利益成長“青天井”銘柄リスト【総集編】第3弾 21社選出 <成長株特集>
本特集では、7月下旬から8月中旬までの決算集中期間に随時配信した「利益成長“青天井"銘柄リスト」を、“全期間”を対象に再構成した総集編をお届けします。
19年4-6月期は米中貿易戦争を発端とする世界景気の減速を受けて、輸出関連企業を中心に減益決算や業績予想の下方修正を発表する企業が相次いだ。こうしたなか、利益成長“青天井”リストに該当する銘柄の数は直前の19年1-3月期と比べ半減した。
今回は時価総額1000億円以上の銘柄を対象とした【第1弾】、時価総額250億円以上の銘柄を対象とした【第2弾】に続くシリーズ第3弾として、時価総額250億円未満の銘柄(5日時点)の中から、19年4-6月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、かつ通期計画も最高益を見込む、いわゆる利益が“青天井”状況になっている銘柄をリストアップした。
下表では、本決算月にかかわらず、直近3ヵ月実績の4-6月期に経常利益が全四半期ベースで過去最高益を上回って更新した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も過去最高益見通しを示している21社を選び出し、4-6月期経常利益の過去最高益に対する上振れ率が大きい順に記した。
上振れ率トップとなったのは、中古車を中心としたオートクレジットなどのファイナンス事業を展開するプレミアグループ <7199>。4-6月期(第1四半期)はクレジット、ワランティ(自動車保証)ともに取扱高が大幅に増加したうえ、会計上の見積もり変更による一時金を計上したこともプラスに働き、税引き前利益は23.8億円と過去最高だった直前の1-3月期を2.9倍も上回って着地。決算発表前に20年3月期の同利益予想を大幅上方修正したが、第1四半期実績の修正した通期計画に対する進捗率が76.0%に達しており、更なる上振れも期待できそうだ。
2位に入ったウェルス・マネジメント <3772> [東証2]の4-6月期(第1四半期)経常利益は過去最高を2.3倍も上回る27.1億円に急拡大して着地。リート設立を目的に組成したブリッジファンドに対し、大阪難波に保有するホテルの不動産信託受益権の一部を売却したことが収益を押し上げた。第1四半期実績だけで、通期計画の30億円に対する進捗率は90.4%に達しており、業績上振れは濃厚とみられる。また、中期経営計画では東証1部上場基準を満たす基盤づくりを進めるとしており、今後の動向が注目される。
5位のネットマーケティング <6175> は恋愛・婚活マッチングサービス「omiai」の戦略投資がかさんだものの、アフィリエイト広告の代理店事業でエステや人材関連などのサービス部門が好調で、4-6月期(第4四半期)は7四半期ぶりに最高益を達成した。同時に発表した20年6月期は「omiai」の有料会員増加でメディア事業の収益が急回復するほか、主力の広告事業も2ケタ増益を継続し、経常利益は前期比92.9%増の8.1億円と2期ぶりの最高益更新を目指す。
6位にリスト入りしたのはネット特化型の中古品買取販売サイト「高く売れるどっとコム」を運営するマーケットエンタープライズ <3135> [東証M]。4-6月期(第4四半期)は主力のリユース事業で農機具を中心に利益率の高い戦略分野の買取販売が増大したほか、通信事業では格安SIMと高速通信サービスの新規顧客獲得が進み、経常利益は3四半期連続の最高益更新を果たした。併せて発表した20年6月期の経常利益は前期比32.3%増の6億円と2期連続で過去最高益を更新する見通しだ。株価は9月4日に上場来高値3270円をつけたあと大きく調整したが、足もと25日移動平均線を支えに再び上昇基調を強めている。
続く7位は他の事業者から回線を借りて通信サービスを行うMVNO事業を主力とするベネフィットジャパン <3934> 。直近3ヵ月の4-6月期(第1四半期)は一般顧客向け通信サービス「ONLYSERVICE」の会員数増加を背景に月額利用料が大きく伸び、経常利益は前年同期比67.2%増の3億円で着地。ルーターとSIMカードをパッケージ化した主力のモバイルWi-Fiの回線利用者数が拡大したほか、コミュニケーションロボットとSIMのパッケージも大幅に伸びた。
10位の遠州トラック <9057> [JQ]は昨年7月に開始したインターネット通販向けの宅配業務が寄与したことに加え、物流拠点間輸送も増加し、4-6月期(第1四半期)は売上高、経常利益ともに四半期ベースの過去最高を更新した。また、11位のモバイルファクトリー <3912> は主力の位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!」の課金収入が伸びたうえ、プロモーション費用を抑制したことも利益を押し上げた。
┌─ 四半期 経常利益 ─┐ ┌── 通期 経常利益 ──┐ 予想
コード 銘柄名 上振れ率 4-6月期 過去最高 上振れ率 今期予想 過去最高 PER
<7199> プレミアG 190 2386 824 53.5 3141 2046 12.0
<3772> ウェルス 129 2712 1183 93.7 3000 1549 9.6
<1994> 高橋ウォール 108 1163 558 16.4 2330 2002 4.0
<9853> 銀座ルノア 40.6 239 170 17.2 654 558 16.2
<6175> ネットマーケ 40.3 282 201 43.5 812 566 16.5
<3135> マーケットE 28.4 172 134 32.3 602 455 56.1
<3934> ベネフィJ 24.4 301 242 10.3 930 843 14.0
<4557> 医学生物 24.3 343 276 81.2 1000 552 16.1
<8945> 社宅サービス 19.6 409 342 9.8 1101 1003 14.4
<9057> 遠州トラック 18.2 585 495 23.1 1930 1568 9.0
<3912> モバファク 15.1 305 265 6.0 899 848 24.2
<9621> 建設技研 13.4 2612 2304 13.7 3600 3167 9.9
<3150> グリムス 13.2 582 514 12.8 1633 1448 19.8
<3566> ユニネク 12.5 144 128 3.8 355 342 21.8
<3179> シュッピン 7.8 526 488 2.8 1564 1521 21.6
<9428> クロップス 6.9 431 403 4.2 1371 1316 11.2
<4318> クイック 6.6 1917 1799 4.7 2950 2818 12.3
<1739> SEEDH 5.8 620 586 5.5 1654 1568 3.7
<3837> アドソル日進 3.5 297 287 9.5 1108 1012 26.6
<7320> リビング保証 2.9 70 68 13.6 242 213 29.3
<7816> スノーピーク 0.4 505 503 7.6 950 883 40.2
※ 2018年4月以降に上場した企業と今期見通しを開示していない企業は除いた。四半期の過去最高益は原則、四半期決算の開示が本格化した03年4-6月期以降の業績に基づいたものです。
株探ニュース