官民タッグで急成長へ、底力発揮の「ペロブスカイト太陽電池」関連株 <株探トップ特集>
―40年度に原発20基分相当の導入目標、政府の強力バックアップで普及加速―
次世代発電の「ペロブスカイト太陽電池」に国策の追い風が強まっている。薄くて軽く曲げることのできる同太陽電池は日本の研究者が生み出した国産技術であり、製造に必要な主原料の ヨウ素を国内調達できることから経済安全保障に資するクリーンエネルギーとして期待が高まっている。現在主流のシリコン製太陽光パネルはその多くが中国製だ。もともとは日本が技術面で先行していたが、量産・商用化段階で後塵を拝した歴史があり、同じ轍を踏むわけにはいかない。既に民間企業の取り組みは活発であり、これを政府が強力にバックアップすることで飛躍的な普及を遂げることは容易に想像できる。
●骨太の方針に「導入拡大」明記
政府は先月開いた「公共部門等の脱炭素化に関する関係府省庁連絡会議」で、ペロブスカイトの国有施設への導入を2035年に50~70メガワット、40年に100メガワット以上とする新たな目標を示した。国が率先して需要を生み出すことで民間の普及を後押しする狙いがある。庁舎や社会福祉施設、研究機関など、さまざまなタイプの建物に応じた導入事例の創出を環境省が主導して検討し、その成果を同じく多くの施設を有する全国の自治体へと横展開していく構えだ。
従前から掲げている40年度までに国内全体で20ギガワット(原発20基分相当)とする導入目標に向け、政府は注力姿勢をますます鮮明としている。今月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」においてペロブスカイトの「サプライチェーンを強靱化し、導入を拡大する」と明記。また、骨太の方針とも密接に関わる370兆円超の官民投資ロードマップでは、戦略17分野の「資源・エネルギー安全保障・GX」における「主要な製品・技術等」の項目の一つに挙げ、40年度までに4兆1000億円を投じると見積もった。
●積水化、1000億円の売り上げ貢献を視野
関連銘柄の代表格と言えば積水化学工業 <4204> [東証P]だろう。長年の研究開発を経て今年3月に「SOLAFIL(ソラフィル)」のブランド名で販売をスタート。他社に先駆けて本格的な事業化を果たし、大きな話題を呼んだ。まずは27年度に100メガワット規模の生産ライン立ち上げを目標としており、5月に公表した中期経営計画では「立ち上げは順調に進捗」と記載。性能向上やコスト低減の技術開発を進めた上で更に生産ラインを増設し、早期に1ギガワットの供給体制構築を目指す考えも示した。100メガワット生産ラインのフル稼働で事業として黒字転換し、1ギガワット生産ラインのフル稼働で売上高1000億円規模の業績貢献が見込めるという。
●製造装置や部材・部品でも有力メーカー多数
積水化以外の主要なプレーヤーとしてはガラス建材一体型製品の提供を目指すパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、独自のインクジェット技術を用いて開発を進めるリコー <7752> [東証P]のほか、従来のシリコン太陽電池にペロブスカイト太陽電池を重ねた「タンデム型」を28年度に発売予定のカネカ <4118> [東証P]、製品の開発・実証実験に取り組むアイシン <7259> [東証P]がある。独自の精密貼合技術を応用してペロブスカイトを含む次世代太陽電池分野に展開するフジプレアム <4237> [東証S]も見逃せない。
製造装置や部材・部品に絡むものでは、発電層の耐久性を高める高機能材料を開発したキヤノン <7751> [東証P]をはじめ、太陽電池製造装置の大手でペロブスカイトに対応した製品を取り扱うエヌ・ピー・シー <6255> [東証G]、ペロブスカイト向け封止材を手掛けるMORESCO <5018> [東証S]など。このほか、以下3銘柄もマークしたい。
コニカミノルタ <4902> [東証P]はオフィス機器で知られる電機大手。機能性フィルムや計測機器、医療用画像診断システムと業容を拡大しているが、そのなかフィルム事業で培った技術を生かし、ペロブスカイトの発電層を保護する「バリアフィルム」を製造している。耐久性・耐水性に優れており、これを強みに生産・販売拡大を進め、35年までに業界トップの地位獲得を目指す。
NITTOKU <6145> [東証S]は自動巻線機を主力とする各種FA機器メーカー。車載向けを主力にスマホや家電、医療機器からAIサーバー、ロボットまで幅広い産業分野に展開しており、ペロブスカイト向けの製品も有している。子会社のNITTOKU KYOTOにおいて「ペロブスカイト太陽電池用レーザパターニング装置」を手掛けており、今後の活躍が期待される。
倉元製作所 <5216> [東証S]はガラス基板加工メーカーだが、他社連携を通じてペロブスカイトの生産技術を確立するなど取り組みを進めている。今月17日、東北電力 <9506> [東証P]と共同でペロブスカイトの性能評価を開始すると発表した。将来的な実用化・事業化に向けた技術検証の第一歩になるという。これを受け同日の株価は急動意。ストップ高に迫る水準まで上昇し、脚光を浴びた。
●ヨウ素関連株にも注目
ペロブスカイトの主原料であるヨウ素に絡む銘柄群も注目だ。株式市場でペロブスカイト関連のテーマが話題となる場面では、こちらに投資家の目が向くことが多い。ヨウ素は日本が世界有数の産出量を誇る資源だ。水溶性天然ガスを採掘する際の副産物として、主に千葉県や新潟県で生産されている。
筆頭格は伊勢化学工業 <4107> [東証S]。AGC子会社で生産量は世界トップクラスだ。千葉県で水溶性天然ガスを採掘するK&Oエナジーグループ <1663> [東証P]も世界有数の生産量を誇る。東ソー系の臭素化合物最大手マナック・ケミカル・パートナーズ <4360> [東証S]はグループ傘下でヨウ素関連製品の開発製造・販売を手掛ける。また、INPEX <1605> [東証P]やENEOSホールディングス <5020> [東証P]、三菱ガス化学 <4182> [東証P]など大手も一事業部門として生産を行っている。
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