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「三重苦」の逆風を跳ね返す!勝ち組「ラーメン株」に注目 <株探トップ特集>

特集
2026年7月21日 19時30分

―コスト高・節約志向・消費税懸念で淘汰加速、ブランド力持つ大手はシェア拡大へ―

原材料高や人件費の高騰、食品の消費税減税が実施された場合のマイナスインパクトへの警戒などで低迷していた外食株だが、ここにきて復活の兆しを見せている。すかいらーくホールディングス <3197> [東証P]、ゼンショーホールディングス <7550> [東証P]などは5月下旬から6月初旬にかけて株価は底を打ち反発に転じ、トリドールホールディングス <3397> [東証P]も6月下旬以降反発へと転じている。

その一方、いまや日本の国民食であり、世界的にも巨大なキラーコンテンツとなった「ラーメン」に関しては、上半期のラーメン店の倒産が過去最多を更新したと気になるデータも発表された。ただ、逆風下にあっても競合の淘汰を横目に好調な企業もあり、そうした企業は今が投資のタイミングと言えそうだ。

●生存競争が激化するラーメン店

東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると、2026年上半期(1~6月)に倒産した「ラーメン店」は36件(前期同期比44.4%増)に上り、集計可能な09年以降の上半期では、24年同期の33件を超えて過去最多を更新した。食材価格の高騰や、水道・光熱費などの物価高、人件費増などで、最近ではラーメン1杯1000円を超えることも珍しくはなくなり、かつて「安くて美味い」の代名詞だったラーメンは、いまや気軽に暖簾(のれん)をくぐれない一品になりつつある。ただ、消費者の生活防衛意識も一段と高まっていることから、同社によると価格に見合った味や接客サービスなどで満足感を提供できない店舗は客離れを引き起こしかねず、ラーメン店の生存競争は激化しているという。

●消費税減税で更なる苦境に追い込まれる可能性

こうした「外食の手控え」と「コスト高」の二重苦に加えて、ラーメン店に追い打ちをかけかねないのが「消費税減税」の動向だ。

現在、議論の中心となっているとされる「2年間限定の食料品の消費税1%」案は、スーパーで購入する食品が8%から1%へ大減税される一方、外食であるラーメン店は「10%」のまま据え置かれることになる。これまでは、食品を購入して自炊、あるいは持ち帰りした際の消費税は8%で外食との差は2%だったが、これが9%に拡大することで消費者の生活防衛意識は更に先鋭化するとみられ、強力な外食離れ(内食回帰)インセンティブが働くことが予想される。

ただでさえ食材費や人件費の高騰で価格転嫁の限界に直面している個人店や中小事業者にとって、この税率差による客足の減退は更なる打撃となりかねない。業界内の淘汰圧力を一段と強めることにつながりそうだ。

●ラーメン店の市場規模は1兆円目前

逆風下にあるラーメン業界だが、そのなかにあっても、新たなブランドの獲得を狙うラーメン店大手や外食チェーンなどは順調に出店を続けており、こうした企業はラーメン店大淘汰時代の勝者としてシェア拡大が期待できる。また、苦戦する中小のラーメン店を買収・統合し、DX化をはじめとした経営ノウハウを導入することで再生を図る動きや海外へ成長の活路を見出す企業もあり、このような企業の活躍により、ラーメン店市場は引き続き拡大が見込まれている。帝国データバンク(東京都港区)によると、ラーメン店市場の規模(事業者売上高ベース、5月時点)は、25年度の見込み値で8855億円となり、10年前の15年度(5418億円)に比べて63.4%増加し過去最高を更新。早ければ27年度内には初の1兆円台に到達する可能性があるとしている。

また、外食産業が苦境に陥ることを懸念した政府が、仮に消費活性化を目的とした外食への軽減税率適用といった「減税カード」やかつての「Go To Eatキャンペーン」のような消費刺激策を切るようなら、その恩恵も期待できよう。

●逆風に強いラーメン関連銘柄

注目されるのは、家では再現できない味で客を呼び込むことのできる圧倒的なブランド力を持つ企業や、あるいは持ち帰りやECなどのサプライチェーンをいち早く構築している企業だろう。

ギフトホールディングス <9279> [東証P]は、横浜家系ラーメンの「町田商店」やガッツリ系ラーメンの「豚山」などを展開しており、26年10月期第2四半期末時点で直営店(JV店含む)295店舗、プロデュース店590店舗など国内外で930店舗を展開。28年10月期には店舗数1316店舗を目標としている。今年6月時点で国内直営既存店売上高が47カ月連続で前年実績を上回るなど支持を得ているほか、逆風下で個人店が苦戦するなか、同社の運営ノウハウの提供やPB商品の提供を行うプロデュース事業への引き合いが逆に強まっており、業界の淘汰を自社のシェア拡大に変える力を持っている点に注目したい。

