明日の株式相場に向けて=水素関連に資金集中、防衛関連もうごめく

市況
2020年12月7日 17時00分

週明け7日の東京株式市場は寄り付きこそ143円高でスタートしたが、その直後から売り優勢に傾き、日経平均株価は203円安の2万6547円と続落。前週末の欧米株高を受けリスクオン継続かと思われたが、日経平均ベースの騰落レシオが前週末時点で140%近くまで上昇していたこともあって、きょうは“寄り天”で上値が重いとみるや、我先にと利食い急ぎの動きが顕在化した。

前週の当欄で、買いは焦るべからずとしたが、今は正直難しい地合いに入っている。全体はいったん調整局面にあるが、先駆した銘柄には売り圧力が強く、投資家によってはダメージを受けているもようだ。日経平均の下げは大勢上昇トレンド途上の中休み程度にしか見えないものの、東証マザーズ指数の下げがきつくなっている。マザーズ指数は10月下旬以降に軟化し、11月相場では記録的な上昇パフォーマンスをみせた東証1部とは裏腹に、何度も75日移動平均線に接触するダッチロール飛行を繰り返していた。きょうは、このサポートラインとして意識されていた75日線を大陰線で下抜けた。マザーズ指数は4月27日に75日線を上回り、それからは約半年にわたって強力な上昇波動を構築していたが、10月中旬を境に失速してトレンド転換を示唆、きょうの下げでテクニカル的にはレッドシグナルが灯った。

全体観として、今週のECB理事会と来週のFOMCが、相場にとっても一つのフシ目となる。ECB理事会では追加緩和策が濃厚、FRBもフォワードガイダンスの強化など実質的に量的緩和策を後押しする姿勢を示す公算が大きい。流動性相場の幕引きにはまだ遠いと思われるが、一方で気になるのはワクチン接種が実際に始まる段階に入ったこと。米国では10日にFDAが会合を開き、英国に続いてファイザーのコロナワクチン承認に動く可能性がある。もちろんこれは、新型コロナ克服への大きな一歩として歓迎されるべき話ではあるが、中期的観点で株式市場に影を落とすことになるかもしれない。週末のメジャーSQをにらみ、今週はやや不安定な地合いが想定される。

個別株も周りを見渡すと落ちてくるナイフだらけである。押し目買いにも慎重さが求められる場面で、値ごろ感で安易に手を出さないほうが賢明だ。きょうはリチウムイオン電池関連株はほぼ全面安となった。古河電池<6937>が、電気自動車(EV)向けにリチウムイオン電池事業を行っていないと会社側がリリースしたことでストップ安に売り込まれ、これが他の関連銘柄にも影響を及ぼしている。11月21日配信の株探トップ特集「再生エネ・EV相場開幕へ!『次世代電池関連』変貌前夜の5銘柄選抜」でも紹介されているように、古河電池は次世代2次電池の有望銘柄には違いないが、注目されているバイポーラ電池はあくまで電力貯蔵用など「再生可能エネルギー設備分野」を前提に展開を図っているもの。会社側のリリースは本来ならば狼狽売りに値しない話のはずだが、ここまで需給相場の様相で急騰を演じていただけに、反動安の引き金になってしまった。

こうしたなか、強さを発揮したのが水素関連株だ。新日本理化<4406>、日本精線<5659>、三菱化工機<6331>、加地テック<6391>、オーバル<7727>、東京コスモス電機<6772>などが値を飛ばした。勢いはあってもこの流れが続くかどうかは未知数で、値動きも荒くその日の板の状況を見ながら日計りスタンスで対応するよりない。きょうの時点では、業績は悪いが木村化工機<6378>が上ヒゲをつけながらもうねりを感じさせるチャートで注目しておきたい。

このほか、中国やロシア絡みで有事リスクの高まりを敏感に察知してか、防衛関連株の一角がやや動意含みとなっている。石川製作所<6208>や細谷火工<4274>、豊和工業<6203>といった銘柄に静かに資金が流れ込んでいるようだ。

あすのスケジュールでは、11月の景気ウォッチャー調査、7~9月期GDP改定値、10月国際収支など。海外では12月のZEW独景気予測指数、7~9月期ユーロ圏実質GDP確報値など。なお、フィリピン市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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