大塚竜太氏【原油市況暴騰で相場波乱!? 日経平均はどう動く】(2) <相場観特集>

特集
2019年9月17日 19時45分

―サウジの石油施設攻撃でWTI原油価格急上昇の余波は―

3連休明けとなった17日の東京株式市場では、日経平均株価が前週末終値近辺で売り買いを交錯させ、小幅ながら10日続伸となった。14日にサウジアラビアの石油施設が無人機に攻撃され、これに伴う一部生産停止を余儀なくされた。WTI原油価格は一気に8ドル強の上昇で1バレル=63ドル近くまで水準を切り上げている。地政学リスクが高まるなかで、株式市場は今後どういう動きをみせるのか、第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。

●「中東地政学リスクも影響は限定的」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

東京株式市場は前週末まで9連騰していたことを考えると、今週は目先的に調整局面を迎えても不思議のないところだった。そうしたなか、サウジの石油施設が攻撃され破壊された。地政学リスクが目に強く映るこの場面で、売り物を吸収してしまうあたり、大方が想定する以上に東京市場の地合いは強いといえる。ドル・円相場の動きをみても、急速に円高に傾くわけでもなく、今回の中東における地政学リスクの高まりはそれほど投資マインドに悪影響を与えていない、ということが推察される。“怪我の功名”といえば言い過ぎだが、サウジにとって原油価格の上昇自体は切望していたこと。米国やロシアも含め、原油市況は上げ賛成であるということがひとつの背景としてある。

今週のポイントは18日のFOMCと19日の日銀・金融政策決定会合の結果だ。FOMCは0.25%の引き下げがほぼ確実視されている。一方、19日の日銀決定会合は現状維持との見方が強いが、会合後の黒田総裁の記者会見では、今後の金融緩和策に向けた前向きなコメントが発せられると思われる。これらに先立って行われた12日のECB理事会では市場の期待通りの満額回答であったことを考慮すると、世界的なカネ余り環境が改めて意識され、株式市場にとってもフォローの風となることが予想される。

これまで外国人投資家は日本株に対して買いを控え、日経平均の上昇局面でもアルゴリズム売買による先物買い戻しが主流だったが、ここからは徐々に実需買いの動きを強めることが見込まれる。ただし、日経平均は連騰疲れもあって当面は上値が重くなりそうだ。向こう1ヵ月間のレンジとしては2万1000円から2万2500円のゾーンでの推移を予想している。物色対象セクターは、内需では銀行、不動産に注目したい。また、景気敏感セクターの機械株。更に原油市況上昇がやや長期化するとすれば、総合商社などにも買いが向かう可能性がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)

1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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