伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月23日版
目先、勢いの強い下げを継続するか否かで、年末までの値動きが絞られる
1. 日経平均は2013年以降の上昇の基盤が失われている
本年の 日経平均株価は3月に5万0558円の安値を付けて、1月から2月までの安値を下回っており、年初に本年の上値の重さを示した年です。このような年は特別な状況の変化がなければ、年末の値位置が1月の値位置よりも低く、年足が陰線引けする展開になっています。
2013年以降の上昇局面は、日銀が大量にお金の量を増やし、ETF(上場投資信託)を買いまくったことで作られてきました。その過程で円安になったことに加えて、東京証券取引所が企業に成長投資や株主還元(配当・自社株買い)などへの資本配分の見直しを要請したため、自社株買いと配当の額が増え、株価に割安感が出たことも日経平均株価の上昇を後押ししています。
しかし、これらの材料はすでに出尽くしとなっています。日銀は、量的緩和を止めて引き締めへ向かい、ETFの買いを止めて売りに出しています。株価が十分に上昇したことで、積極的な株主還元による割安感も薄れてきています。
また、7月末に日米が為替市場で協調介入を実施し、円安の流れも終息する可能性のある状態へ入りました。少なくとも年内に7月の高値1ドル=163.99円以上を目指す展開を考えにくい状態です。
米国市場で急速に伸びてきたAI(人工知能)関連投資も伸び率のピークが2026年で、2027年以降は投資額の増加割合が減速していきます。米国市場の上昇が日経平均株価を大きく後押ししてきましたが、そこにも陰りが見えています。
本年の日経平均株価は、3月安値の5万0558円から6月22日の史上最高値7万2831円まで2万2273円幅の上げ局面となっています。3月に下値を切り下げる動きで示した本年の上値の重さなど、微塵も感じられない上昇局面となっています。
しかし、3月までの上値の重さは、これまでと現在の環境の変化によって表れている動きである可能性があります。その点は、頭に入れておく必要があります。