家賃高騰で進む狭小住宅シフトの救世主!「トランクルーム関連銘柄」 <株探トップ特集>
―新たな生活インフラとして市場規模は16年連続右肩上がり、27年には1000億円大台へ―
都市部を中心とする「家賃高騰」の波が止まらない。不動産価格の上昇は新築・中古マンションの分譲だけではなく、賃貸市場にも完全に波及しており、アットホーム(東京都大田区)の調査によると、マンションの平均募集家賃はファミリー向きが2026年5月まで9カ月連続して全エリアで前年同月を上回った。シングル向きでも東京23区が24カ月連続となり15年1月以降の最高値を更新している。
家賃高騰に伴い、限られた予算のなかで都市部に住み続けるために「居住スペースの狭小化」を余儀なくされるケースが増加しているが、そうしたなかにあって以前にも増して脚光を浴びているのが、「トランクルーム」だ。自宅の「押し入れ」を外に設けることで、家賃を抑えても快適に暮らす――この合理的な生活防衛策がトランクルーム市場に追い風をもたらしている。
●「広さより家賃」で加速する「収納アウトソーシング」
かつてであれば、ライフステージが変化したり家賃が値上がりすれば、都心から郊外へ引っ越すのが定石だった。しかし近年では、共働き世帯の増加に伴う「職住近接」への強いニーズや、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若年層の価値観などから、利便性の高い都心部を離れたくないというニーズが多数を占めている。結果として、「同じ家賃を払うなら、部屋を1部屋減らす」あるいは「平米数を削ってでも利便性を維持する」という「広さより立地」「広さより家賃」を優先するケースが増えている。
そこで問題となるのが収納スペースだ。部屋数や平米数を削った分の「あふれた荷物」をどうするかは、現代のビジネスパーソンやファミリー層にとって死活問題。この「構造的な収納不足」の穴埋め役として、トランクルーム市場が拡大している。
●トランクルーム店舗数はファミレスを凌駕
国内トランクルーム大手のキュラーズ(東京都品川区)が25年6月に発表した「トランクルーム市場(屋内・屋外含む)に関する市場規模と成長予測に関する2025年度調査」によると、国内のトランクルーム市場は調査を開始した08年以来、16年連続で右肩上がりの拡大を継続し、24年には848億円に到達。その後も堅調な成長が見込まれ、27年には1037億円と、1000億円を超える市場に成長すると予測されている。
特に注目すべきは、全国のトランクルーム店舗数で、24年時点で1万4860店舗と1万店を突破し、日本フードサービス協会調べによる主要ファミリーレストランの総店舗数9574店(26年5月時点)を上回っている。トランクルームはもはやファミリーレストランと同様の生活インフラの一部となっていることがうかがえる。
●エリアリンクによるストレジ王買収で業界再編の思惑も
成長を続けるトランクルーム市場だが、先日にはこの市場の勢いを象徴するニュースも伝わってきた。
トランクルームの室数で業界最大規模を誇るエリアリンク <8914> [東証S]が7月8日、セルフストレージ方式のトランクルームを開発・運営するストレージ王 <2997> [東証G]の完全子会社化を目指し、TOBを実施すると発表した。エリアリンクでは29年に総室数20万室(26年6月時点13万4612室)の運営を目指し新規出店の加速やパートナー制度の拡充、M&Aに注力しており、ストレジ王買収もその一環。事業規模の拡大に伴うスケールメリットが期待できる業界だけに、買収による業績拡大への期待も高い。
更に、トランクルームはストック型ビジネスとしての側面も強い。一度契約されれば2~3年にわたって利用されるケースが多く、安定した賃料収入をもたらす。成長期待に加えて、ディフェンシブ性も兼ね備えたテーマとして、今後も注目されそうだ。
●トランクルームの関連銘柄
関連銘柄の代表格は前述のエリアリンクだろう。M&Aやパートナー制度によるシェア拡大のほか、利用者向けサービスである「ラック販売・組み立てサービス」や、自宅からの荷物の搬出、トランクルームへの荷物の搬入・収納までを一体的に提供する「ハロー宅配便」の提供などで差別化を推進している。今回のストレジ王の完全子会社化でも、ビッグデータ・集客力・運営ノウハウを活用して効率経営を一層強化するとしており、グループシナジーを早期に実現することでグループとしての企業価値向上を目指している。
パルマ <3461> [東証S]は、トランクルーム事業に特化してBtoBtoCビジネスを展開しており、トランクルーム経営に関する業務プロセスを一括受注している。トランクルーム事業者向けの「賃料債務保証付きBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」は、国内事業者の約6割が利用。また、WEB契約システムとして、リアルタイムでの空室検索や在庫管理、申し込みやオンライン決済ができる独自のプラットフォームも提供している。26年9月期通期業績予想では単独営業利益3億7000万円(前期比2.5倍)を見込む。また、ディア・ライフ <3245> [東証P]のグループ会社であり、開発から管理までのシナジーも強力だ。
三協フロンテア <9639> [東証S]は、ユニットハウスの製造・販売大手。トランクルーム市場における「屋外型コンテナ」のサプライヤーとして、市場の拡大をハード面から支えているほか、独自に「U-SPACE」ブランドでトランクルーム事業を行っており、26年3月期末時点で478店舗(前の期比16店舗増)を展開している。27年3月期はユニットハウス販売や工事売上高の増加を見込み連結営業利益88億円(前期比10.1%増)と2ケタ増益を予想している。
長栄 <2993> [東証S]は、京都・滋賀エリアで最大級、関西でも屈指のマンション管理会社。京都市内一円や大阪・滋賀で管理する賃貸物件の敷地内や空きスペースを活用したトランクルーム展開を進めており、「あふれた荷物は敷地内のトランクルームへ」という住み方を自社物件の入居者へダイレクトに提案できる強みを持つ。27年3月期は管理物件の増加による売上高の増加を見込むほか、新規取得物件を厳選することで取得費用を抑え単独営業利益22億9100万円(前期比16.4%増)と2ケタ増益を見込む。
あかつき本社 <8737> [東証S]は証券関連事業や不動産関連事業を展開しており、子会社マイトランクが都心部を中心に都内にトランクルームを約30店舗運営している。なお、27年3月期は、連結営業利益56億円(前期比10.8%減)を見込む。
このほか、愛知県を地盤とする不動産会社の山忠 <391A> [名証M]は、新規事業として屋内型レンタルトランクルーム「Goodストレージ」の多店舗展開に注力しているほか、個人向けで美術品・貴重品保管などプレミアムなトランクルームサービスを提供する三菱倉庫 <9301> [東証P]や三井倉庫ホールディングス <9302> [東証P]をはじめとする大手倉庫会社などは含み資産の面からも注目されている。更に、ゲオホールディングス <2681> [東証P]は衣類・趣味用品などのリユース事業を行っているが、保管ニーズとリユースの親和性は極めて高く、同社自身も配送無料の宅配型トランクルームサービスを一部地域で展開している。
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