異なる視点で見るAIへの夢、2大アクティビストの銘柄選定術<13Fで読み解く米著名投資家の売買戦略>第2回
【今回分析する米投資家】
2026年1-3月期の米国株市場は、投資家にとって極めて難しい環境だった。年初は堅調な景気や企業業績への期待が相場を支えたものの、その一方でインフレ圧力は根強く、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待は後退し始める。さらに中東情勢の悪化による原油高がインフレ再燃への警戒感を高めた。
同時に市場では、生成AI(人工知能)ブームが新たな局面を迎える。2024年~2025年のような「AI関連なら何でも買い」という相場は終わり、「AI時代の勝者は誰か」という選別の段階へ移行していたのである。特に話題となったのが「SaaSの死」という論点だった。背景には、米アンソロピックのAIに象徴されるエージェント型AIが、インターネットを通じてクラウド上のソフトウェアを利用する仕組みのSaaSに代わり、企業アプリケーションを横断して業務を実行できる可能性を市場に強く意識させたことが挙げられる。
投資家は、従来型ソフトウェア企業が築いてきたユーザーインターフェース(人間がコンピューターをスムーズに操作し、コンピューターが処理した結果を人間に分かりやすく伝えるための仕組み)やワークフロー中心の競争優位が、AIエージェントによって侵食される可能性を織り込み始めていた。こうした環境の中で公表された「フォーム13(13F:機関投資家の株式保有報告書)」からは、著名アクティビスト投資家であるダニエル・ローブ(サード・ポイント)とビル・アックマン(パーシング・スクエア)の対照的な投資哲学が鮮やかに浮かび上がる。(執筆・若桑カズヲ、編集・樫原史朗)
◆利益確定を進めながら次の「カタリスト」を探すローブ