桂畑誠治氏【インテル暴落、米国発のAI関連大波乱の行方は】 <相場観特集>
―米中間選挙後の日米株式市場は上下どちらに向かうのか―
2日の東京株式市場は日経平均株価が下値模索の動きとなり、一時6万2700円近辺まで下押したが、その後は先物主導で下げ渋った。前週末の米国株市場ではAI・半導体関連株への売りが加速し、インテル<INTC>が一時30%超の暴落をみせ、投資家心理を悲観に傾けている。ナスダック総合株価指数の下げが目立ったほか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の下落率は7%を上回った。ただ、週明けの東京市場ではこのリスクオフの流れが直撃したものの、好決算の半導体株などが買われ想定以上に底堅さを発揮した。米中間選挙の投開票を現地時間あすに控えるが、これを受けて今週後半の東京市場はどういった軌跡を描くのか。第一ライフ資産運用経済研究所の桂畑誠治氏に話を聞いた。
●「向かい風強いなかも米中間選挙後は上値指向」
桂畑誠治氏(第一ライフ資産運用経済研究所 主任エコノミスト)
週明けの東京株式市場は、前週末の米国株市場の波乱含みの地合いを受けて売り圧力が強く意識される場面だったが、日経平均株価は思った以上に下値抵抗力を発揮した。前週末の米国株市場でインテル<INTC>を筆頭に半導体セクターへの売りが顕著となり、リスク回避ムードは拭えなかったが、「中間選挙後の米株市場は中期的に上値指向」という過去の経験則に基づいた買いのニーズが発現したともいえそうだ。共和党の苦戦が伝わるが、これに関してマーケットは既にある程度織り込んだ状態にあり、このイベントが通過すれば不透明感が払拭されることで、相場は高くなるとみている向きが多いことを物語っている。
米株市場でもAI関連は先行き強弱観が入り乱れているが、少なくとも実需の面では急速に冷え込むようなケースは考えにくい。過剰投資に対する警戒感が取り沙汰されるが、例えば、メタ・プラットフォームズ<META>が設備投資増強によってフリーキャッシュフローが赤字になったことなどが嫌気される一方、マイクロソフト<MSFT>のキャッシュは潤沢であり、ビッグテック全般でみて財務負担が重荷となっているイメージとは異なる。確かにコアウィーブ<CRWV>のようなネオクラウドの一角に資金調達の難しさが表面化しているが、直接AI投資の頓挫につながっていくとは思えない。
AI関連については、今回の中間選挙で上下院ともに民主党が過半数を上回っても、上院の安定多数60議席の確保は困難であるほか、大統領の拒否権があるため連邦ベースでの規制強化の動きに発展することはない。AIインフラのコストが上昇する可能性は否定できないが、それは一部の事業者の淘汰にとどまるはずだ。東京市場でも米株市場の動向を横目に同関連株への見直しムードが台頭する可能性はある。中間選挙後の警戒材料としてはトランプ米政権によるイランへの攻撃再開に対する思惑だ。もし、本格的な再攻撃に踏み切った場合はエネルギー価格の高騰などを背景にインフレ圧力が高まり、株式市場がこれをネガティブ視するパターンも念頭に置いておきたい。
いずれにせよ11月相場における日経平均のレンジは米株市場、特にナスダック総合株価指数の動向に左右されやすいと思われる。ナスダック指数については下値リスクが高まった場合は2万3000近辺まで深押しする可能性はあり、その際には日経平均も5万5000円前後までの下値余地が考慮される。しかし、AI関連がアク抜けとなるケースも十分に考えられ、その場合、日経平均の上値は6万8000~7万円のゾーンを目指す展開を想定している。物色対象としては半導体製造装置関連の押し目買いや、引き続き小売りや外食などの消費関連株。更に、銀行セクターも改めて上値が意識されそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。
株探ニュース