米石油在庫は増加も、主要産油国の増産の影響は今のところ限定的<コモディティ特集>
●米石油在庫の増加は製品在庫の積み増しが背景
米エネルギー情報局(EIA)が17日に発表した週報で、石油戦略備蓄(SPR)を除く米国の原油と石油製品の在庫は合計で12億8241万1000万バレルまで増加し、昨年8月以来の高水準となった。今年3月にかけては減少傾向にあったが、それ以降は増加に転じている。一見すると石油輸出国機構(OPEC)プラスが自主減産を縮小し、解消に向かっていることが在庫を押し上げているように見えるが、米原油在庫は4億1536万1000バレルと年初来の低水準で推移しており、OPECプラスの増産の影響は見られない。米石油在庫の増加は主に、製品在庫の積み増しが背景である。
米石油製品需要の4週間移動平均は日量2067万1000バレルまで減少した。先月には今年最高水準となる日量2128万2000バレルを記録したものの、ガソリンの需要期の終わりとともに石油消費はしぼんでいる。ただ、季節的なピークアウトが見られるとはいえ、石油製品需要は前年を上回って推移しており、足元の需要はしっかりとしている。需要の弱さが米国内の製品在庫を押し上げているようには見えない。
●まもなく米国の減産が始まる
米原油生産量の4週間移動平均は日量1346万バレルと、過去最高水準を維持。ただ、米国の原油生産の中枢であり、シェールオイル生産の中枢でもあるパーミアン盆地の掘削リグは254基と減少傾向にあるため、米国の減産はまもなく始まるだろう。1バレル=60ドル台のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)相場は生産を刺激するには不十分である。
EIAの短期エネルギー見通し(STEO)によると、7月のパーミアン盆地の掘削済み・未仕上げ坑井は977本まで減少し、統計開始以来の最低水準を更新していることから、石油企業が新規投資に後ろ向きであることを示唆する。パーミアンで操業する石油企業は過去に掘削した坑井に仕上げ作業を施しつつ、足元の生産量を維持しており、過去の投資に依存している印象が強い。
米国内の製品在庫の増加は、石油市場の圧迫要因である。米原油生産量が過去最高水準を維持していることも重石になっている。ただ、OPECプラスの主要産油国の増産にも関わらず、中国が備蓄を強化しているため、米国の原油在庫は依然としてタイトである。世界最大の産油国である米国で減産が始まるなら、米国内の原油在庫はさらにタイトとなるだろう。EIA週報は強弱が混在しており、相場を動かす手がかりにはなりづらいものの、STEOを含めて潜在的なリスクに目を向けるならば、強気に構えておくのも一つの選択肢である。
(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)
株探ニュース