物語コーポレーション <3097> [東証P]は、「焼肉きんぐ」が主力だが、熟成しょうゆラーメンの「丸源ラーメン」を中心としたラーメン事業も主力ブランドの一つで、26年6月期第3四半期末時点で直営138店舗、FC108店舗を展開している。郊外ロードサイドを中心にショッピングセンター内にも出店しており、車利用のファミリー層からの強い支持を得ているのが特徴で、今後も郊外ロードサイド及び都市型ビルイン出店を推進。また、戦略的な価格設定による競争力強化で国内ラーメン業界のナンバーワンブランドを目指している。

丸千代山岡家 <3399> [東証S]は、北海道・東北と北関東を地盤として、ロードサイドを中心に濃厚豚骨ラーメンの「ラーメン山岡家」などを展開しており、トラック運転手や深夜帯の固定客をはじめとする熱狂的ファンが多いのが特徴。「全店直営」「店内調理」「24時間営業」を基本に27年1月期第1四半期末時点で国内に198店舗を展開しており、既存店売上高は今年6月まで51カ月連続で前年実績を上回る。また、「300店舗・47都道府県への店舗展開」の実現を目指し規模拡大を図っている。

力の源ホールディングス <3561> [東証P]は、博多ラーメン「一風堂」を運営。08年に米ニューヨークに出店して以降、海外展開にも力を入れており、今年3月期末時点で16カ国・地域に317店舗を展開。現在では海外店舗売り上げが全体の約4割を占めるまでになった。今後も国内では都市部や大型商業施設、ロードサイドや地方都市への出店で年7~8店舗の純増を、また海外では毎年20~30店舗の純増を目指す。海外売上高が多いことから、仮に食品消費税減税で外食離れが起こったとしても、国内のダメージを海外展開でカバーできる点に注目。また、カップ麺やチルド麺などの商品販売事業も下支えとなろう。

SAKIGAKEホールディングス <5891> [東証S]は、京都背脂しょうゆラーメンの「京都北白川ラーメン魁力屋」などを郊外ロードサイドやフードコート中心に展開しており、店舗数は26年12月期第1四半期末時点で国内外278店舗に及ぶ。23年12月の上場以来、着実に店舗数を拡大させており、今年1月につけ麺専門店「三田製麺所」を展開するエムピーキッチンホールディングスを買収したことで、今期中に300店舗達成を目指す。また、7月1日付で持ち株会社体制へ移行し、社名も「魁力屋」から現社名に変更した。期間限定などの企画商品も多く、ファミリー層の人気も高い。

ハチバン <9950> [東証S]は、北陸を中心に岡山、長野で「8番らーめん」などを今年3月末時点で国内外において303店舗展開しており、「野菜らーめん」が看板メニュー。ほかに和食店舗や中華生めん・ラーメンたれ・冷凍餃子などの製造販売も行っている。「8番らーめん」の北陸地方におけるブランド認知度は抜群で、同地方のロードサイドにおけるシェアも強固。そのためトレンドや生活防衛意識に左右されにくい特徴がある。

INGS <245A> [東証G]は、しょうゆラーメンの「らぁ麺はやし田」「横浜家系ラーメン みどり」などを展開するほか、イタリアン&ワインバーの「CONA」、シュウマイを売りにした居酒屋の「焼売のジョー」などを展開。26年8月期第3四半期末時点で店舗数はラーメン事業45店舗、レストラン事業37店舗を数える。また、ラーメン店の開業に関する支援やPB商品を販売するプロデュースも手掛けており、業界の淘汰による商機にも対応している。

●ラーメン専門店以外にも注目

このほか、ラーメン専門店に限らず、外食業界で消費税率据え置きによる逆風に強みのある中華料理チェーンとして、低価格を強みとし駅前一等地に「中華食堂日高屋」を展開するハイデイ日高 <7611> [東証P]や、同じく低価格を強みとし、スクラップ&ビルドで駅前出店を強化している幸楽苑 <7554> [東証P]にも注目。また、外食としての店舗運営だけでなく、冷凍餃子で高いシェアを有するイートアンドホールディングス <2882> [東証P]も逆風に対する強い抵抗力を有しているといえる。

更に、逆説的ながら日清食品ホールディングス <2897> [東証P]にも注目したい。消費税10%据え置きで消費者が1%の食品へ流出するとすれば、「店から流れてきたラーメン難民」の流出先として、同社のチルドラーメンが受け皿になりそうだ。

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