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AIラリー急転で表舞台に、出遅れ「シクリカルバリュー」銘柄リスト <株探トップ特集>

特集
2026年8月19日 19時30分

―日米協調介入で為替相場に転機到来、必然的に浮かび上がる割安好業績セクターとは―

日経平均株価は7月末までの調整局面から一転、力強いリバウンド相場を展開した後、頭打ちとなった。19日の日経平均は2100円を超す下げとなったが、プライム市場の値下がり銘柄数は全体の74%と全面安商状には至らなかった。直近ではAI・半導体一極集中相場で割安に放置されていた銘柄に対し資金をシフトしようとする姿勢もみられている。なかでも割安な景気敏感株、いわゆる「シクリカルバリュー」銘柄については、今後予定されている日米金融イベントを契機に、更なる注目を集める可能性がある。

●好決算受け、繊維や海運株が急騰

7月末、ドル円相場が40年ぶりの円安水準まで進行したことを受け、日米両国の通貨当局は28年ぶりの円買いの協調介入に踏み切った。これによってドル円は一時1ドル=155円台前半まで急速に円高が進行。株式市場では、輸出企業の採算悪化が懸念されながらも、主要企業の好決算に加えて、7月の米経済指標の結果、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退したこともあり、株価指数に浮揚力を与えることになった。

特に現在の相場を支える重要な要素は、日本企業の好業績にある。26年4~6月期(第1四半期)決算では、業績予想を上方修正する企業が相次ぎ、為替相場の安定を背景に、調整からのリバウンドを狙った国内外の投資資金が流入。例年なら閑散相場となるはずのお盆休み期間を含めて、株式市場の活況が続いてきた。中でもひと際目を引いたのは、鉱業や繊維、化学、非鉄金属、機械、銀行といった、いわゆる「シクリカルバリュー(景気敏感割安株)」と呼ばれるセクターだ。

象徴的なのは繊維セクターで、中東情勢を背景に原材料価格上昇による収益圧迫が懸念されていたが、繊維最大手の東レ <3402> [東証P] が4~6月期の最終利益を前年同期比8割増で着地して中間期計画を上方修正すると、当日の株価は9%超の上昇。帝人 <3401> [東証P]は事業売却益の計上もあって、4~6月期の四半期だけで通期計画の最終利益を稼ぎ、決算後に株価水準を一気に切り上げている。

典型的な「シクリカルバリュー」セクターとも言える海運業も好調だ。日本郵船 <9101> [東証P]・商船三井 <9104> [東証P]・川崎汽船 <9107> [東証P]の大手3社は、イラン戦争により原油タンカーなどの航行日数が長期化、運賃が高騰したことなどから、27年3月期の業績予想をそろって上方修正。決算後の株価はいずれも急騰している。

●シクリカルバリュー株に資金が向かう3つの要因

なぜ、このタイミングでこれらの銘柄に資金が向かったのか。要因は複数あるが、第一に、東京証券取引所が数年来求めてきた「資本コストや株価を意識した経営」の要請を受け、各社が増配や自社株買いといった株主還元策を強化していることがある。これによって、それまで低PBR(株価純資産倍率)に据え置かれてきた景気敏感セクターの見直し機運が続き、ここに好業績が加わり、割安に放置されてきた銘柄への資金流入が一気に進んでいる。

第二に、地政学的リスクを背景とした資源市況の底堅さがある。中東情勢の緊張はエネルギー価格やタンカー需要に影響を及ぼしているが、海運・資源関連株にとっては業績の押し上げ要因として作用している。第三に、日本銀行の金融政策を巡る観測である。日銀は7月の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたものの、物価の上振れリスクや追加利上げの加速余地を示唆しており、早ければ9月17~18日の会合での利上げが濃厚視されている。この観測が、貸出利ざやの拡大を通じて収益改善が見込める銀行株への資金流入を後押ししている。

●3大金融イベントが投資対象選別の試金石に

では今後のシクリカルバリューセクターへの投資をどのように考えていけばいいのか。ここで重要となるのは、8月末から9月にかけて相次ぐ3つの金融イベントだ。これらのイベント次第では、シクリカルバリューセクター内でも「為替感応度の高さ」によって明暗が分かれる可能性が高い。

