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モノづくり国家日本の生命線、「フィジカルAI」関連株が再評価へ <株探トップ特集>

特集
2026年7月8日 19時30分

―官民による巨額投資計画が発表、中期的な成長性が改めて意識される局面に―

AIラリーで一気に過去最高値圏に水準を切り上げた日経平均株価は、6月下旬以降伸び悩んでいる。急ピッチで上昇した半導体関連株に対する利益確定売りが顕在化し、株価指数の重荷となっている。一方、国が重点投資分野と位置付ける領域に関わる銘柄群への押し目買い意欲は旺盛で、頑強ぶりを発揮する銘柄も散見される。政府は6月、AIの自律的な判断能力をもとに ロボットを動かす「フィジカルAI」分野での巨額の官民投資方針を発表した。関連株に対し再評価の動きが加速するか注目される。

●官民で10.5兆円の巨額投資

6月24日に開催された経済財政諮問会議・日本成長戦略会議において、「戦略17分野」の「主な製品・技術等」における官民投資額が公表された。このなかで、AI・半導体分野のなかで「フィジカルAI」に対し、官民で2040年度までに10.5兆円の投資を行う方針が示されている。AIロボットの市場規模が30年ごろを境に急拡大するとみて、グローバルで高いシェアを持つ日本の産業用ロボットやモーター、減速機などの競争力を日本経済の成長に生かすべく、政府は研究開発や設備投資、需要創出などの支援に乗り出す構えだ。

同日に株主総会を開いたソフトバンクグループ <9984> [東証P]は、フィジカルAIによるロボットの量産を始めたことを明らかにした。30日には経済産業省により、国産AIの開発を推進するノエトラ(東京都渋谷区)に対して資金援助を行うことが公表されるなど、フィジカルAIに関するニュースが直近で相次いでいる。旧日本AI基盤モデル開発のノエトラには、ソニーグループ <6758> [東証P]やソフトバンク <9434> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]などが出資している。

フィジカルAIの社会実装には、先端半導体企業の持つ知見の活用が不可欠となる。ファナック <6954> [東証P]や安川電機 <6506> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]などが米エヌビディア<NVDA>と組み、AIロボットの実用化に向けた開発に注力している。FA大手のキーエンス <6861> [東証P]やオムロン <6645> [東証P]もキープレーヤーとしてその総合力を十分に発揮できる分野である。

ヒューマノイドロボットを含め、人手をかけて行ってきた作業をAIロボットが代替するようになるのであれば、機械部品を手掛ける企業の商機が必然的に拡大することになる。具体的に言えば、精密減速機のナブテスコ <6268> [東証P]やハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [東証P]、直動案内機器のTHK <6481> [東証P]などが該当する。産業用ロボット本体を取り扱うダイヘン <6622> [東証P]や、傘下企業でヒト型ロボットを提供する川田テクノロジーズ <3443> [東証P]も関連銘柄に加わることになる。株式市場ではこれまで、作業支援ロボットなどを開発する菊池製作所 <3444> [東証S]や、映像とIT、ロボティクスでの技術力の発揮が期待されるテクノホライゾン <6629> [東証S]、タクシー配車・バス運行管理システムからサービスロボット、工場向けロボットに事業領域を広げるFIG <4392> [東証P]、直動ベアリングを手掛け、THKを主要取引先とするヒーハイスト <6433> [東証S]といった関連小型株が動意づいたことは何度もあった。

これら以外に、フィジカルAI関連株を改めて精査してみると、出遅れ感のある銘柄や、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る銘柄があることに気づかされる。バリュエーション調整が一巡し、反騰機運を高めている銘柄も見受けられる。官民投資という事業環境面での追い風を受ける関連銘柄のなかから、以下に中小型株を中心に注目すべき6銘柄をセレクトしていく。

●フィジカルAIで飛躍の中小型注目6銘柄

◎日本トムソン <6480> [東証P]

