2018年日本株大予想!アベノミクス推進で脱デフレ加速、日経平均2万8000円突破へ <新春特別企画>
●18年は脱デフレ本番の相場展開へ
2018年の株式市場はアベノミクスが第一義としてきた“デフレ脱却”を地で行く相場となろう。1月新春相場は日経平均株価が予想以上のロケットスタートを決めた。ただ、その反動も予想されるところで、米国株市場を横にらみに利益確定売りにさらされる可能性もある。
しかし、当の米国株を取り巻く環境を見る限り、足もとは追い風が一段と強まっていることを認識したい。トランプ米大統領の懸案であった税制改革法案が成立したことは大きく、とりわけ35%の法人税を21%に引き下げる“トランプマジック”により強い米国経済はより強く羽ばたくことが可能となった。相場的にもこれで材料出尽くしとはいえず、今後も金融規制の緩和や公共事業によるインフラ投資拡大という政策実現への楽しみが残っており、当面は米国株市場主導で「押さば買い」の、大勢上昇トレンドが続くことが予想される。
●鍵を握るのは“世界最強の”米国株市場
新年の株式市場は、世界的ブル相場の牽引役である米国市場の動向が引き続き大きなカギを握ることは間違いないであろう。しかし、当然ながら日経平均やTOPIXは国内企業の株価の集大成であって、米国株に完全リンクするものではない。
改めて国内に目を向けてみれば強気を後押しする材料は多い。好調な企業業績は株価形成の基本であるファンダメンタルズ面から相場を支えることになる。18年3月期の主要企業の業績は全体経常利益ベースで2ケタ増益が見込まれており、ここ数年来でみてもその伸び率は異彩を放つ。また、19年3月期も成長スピードこそ鈍化する可能性は高いが増益基調は確保される見通しであり、17年3月期から数えて3期連続のピーク利益更新が濃厚との見方が強まっている。為替が実勢の1ドル=112~114円のもみ合いを抜け1ドル=115円を突破する円安に振れれば一段の利益上振れも確実視される。
●“安倍1強”は金融政策でも強力な追い風生む
では政治面ではどうか。先の総選挙を経て“安倍1強体制”が構築されていることが、相場にとって強力なフォローの風となる。具体的に好材料を挙げるとすれば、アベノミクス推進の影の立役者で4月に任期満了を迎える日銀の黒田総裁が再選され、引き続き金融市場の舵を握るというシナリオだ。これが実現すれば大きなプラス材料となる。
11月の講演で黒田総裁が、金利が一定水準を下回ると金融仲介機能を阻害するという「リバーサル・レート」の概念に言及したことは、超金融緩和政策の出口戦略に向けた地ならしとの思惑も呼んだが、仮にその含みがあったにせよ、あくまで「将来的な話」であり、株式市場にネガティブに働く要素は乏しい。日銀は2018年も株式市場に対しフレンドリーな立場を貫くことは、ほぼ確実とみてよい。
外野からはイールドカーブ・コントロールの10年債利回り0%誘導を若干引き上げるのではないかという見立ても出ているが、これも上昇トレンドに水を差すものではなく、現実化すればむしろメガバンクなど金融株を刺激して、株高エンジンとして全体指数押し上げに寄与する公算のほうが大きそうだ。
●個人投資家の巨額の待機資金に期待
需給面も株価の先高観を支持する。政治面で安定感を増したアベノミクスへの再評価で外国人投資家の日本買い復活が見込まれるほか、個人投資家の待機資金に位置づけられるMRFの残高が過去最高水準の13兆円弱にまで膨らんでいることは見逃せない。日銀のETF買いというセーフティーネットは、上昇相場ではあまり出番がないが、やや高値警戒感が拭えない投資家心理に対し、下値リスクを緩和する効果は18年も健在だ。
業績相場の名のもとに眠れる獅子である個人投資家資金が、満を持してバイ&ホールドに動き出すシナリオも現実味を帯びてくる。あとは北朝鮮を巡る地政学リスクだが、2017年相場では短期的にはマイナスの影響を与えても、下押した場面はことごとく買い場であったことを投資家は思い起こすべきであろう。
●年後半は2万8000円ラインが視野に
日経平均は1月相場の段階で、中心レンジが2万3000~2万4000円台に切り上がり、その後も調整局面を交えながらも大勢トレンドは変わらず、18年後半にかけて下値切り上げ波動を継続する可能性が高い。年を通じてドル円相場が今の実勢よりも円安含みで推移すると仮定すれば、19年3月期の企業業績は連続2ケタ増益が視野に入ってくる。
その場合、米国株市場でNYダウがもみ合い圏で推移したとしても、東京市場は出遅れ修正の動きのなかで2万5000~2万6000円の高値を目指す強調展開が想定される。米株の上昇トレンド継続なら、それを横目に年後半2万8000円ラインも視野に入りそうだ。
●新年の注目銘柄
【注目銘柄(1)】 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306>
米州MUFGなど米国を中心とした海外子会社に期待。米長期金利の上昇や米金融規制の緩和への動きは追い風材料となる。国内も日銀のイールドカーブ・コントロールの長期金利0%誘導目標の引き上げが現実化すれば、買い材料に。
【注目銘柄(2)】 キーエンス <6861>
安倍首相が国策として掲げる「生産性革命」ではロボットや IoT の需要が後押しされることが必至とみられる。IoT時代の本格到来となればセンサー関連の需要は膨大なものとなり、FA用センサーのトップメーカーである同社に恩恵。
【注目銘柄(3)】 信越化学工業 <4063>
半導体ウエハーのトップ。目先の調整は踊り場に過ぎず、早晩上値追い再開へ。メモリー需要のタイト感はいったん緩和されそうだが、IoT関連機器需要の拡大、データセンター増設、自動車の電装化、スマートフォンの高機能化など構造的な半導体需要は今後加速する。
株探ニュース