来週の相場で注目すべき3つのポイント:、米追加財政政策協議の行方、米小売売上高、国内外企業決算
■株式相場見通し
予想レンジ:上限24000-下限23300円
来週の日経平均は、下値レンジ23500円を切り上げて24000円をうかがう展開に期待がかかる。米追加経済対策の行方に翻弄されるなか、米大統領選で増税派とされるバイデン前副大統領が勝利しても大規模な財政政策が打たれれば経済成長が期待できるとの見方が台頭し、NYダウは切り返しの動きを強め始めた。東京市場も一時1ドル=106円台まで円安が進んだことが好材料として加わり、日経平均は23500円から23600円を上値としたもち合いを抜け、1月22日以来となる24000円乗せが意識されるチャート形状になっている。また、NY市場とともに東京市場でもハイテクセクター、特に指数インパクトの大きい半導体関連株に資金が還流し始めたことは日経平均の強材料として働いてこよう。
ただし、東証1部の売買代金は盛り上がりに欠けており、この市場エネルギーで上値を継続的に追えるかは疑問符も付くところ。9日の海外市場で為替相場が円高ドル安に振れたほか、米追加経済対策の実現性など外部環境には波乱の芽も抱えている。基本的には、米追加経済対策の協議に関するニュースフローに一喜一憂する相場展開が継続することになるだろう。ただ、レンジ上限の突破によって、日経平均の下値レンジが切り上がりやすくなっており、指数インパクトの大きいコア銘柄に資金が流入しやすくなっていることは確かで、下手な弱気も不要だろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみ合いか。来月行われる米大統領選に向け、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補(前副大統領)の政策や発言が注目され、株価動向を主要な手がかりとした相場展開となりそうだ。最新の情勢調査では、バイデン氏がリードを広げており、同氏の勝利に思惑が広がりやすい。
トランプ大統領は新型コロナウイルスに感染し治療を受けたが、短期間で公務に復帰。新たに打ち出した航空業界や中小企業への支援策や自身の治療経験に基づくワクチン開発などで突破口を探る。対するバイデン候補は大幅な増税とそれを原資とした大型投資を盛り込んだ政策を主張している。バイデン候補の経済再生プランは10年間で3兆ドル超の大規模な増税を伴うことから、株式市場参加者の間では当初、株価下落の要因とみなされていたが、最近では長期的には米国経済の活性化につながるとの見方に変わりつつあるようだ。
バイデン候補が優勢を維持した場合、ドル買い・円売りがやや優勢となる可能性がある。欧州中央銀行(ECB)はユーロ高を警戒していることや、豪準備銀行やNZ準備銀行も緩和的な金融政策を長期的に維持するとみられており、対米ドルで欧州通貨やオセアニア通貨は買いづらいことも、米ドル・円相場に対する支援材料となり得る。
■来週の注目スケジュール
10月12日(月):日・工作機械受注(9月)、世銀・IMF(国際通貨基金)年次総会、ノーベル経済学賞受賞者発表など
10月13日(火):日通システムが東証マザーズに新規上場、米・アップルの製品発表イベントなど
10月14日(水):日・鉱工業生産(8月)、G20財務相・中央銀行総裁会議、蘭ASMLや米金融大手(ゴールドマン等)の決算発表など
10月15日(木):米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月)、米・第2回大統領候補討論会(中止観測報道)、台TSMCの決算発表など
10月16日(金):米・小売売上高(9月)、米・鉱工業生産指数(9月)など
《YN》