最近の冴えない相場でも資産倍増、億り人達成
第12回 日本株&アメ株で勝つ人(億り人・バガー投資家・Urame-katさんの場合その1)
登場する銘柄
注: 上場廃止銘柄も含まれる日本株で1億円を運用する専業投資家。2009年に100万円を元手に投資を始め、現在は中長期のカタリスト投資と短期トレードが主体。20年半ばに専業に転じ、5000万円だった運用額は足元で2倍に増えた。兼業投資家の頃は営んでいた医療事業で忙しく、本人曰く「戦略が曖昧な売買が多く、資産増はアベノミクスの恩恵を受けただけ」。専業になるにあたり、それまでの投資法を見直して億り人の称号を得ることになった。左の写真は幼少期の息子のもの。
足元の日経平均株価は2万6000円台半ばと、昨年高値の3万795円から20%近く落ち込んでいる。金融引き締めや地政学リスクなどが重くのしかかっている状況だ。
逆風が吹き荒ぶ中で、日本株資産を減らすどころか2倍に増やして「億り人」の称号を手にしたのが、今回紹介する専業投資家のUrame-katさん(ハンドルネーム)だ。
2020年末時点で約5000万円だった運用額は現在1億円の億り人。またこれまで投下してきた元本は累計で1000万円弱なので、トータルでは資産テンバガーを達成したバガー投資家だ。
そんなUrame-katさんが投資で中核に置くのは、今が旬のモメンタムに乗ること。足元の投資マネーはどこに向かって動いているのかを見極めて、勝機を探る。
具体的な戦略は、1カ月~1年以内の中長期投資と、1カ月未満の短期投資の2つ。戦略ごとに銘柄の選別方法は異なるが、投資資金の方向性を入り口にする点では同じだ。
それぞれの具体例をこれから2回に分けて紹介する。初回は中長期投資について見ていく。この戦略では、株価に影響を与える材料を探るカタリストに注目するものだ。
旭有機材株、原油高の逆風下で購入し700万円のリターン
カタリストは主にIR(投資家向け広報)資料などから探るものだ。直近の成功例が、半導体製造装置など様々な設備に使われる樹脂バルブを取り扱う旭化成系の旭有機材<4216>だ。21年8月と10月に1400~1500円で仕込み、約4カ月後に2000円超で売却。700万円のリターンを獲得した。
同社株に注目した理由の1つは、ニッチトップ企業である点だ。同社は経産省主催の「グローバルニッチトップ企業」(2020年度版)に選出された1社。樹脂バルブの市場規模は世界で600億円程度と推計され、同社はそのうち15%とトップの占有率だ。
同社・経営企画部によれば、自社が同年に供給した樹脂バルブのうち、半導体向けが3割を占めるという。そのため同社株は、「半導体・半導体製造関連」で物色される銘柄にもなっている。
■『株探』で確認できる旭有機材の日足チャート(2021年7月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
Urame-katさんが昨年8月に買い出動したのは、ニッチトップ企業の強みを持っているにもかかわらず、他の半導体関連銘柄の中で株価が出遅れていると感じたことが1つ。もう1つは、当時、金属価格の高騰によって金属製バルブの需要の一部が樹脂バルブに流れる期待もあった。
成功したポイントは、昨年9月ににわかに進んだ原油高や中国恒大の信用不安、米国の金融引き締め懸念などによって生じた市場の混乱を冷静に捉えたことだ。旭有機材は9月17日の高値1598円から月末までに7.4%下げた。
この時期に原油高を嫌気され、素材関連銘柄が値を下げていた中で、同社の場合は原油高の悪影響がさほど響かないだろうと、Urame-katさんは考えた。特定の製品・サービスで競争力を持つニッチトップ企業は、その分野では比較的顧客の囲い込みがうまくいっている可能性が高い。そうであれば、コスト上昇分を販売価格に転嫁できるだろうと見立てた。
その見立てが正しいかを確認するため、IR部門に問い合わせると「価格転嫁ができている。引き合いは変わらず好調だ」といった主旨のコメントを得た。それもあって、Urame-katさんは次の決算で上方修正を期待できると判断し、原油高で下落した後の10月に同社株を買い増した。
実際に同社株で21年10月末、22年1月末と上方修正が相次ぎ、株価はその都度急騰。Urame-katさんは22年2月の高値近辺で利確した。
■『株探プレミアム』で確認できる旭有機材の上方修正履歴
Urame-katさんが買い出動する条件は、大きく3つある。
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