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【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─迫るアンソロピックIPO、AI関連への「不安」は「期待」に変わるか?

市況
2026年11月1日 14時00分

「迫るアンソロピックIPO、AI関連への『不安』は『期待』に変わるか?」

●決算シーズン迎え、好業績株の物色が鮮明に

11月の東京株式市場は、米国におけるAI(人工知能)関連の過剰投資への懸念は残るものの、好調な決算を背景に底堅い展開が想定される。3日には米中間選挙が実施されるが、トランプ大統領が率いる共和党の苦戦は織り込み済みとみられる。国内では3月期決算企業の第2四半期累計(4-9月)決算の発表がピークを迎え、好業績株を物色する動きが鮮明となろう。

日経平均株価の下値のメドは、今年7月安値の6万1434円(終値ベース)や心理的なフシ目である6万円。6万5000円以上では戻り待ちの売りが出そうだ。PER(株価収益率)は16倍台前半と割安感のある水準になりつつある。

11月の日経平均株価の予想レンジは5万9000円~6万6000円。

主なスケジュールは米国で、1日に冬時間入り、2日に10月ISM製造業景気指数、3日に中間選挙投票日、6日に10月雇用統計、10日に10月消費者物価指数(CPI)、13日に10月生産者物価指数(PPI)、17日に10月小売売上高などが予定されている。27日のブラックフライデー、30日のサイバーマンデーを経て年末商戦入りとなる。なお、11月はFOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合の開催はない。FOMCの次回会合は12月8~9日、日銀金融政策決定会合は12月17~18日の予定となっている。

11月以降の主な決算発表は、4日に三井物産 <8031> [東証P]、伊藤忠商事 <8001> [東証P]、三菱商事 <8058> [東証P]、5日に日本郵船 <9101> [東証P]、トヨタ自動車 <7203> [東証P]、ダイキン工業 <6367> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]、任天堂 <7974> [東証P]、6日に三菱重工業 <7011> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]、9日に清水建設 <1803> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]、クボタ <6326> [東証P]、富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]、10日に川崎重工業 <7012> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、三井金属 <5706> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、11日にリクルートホールディングス <6098> [東証P]、13日に三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]など。

日経平均株価の1株利益は、決算発表の本格化を控えた直前週末の10月23日現在で3765円。この時点でのPERは16.65倍と17倍を割れた水準にある。1株利益が切り上がり、PER面からの割安感が浮上するかが最大のポイントとなる。

●長期金利ピークアウト感で、不動産などに見直しの動き

物色面では、AI・半導体関連企業の決算通過で、悪材料からのアク抜けが出るかに関心が高い。米新興AI向けデータセンター大手のコアウィーブ<CRWV>の社債利回り急騰(価格は下落)による財務状況への懸念や、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)のメタ・プラットフォームズ<META>の巨額設備投資の回収不安などを背景に、10月はAI関連株が大幅に調整した。

一方、AI開発のアンソロピック<ANT>が11月にIPO(株式新規公開)を実施することが明らかになった。同社の2026年1-6月期の売上高は前年同期比14倍の162億8600万ドル、調整後営業損益は16億1800万ドルの黒字(前年同期は18億4900万ドルの赤字)に転換した。スペースX<SPCX>を上回る今年最大のIPOとなり、上場後の時価総額は上位10位に入るとの見方もある。AI関連の先行きに対する「不安」が「期待」に変わる可能性が出てきている。さらに、中旬にはエヌビディア<NVDA>の8-10月期決算の発表も予定されており、AI・半導体関連を見直す契機となるかに注目したい。

日本では、AIの性能向上に必要なチップの加工など後工程関連で強みを持つアドバンテスト <6857> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、芝浦メカトロニクス <6590> [東証P]などの出直りがなるかに関心が高い。アドバンテストは既に今期2度目の業績上方修正を発表している。

また、システムインテグレーターやソフト関連企業に見直し機運が高まっている。米アンソロピックのAIエージェント(自律的AI)の登場により、ソフトウェアが不要になる「SaaSの死」が懸念されて関連銘柄が売られてきたが、ここにきて両者は共存するとの見方が一般的になっている。関連企業の業績も総じて順調だ。野村総合研究所 <4307> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]のほか、オービック <4684> [東証P]、大塚商会 <4768> [東証P]、マネーフォワード <3994> [東証P]、三菱総合研究所 <3636> [東証P]などが注目される。

一方、国内の長期金利のピークアウト感を背景に、 不動産や 鉄道、 建設など内需関連を見直す動きもある。三菱地所 <8802> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]、住友不動産 <8830> [東証P]など大手不動産のほか、大成建設 <1801> [東証P]、清水建設 <1803> [東証P]などのゼネコン、東急 <9005> [東証P]、東武鉄道 <9001> [東証P]などの主力銘柄がリバウンドに向かう可能性がある。

(2026年10月30日 記/次回は11月29日 配信予定)

株探ニュース

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