伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月9日版
日経平均は8月中、戻せば売れる展開になる公算
1. ドル・円相場は値幅の伴った円高の流れを作る可能性が出てきた
図1は、1990年以降の ドル・円相場の月足です。ドル・円相場は、1985年のプラザ合意後、円高局面へ入りました。その円高は1995年7月、8月に日米独の協調介入により、ようやく終焉を迎えます。
その後、ドル・円相場は一本調子の円安局面へ入り、円安の限界を試す流れになりましたが、1998年6月に日米の協調介入があり、円安の流れが止まっています。
1985年以降の一連の動きで、1995年4月の79.8円、1998年8月の147.57円は、日本だけでなく米国の事情を考慮して、これ以上は円安、円高へ行かせたくない場所であることがはっきりしました。上下に明確な壁ができたので、その後は長く100円から120円のレンジで安定して推移しています。
2008年のリーマン・ショック後、米国がドルの量を急激に増やしたことで、保ち合いを形成してきたバランスが崩れ、1995年4月の79.8円以上の円高場面となります。米国に合わせて円の量を増やす作業を行えば円高は止まるのですが、日本ではその決断ができず、2011年10月の75.54円まで円高の流れが続きます。
2011年に円高が止まったのは、2011年3月にG7がいっせいに市場介入を実施したことが大きいと推測できます。ドル・円相場は2011年3月に76.43円をつけた後は、76.43円を試す円高の動きが表れても、すぐに反転して下値堅さを示す展開となっています。
ドル・円相場は80円前後、150円前後の値位置では、他国と強調した介入が入り、それまでの流れが変化し、100円から120円のレンジへ向かう動きになっています。
今回も同様の展開になるなら、2026年7月の163.99円が戻り高値となって、今後、円高方向の動きになると考えられます。
図1 ドル・円相場(月足)

図2は、ドル・円相場の日足です。以前よりドル・円相場は、年の後半から年末へ向けて一定の流れができやすい、という値動きの傾向を紹介してきました。年末へ向けて円高へ向かうか、円安へ向かうかの分岐点になる水準が、8月1日から15日までに動いたレンジになります。
前述した通り163.99円が戻り高値になる場合、本年は10月、12月へ向けて値幅の伴った円高の流れを作ると考えられます。8月3日以降、円安方向の動きになっていますが、この円安は8月15日までの高値で上値を抑えられると推測できます。
8月7日は強く上値を抑えられているので、15日までの高値で上値を抑えられるとすると、7日の高値158.57円が強い抵抗になっているという見方が妥当だと言えます。
ドル・円相場は今後、円安の動きとなっても158.57円を超えることなく、値幅の伴った円高の流れを作ると考えられます。
その前に、まずは8月3日の155.19円以下の下げ余地を確認する作業として、155円から158円程度の範囲での保ち合いの動きになる公算です。
過去の経験則を考慮すると、9月中旬から10月中旬にかけて155.19円を大きく下回る円高場面になると考えられます。この円高場面が表れたとき、 日経平均株価は大きく下げる可能性を考えておく必要があります。
図2 ドル・円相場(日足)
