い。また、半導体関連では、世界的に半導体テスターの旺盛な需要を取り込んでいるアドバンテスト <6857> の水準訂正余地が大きいとみている。一方、中小型株ではコネクター大手のI-PEX <6640> は自動車向けや半導体製造装置向けが好調で、下値固めの現状は買い場とみられる。このほか、放電加工や金型などが上向きとなっている放電精密加工研究所 <6469> [JQ]や、電気自動車(EV)向け温度センサーの拡大が期待される大泉製作所 <6618> [東証M]なども注目しておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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