プラチナは12年ぶり高値、米利下げ観測や金堅調で一段高 <コモディティ特集>
プラチナ(白金)の現物相場は9月、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定され、年末までさらに2回の利下げが見込まれたことに加え、地政学的リスクの高まりによる金一段高を受けて踏み上げの動きが出た。また10月1日の米政府機関閉鎖の可能性を受けて金が引き続き上値を試したことも支援要因となり、2013年2月以来の高値1625.80ドルを付けた。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が2023年以降、3年連続で供給不足の見通しとなり、今後の展望では2029年まで供給不足が続くとみていることも支援要因である。ドル安や金堅調が続くと、引き続き上値を試すとみられる。
9月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.00~4.25%とした。FOMC声明で、雇用の伸びは鈍化し、失業率はわずかに上昇したと指摘した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の会見で「関税による持続的なインフレへのリスクを管理・評価する必要がある」と述べ、今後の利下げに慎重姿勢を示した。ただ、CMEのフェドウォッチでは10・12月のFOMCでの利下げを織り込んでいる。8月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は2万2000人増と事前予想の7万5000人増を大幅に下回った。失業率は4.3%と前月の4.2%から上昇し、約4年ぶりの高水準となった。一方、8月の米消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇と前月の2.7%から伸びが加速し、1月以来の大幅な伸びとなった。インフレ懸念が残ることは今後の利下げを見送る要因になる。
●ロシアの領空侵犯で地政学的リスクが高まる
東欧でロシアの領空侵犯が相次ぎ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の緊張感が高まった。ポーランドやルーマニアでロシアのドローン(無人機)が領空侵犯し、エストニアはロシアのミグ31戦闘機3機が12分間にわたり領空を侵犯したと発表した。更にデンマークの地方空港5ヵ所に大型ドローンが飛来した。欧州はロシアに対し、これ以上の領空侵犯があった場合、撃墜を含め、全面的な対応を取ると警告した。
ウクライナとロシアの停戦がまとまらないなか、トランプ米大統領はロシアの侵攻で奪われた領土をウクライナが全て取り戻せると確信していると述べ、米ロ首脳会談で示した立場を転換した。バンス米副大統領は、ウクライナに対して巡航ミサイル「トマホーク」の供与を検討しているとしており、ウクライナの戦況やNATOとロシアの対立の行方を確認したい。
●WPICは3年連続の供給不足見通しも前回から4トン下方修正
WPICの四半期報告によると、2025年は26トンの供給不足となり、3年連続の供給不足となることが予想された。前回予想の30トンの供給不足から4トン下方修正された。金高騰でプラチナの割安感が強まって宝飾品の代替需要が増加し、中国の投資需要急増も背景にある。トレヴァー・レイモンドCEOは、「プラチナは構造的な供給不足に陥っており、プラチナ投資は魅力的である。特に中国で目立っている」と述べた。中国の国慶節の大型連休でプラチナ宝飾品の売り上げを確認したい。
●米国のプラチナETFに投資資金が流入
プラチナETF(上場投信)残高は9月29日の米国で38.07トン(8月末35.83トン)、26日の英国で11.00トン(同11.76トン)、南アフリカで8.05トン(同8.14トン)となった。米国で投資資金が流入し、合計で1.39トン増加した。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2042枚(前週1万5203枚)となり、7月1日以来の高水準となった。戻り高値を突破したことを受けて新規買い、買い戻しが入った。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
株探ニュース