まず8月27日から29日にかけて米国で開催されるジャクソンホール会議では、ウォーシュFRB議長にとって就任後初めての講演の場となるが、情報発信を減らす方針の同議長が多くを語るとは思えず、むしろ為替相場の動向を占う意味では、日銀の植田和男総裁発言の方が注目される。続いて9月15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、17~18日には日銀の金融政策決定会合が開催される。FOMCについては、7月末時点の政策金利3.50~3.75%を据え置くのか、あるいは引き締めに動くのかが焦点となる。仮に利上げが見送られ、金利据え置きないし将来的な利下げへの期待がにじめば、株式市場、特に金利敏感度の高いハイテク・グロース株にとっては追い風となる。一方、日銀の金融政策については、すでに追加利上げ観測が市場でくすぶっている。9月会合で利上げが決定されれば、銀行株にとっては利ざや改善への期待から追い風となりうる。

仮に日銀の利上げとFRBの金利据え置きスタンスが明らかになれば、必然的に円高方向への圧力が強まる。現時点での流れを考えれば、その可能性は低くない。ここで俄然、注目が集まるのが、これまで出遅れていた紙パルプ、化学といった内需型バリュー株だ。長らく続いた円安基調の中で放置されていた内需企業の中には、業績が堅調であるにもかかわらず、PBRが1倍以下の割安銘柄が数多く存在する。以下に、これら内需型バリューの有望株をピックアップする。

●上方修正濃厚企業が続々と登場の紙パ・化学セクター

まず紙パからは板紙・段ボールの最大手、レンゴー <3941> [東証P]である。主力の板紙・紙加工関連事業が製品価格改定の効果で増収増益となったことなどが寄与し、第1四半期営業利益は前年同期比73%増で上半期計画進捗率72%となった。しかし上半期及び通期の業績予想については従来計画を据え置いており、上方修正の期待が募る銘柄と言えよう。株価は8月に最高値を更新したが、PER(株価収益率)は12倍、PBRもいまだ0.7倍台にとどまる。

続いては松ヤニ化学大手であるハリマ化成グループ <4410> [東証P]に注目したい。半導体レジスト用樹脂が好調で4~6月期の経常利益は前年同期比2.2倍と、中間期(4~9月)計画を超過するほどの利益を叩き出した。こちらも上半期及び通期の業績予想について上方修正の可能性が高まっている。PERは10倍台でPBRは0.6倍台。6月5日の高値1208円はもちろん、19年10月のバブル後高値、1366円超えも視野に入る。

塗料大手の大日本塗料 <4611> [東証P]も需要回復に伴う販売数量の増加に加え、生産効率の改善による収益性の向上も寄与し、4~6月期の経常利益は前年同期比2.6倍に膨れ上がった。これで中間期計画をほぼ達成しており、業績の上方修正が期待される。株価は3~6月になべ底を形成した後、2月高値1508円を上回り今月17日には1543円まで買われ年初来高値を更新したが、PBRはいまだ0.7倍割れである。

製紙用薬品、印刷インキ用樹脂最大手である荒川化学工業 <4968> [東証P]も見逃せない。こちらも4~6月期の経常利益は前年同期比2.8倍と中間期計画を超過する。AIサーバー向けの需要が想定を上回り、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂の販売が大幅に伸びた。ハードディスク用精密研磨剤の販売も前年同期を大きく上回る結果となっている。これに対して株価は強く反応しているが、PBRは0.7倍であり、更なる上値余地は大きい。

紙パ・化学以外では、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]の総合リース大手であるみずほリース <8425> [東証P]に注目する。国内リース事業、不動産事業における収益伸長を背景に4~6月期の経常利益は前年同期比57%増で着地した。最終利益とともに過去最高を更新している。やはり通期計画に対する最終利益の進捗率もすでに44%を超えており、上半期及び通期の業績の上方修正が見込まれる。好業績でありながら、株価は6月まで長らく低迷していた。今後は業績を織り込み、PBR0.9倍以下という割安感を是正していくことが見込める。

そのほかのシクリカルバリュー銘柄として藤倉化成 <4620> [東証S]、イチネンホールディングス<9619> [東証P]、日本触媒 <4114> [東証P]、三井化学<4183> [東証P]、三洋化成工業 <4471> [東証P]などに注目する。いずれも業績が堅調であるにもかかわらず、PBRは1倍に達していない割安株だ。

株探ニュース

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