【植木靖男の相場展望】 ─反転攻勢待ったなしか?!
「反転攻勢待ったなしか?!」
●マイナス材料に変化の兆し、相場大転換は近いか
日経平均株価は4月20日に戻り相場の肝である2万7350円処を突破したものの、三日天下どころか二日天下となって上値への期待が崩れ、再び下げに転じた。その後は下落基調を続け、5月12日には終値ベースでも2万6000円大台を割ってしまった。
だが、3月9日の2万4681円は割り込んでいない。つまり、一番底をつけたとの見方が正しければ、いまは着実に底値圏での地固めが進んでいると判断される。週末の5月13日の急騰ぶりに接するとその感が強まるのである。
だとすると、存外、地固めから脱出して、相場が大転換するのも近いとみたい。
なぜか? これまでの株価下落の要因はいうまでもなく、原油価格の高騰、米国長期金利の上昇、高いインフレ率などだ。
だが、ここへきて、こうした要因は徐々に反転しそうなのだ。原油価格は本年3月に高値をつけて早くも2カ月が経過し、3月24日の戻り高値すらまだ上回れずにいる。また、米国長期金利はどうか。5月9日に米10年債利回りは3.2%をつけたが、この日を含め4日連続で陰線となり、どうやら高値をつけた感がある。さらに数値が発表される度に市場を悩ませてきたインフレ率にもピーク感が兆しているとの見方が顕在化している。
為替については、円安に対する悲観から景気にはマイナスとの見方が多いが、よくよく考えると円安こそが日本経済復活の要(かなめ)とみてよい。たぶん23年にかけて国内生産への回帰が本格化するのではないか。報道によれば、TDK <6762> [東証P]、村田製作所 <6981> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]、三菱電機 <6503> [東証P]などが国内生産へ移行するという。国内設備投資も増えよう。
米国長期金利、インフレ率などこれまで米国株を大きく動かした要因に一服感が生じてくれば、米国株は反転上昇に転じるとみる。
かつて、日本株が平成バブル崩壊で高値から3カ月間急落したことを参考にすれば、NYダウは1月5日の大天井からすでに4カ月を過ぎ日柄調整は十分である。反転待ったなしの感があるのだ。
●焦らず、全体相場を見極めるとき
とはいえ、ここまで大きく下げてきたこともあり、買い転換とみるには慎重さも必要だ。ここへきてようやく買い方の見切り売りがみられるという。投げが出れば出るほど反転は近いが、現状、5月第3週にも2万7000円処を、連続陽線で突破すれば安心して買えるのではないか。焦ることはないのである。
バブル大天井を打った感のある米国株でも、日本株のかつてのバブル大天井打ち後の顛末をみれば、3カ月くらいの自律反発が期待できるのだ。まして金融政策が真逆にある日本株の反転上昇はさらに長期で続くとみてよいのだ。
さて、当面の物色銘柄で狙ってもよいのは、次の3銘柄だろうか。
まず日揮ホールディングス <1963> [東証P]。大材料性、時代性、チャートのいずれも合格だ。オリンパス <7733> [東証P]も損はしない銘柄といえそうだ。また、IHI <7013> [東証P]もまだ上値が残されているようにみえる。
ともあれ、いまは焦らず、全体相場の見極めが肝要だろう。
2022年5月13日 記
株探ニュース