搬送や位置決めに使われる直動案内機器や、機械内の回転部品に用いられるニードルベアリングを主力とし、工作機械や半導体製造装置などに供給。AIロボットの社会実装に不可欠な要素部品を手掛けている。半導体関連の設備投資需要を追い風に27年3月期の売上高は2割近い増加の見通しで、営業利益に関しては倍増を計画。米州においてヒューマノイドロボット案件にリソースを集中させる姿勢も示している。株価は6月に上場来高値2580円を形成。足もとでは騰勢に一服感が出ている。25日移動平均線割れの水準は買い場と捉えたい。

◎ABEJA <5574> [東証G]

AI運用の支援などを展開。NTT <9432> [東証P]グループのNTT東日本と、フィジカルAI時代を見据えたロボット基盤モデルの評価・検証に関する契約を締結したと2月19日に発表。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める製造現場の視覚・触覚などのデータを統合的に扱うための技術基盤の開発において、川重やファナック、安川電、大阪大学などとも連携する。26年8月期は2ケタの増収でかつ、過去最高益の更新を計画。株価は6月12日に年初来安値をつけるなど、出遅れ感が鮮明となっている。

◎椿本チエイン <6371> [東証P]

自動車・産業用チェーンで世界首位。自律走行搬送用ロボットを製品群に持つほか、AIによる画像認識技術を活用した物流支援ソリューションにも注力する。部品の要素技術とともに物流領域での高い知見は、フィジカルAI領域での競争力を発揮するための大きなアドバンテージとなると期待できる。27年3月期の営業利益は2割近く増加し2期ぶりの過去最高益更新を計画。5月の騰勢が一服した後も高値圏を維持している。PBRは1倍を下回っている。

◎新東工業 <6339> [東証P]

鋳造機械最大手だが、ロボット向けの「6軸力覚センサー」を手掛けており、フィジカルAI関連銘柄として位置付けられている。XYZの3軸の荷重と、各軸周りの3方向のモーメントを検出するセンサーで、熟練技能者の作業の再現・自動化に寄与。AIロボティクスの普及に不可欠なセンサーで技術競争力を発揮し、事業拡大につなげる構えだ。買収したフランス企業に関し、のれんの減損損失を計上して前期は最終赤字となったが、27年3月期の営業利益予想は前期比90.5%増と収益性は向上する見通しで、かつ最終黒字転換を目指す。PBRは0.5倍台。配当利回りは4%近辺となっている。

◎日伝 <9902> [東証P]

大阪に本拠を置く産業機器・部品商社。減速機やチェーン伝導用品、直動機器といった動力伝導機器の国内販売でトップシェアを誇り、フィジカルAIの普及で成長が期待されるさまざまな機器に対して部品を供給する。半導体関連の設備投資需要も満喫し、27年3月期は過去最高益更新を計画。無人搬送車や自律走行搬送ロボットも製品群に持ち、AIとの融合による新たな事業展開の可能性を内包する。3月末時点で自己資本比率72%と高水準を維持し無借金経営と財務は盤石で、商社ゆえPBRは1倍を下回っている。今期より連結配当性向について、一過性の損益を除いたベースで50%以上(従来は配当金15円下限に30%以上)とする方針に見直した。

◎オカムラ <7994> [東証P]

オフィス家具大手。生産性向上という産業界の課題に向かい続ける同社は物流ソリューションでもプレゼンスを発揮している。AI搭載ロボットを活用し、物流施設におけるピッキング作業を、人間による遠隔操作と組み合わせて行えるハイブリッド型の物流自動化ソリューション「PROGRESS ONE」を開発。ロボットとAI、人間の理想的な協働のあり方について知見を蓄積しており、フィジカルAI領域で収益を拡大できるか注目される。27年3月期営業利益は前期比7.7%増と前期に続き過去最高益更新を計画。配当利回りは4.6%台と高水準だ。

株探ニュース

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