【杉村富生の短期相場観測】 ─ベアマーケット下の投資戦術とは……?(訂正)
「ベアマーケット下の投資戦術とは……?」
●10月は金融行事の空白期!オニの居ぬ間に?
先週来、「目先は自律反発のタイミング」と主張している。騰落レシオなどテクニカル指標は売られすぎゾーン突入を示唆、底打ちは近いと思う。ここはNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]の買い下がり戦術が有効だ。機関投資家のポジション調整、日経平均株価の入れ替えなど需給面でのイベントは月末・月初に通過する。
もちろん、戻りは鈍いし、上値は限定されるだろう。なにしろ、ベア(弱気)マーケットである。ただし、10月はFOMC(米連邦公開市場委員会)などの金融行事がない。10月13日にはアメリカの9月のCPI(消費者物価指数)上昇率の発表がある。これは8月(8.3%上昇)比で改善しているだろう。
日本では10月3日に臨時国会が召集される。岸田政権は発足1年(10月4日)を迎える。野党は「国葬問題」「円安」「物価高」を追求する構えだ。政府は30兆円規模の総合景気対策(補正予算の編成)を早期に成立させたい考え。景気対策の目玉はインバウンド(外国人観光客)関連となろう。
それと、IMF(国際通貨基金)は10月に世界経済見通しを公表する。世界全体、および主要国が軒並み下方修正されそうな状況下、日本は上方修正される、との見方がある。国際マネーは成長率をベースに資金配分を行う。このため、日本市場の見直しのきっかけになり得る。
外部環境ではイギリスのトラス政権が打ち出した減税策と国債増発、イタリアのメローニ政権(大衆迎合主義→ポピュリズム)の誕生が金融マーケットの波乱要因になる、と危惧されている。ポンド、ユーロが売られ、ドルはますます強くなる。政府・日銀はドル売り、円買い介入を行ったが、効果は「?」である。
●"小粒"だが、キラリと光る銘柄を狙う!
いずれにせよ、ここは引き続いて、個別銘柄対応の投資戦術が有効だ。そう、各論勝負である。総論を語っても始まらない。何を狙うか。その前に、ネガティブな材料(押し目買い不可?)を紹介しておこう。まず、アメリカの物流大手フェデックス<FDX>の業績下方修正である。これは世界景気の減速リスクを反映したものだろう。
バルチック海運指数はジリ安だ。海運株は当面、高値しぐれ商状となろう。さらに、アップル<AAPL>の「iPhone14」の販売不振が伝えられている。アップルファミリーはもとより、半導体株は買いづらい。アメリカでは強制的な薬価引き下げを盛り込んだIRA法(インフレ抑制法)が成立した(8月16日)。これは日本企業も対象となる。
さらに、欧州委員会は石油、ガス、石炭などエネルギー企業の課税を強化する。過去3年間の平均利益を20%超える分の33%を徴税、1400億ユーロ(約20兆円)を確保するという。日本企業は関係ないが、国際商品市況はロシアのウクライナ侵攻前の水準に逆戻りしているだけに、株価的には影響を受けるだろう。
悪い話を長々と並べたが、「変化の予兆を見逃すな」は株式投資の基本である。もちろん、天然ガスは奪い合いの状況だ。特に、LNG(液化天然ガス)の価格は高止まりするだろう。INPEX <1605> [東証P]の相場は終わっていない。天然ガスの長期契約は原油価格に連動するが、押し目は買える。
世界シェア2位の大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> [東証P]の業績は飛躍的に伸びる可能性がある。スポンジチタンの需要が急増しているのに、世界シェア30%とトップのロシア・VSMPOアヴィスマが西側企業から排除されている。世界シェア2位、3位の東邦チタニウム <5727> [東証P]など日本勢が脚光を浴びるのは当然だろう。
このほか、"小粒"ながら圧倒的な存在感を示している新日本科学 <2395> [東証P]、湖北工業 <6524> [東証S]、ANYCOLOR <5032> [東証G]、日本電波工業 <6779> [東証P]、イーディーピー <7794> [東証G]、サカタのタネ <1377> [東証P]、三和油化工業 <4125> [東証S]、INTLOOP <9556> [東証G]はロングランに狙える。
2022年9月30日 記
株探ニュース