IPOに復活機運高まる、11月は初のeスポーツ企業登場にも関心 <株探トップ特集>

特集
2022年11月1日 19時30分

―10月まで23社連続で初値上昇、完全栄養食「ベースフード」に強弱観―

世界的なインフレ懸念の台頭とともに、株式市場は年初からの不安定な相場が続く。直近の関心は米金融政策の行方に向かっており、相場の先行きには強弱観が対立している。そんななか、市場の関心を集めているのが IPO銘柄だ。年前半は不振だったが、夏場以降は着実な人気を集め、10月末まで23社連続で初値が公開価格を上回った。人気復活期待が高まるなか、11月は新たに5社が登場する。赤字企業も登場するなか、果たしてIPOの人気は続くのか。

●10月IPOのプラスゼロやソシオネクスが人気集める

IPO銘柄への人気が復活している。7月28日に東証グロース市場に新規上場したHOUSEI <5035> [東証G]とunerry <5034> [東証G]以降、23社連続で初値は公開価格を上回っている。10月IPO企業をみても、28日に東証グロース市場に新規上場したpluszero <5132> [東証G]は上場初日には値がつかず、2日目となる31日に公開価格の2.3倍となる3805円で初値をつけた。人工知能(AI)で業務の改善提案を行っており、AI関連銘柄として注目を集め、上場3日目のきょうもストップ高に買われた。

また、20日にグロース市場に上場したビジネスコーチ <9562> [東証G]の初値も公開価格の2.0倍となった。更に、12日に東証再編後に初めてプライム市場に直接上場した半導体関連企業のソシオネクスト <6526> [東証P]も初値は公開価格を5.1%上回ってスタートし、その後、直近まで株価は初値から4割強上昇している。

●夏場以降、IPO人気は盛り返す

今年は世界的に株式市場が荒れる展開となるなか、IPO市場も年前半は不振が続き6月は新規上場12社のうち5社の初値が公開価格を割り込んだ。そんな状況を転換させたのは、米国市場で政策金利上昇にピークアウト期待が浮上したことなどが大きい。更に市場では、「年前半のIPO市場の不振を受け大型企業や赤字企業の新規上場が控えられた」(市場関係者)ことなどが指摘されている。加えて、公開価格に関するルール見直しが浮上したが、「いまのところ市場に与える影響は限定的とみられている」(アナリスト)こともIPO相場にとっては安心感を生んでいる様子だ。

市場では、6月IPOのVTuber関連銘柄のANYCOLOR <5032> [東証G]や業績好調のM&A総合研究所 <9552> [東証G]、マイクロ波の産業利用に取り組むマイクロ波化学 <9227> [東証G]、単結晶のダイヤモンドの開発などを手掛けるイーディーピー <7794> [東証G]などの直近IPO銘柄も関心を集めている。

●11月登場のeスポーツ総合商社、ウェルプレイに期待感

そんななか、中旬からは11月IPOが始まる。東証グロース市場に5社が上場を予定している。例年11月は秋の注目企業が登場する10月と年末のIPOラッシュを迎える12月との端境期となり、新規上場企業はやや減少することが多い。ただ、話題企業が登場することも少なくなく目は離せない。

11月の注目IPOとして市場の関心を集めているのが、30日に新規上場するウェルプレイド・ライゼスト <9565> [東証G]だ。同社は「eスポーツ総合商社」として、 eスポーツを活用したイベント企画・運営などを展開している。カヤック <3904> [東証G]の子会社で市場規模が急拡大しているeスポーツ専門企業として初の上場銘柄となる。業績も拡大基調にあり、想定発行価格から弾いた資金吸収額は5億円台、時価総額も30億円弱と小さく値が飛ぶ展開も期待されている。

●POPERなどに期待、ベースフードやティムスには強弱観も

15日に新規上場するPOPER <5134> [東証G]は、学習塾業務を効率化するSaaS「Comiru」を展開。有料契約企業数は拡大し今期業績の黒字化が見込まれている。仮条件から弾いた資金吸収額は4億円強、時価総額は20億円台と規模は小さい。また25日に上場するtripla <5136> [東証G]は宿泊施設などに対する公式サイト予約システムなどを展開。資金吸収額は7億円強、時価総額は30億円強が見込まれている。

一方、市場で強弱観が対立しているのが15日に上場するベースフード <2936> [東証G]と22日上場のティムス <4891> [東証G]だ。ベースフードは完全栄養食の開発・製造を手掛ける。CMなども行っており、「完全栄養食の会社として知名度は高い」(アナリスト)という。ただ、業績は前期まで赤字基調で、想定発行価格950円に対して仮条件は760~800円に引き下げられた。仮条件から弾いた資金吸収額は60億円弱、時価総額は400億円前後と大きく、同社の株価動向が関心を集めている。ティムスは東京農工大学発のバイオベンチャー。脳梗塞治療薬の開発などを手掛ける。前期を除き業績は赤字基調。海外での公募や売り出しも行う予定で、想定発行価格から弾いた資金吸収額は30億円弱、時価総額は240億円強が見込まれている。

■11月IPO一覧

上場日 コード・上場市場  企業名           主幹事

15日  5134・東G   POPER         大和

15日  2936・東G   ベースフード        三菱UFJ

22日  4891・東G   ティムス          SMBC日興

25日  5136・東G   tripla        大和

30日  9565・東G   ウェルプレイド・ライゼスト SBI

(注)東Gは東証グロース

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.