億マンさんはどんな人、投資以来の資産増の状況、そして含み損益銘柄は

特集
2021年5月11日 10時40分

第5回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(データ分析・億マン編-1)

筆者/真弓重孝 = 『株探』編集部・編集統括プロデューサー
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。

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第1回 「株探-個人投資家大調査」(2021春)のデータ分析編は、これから資産額や運用成績、投資スタイル別など属性ごとに確認していく。

属性別の最初に紹介するのは、日本株の運用額が1億円以上の「億マンさん」だ。その数は100人と、全回答者3920人の2.6%にとどまる。

この2.6%の人たちを、全回答者編(第1~3回)と同様に、3回に分けて紹介する。まずは億マンさんのプロフィール、投資歴、投資以来のパフォーマンス、今春およびコロナ暴落&反発があった2020年の運用成績などを見ていく。

また最後には、回答時点で含み益および含み損が最大と答えた銘柄のリストを掲載している。

年齢は50代が最多、次が70代、ただし30代と20代で1割以上も

まずは基本的な属性データである「年齢」居住地」「性別」「年収」を見ていこう。最初に年齢を確認すると、50代が最も多く、次に70代以上、60代、40代が続く。

第1回記事で紹介した全体の年齢層では40代が最も多く、僅差で50代、70代以上は5番目だった。これに対して億マンさんは、脂の乗り切った50代と、豊かな人生経験を持つ70代の順となった。

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注:回答数は100

年齢構成比は、次のグラフに示した投資歴を反映した格好だ。投資歴で最も多いのは「1989年以前」の人が半数に迫っている。2番目は2000~09年に開始した人で、この回答層は40代がトップで、次が50代だった。

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注:回答数は100

『株探プレミアム』でこれまで紹介してきたすご腕投資家さんたちも、40代の人はこの時期から投資を始めているケースが多い。

2000年以降は昨年のコロナ暴落のほか、リーマン・ショックや東日本大震災、欧州債務危機など、急落・暴落がたびたび襲っているが、高いボラティリティ(株価の変動率)を生かして、資産拡大に成功した可能性がある。

最初のグラフの年齢構成比に話を戻すと、20代が4%を占めた。回答者の投資歴は2015~19年が2人、10~14年が1人、2000~09年に1人になる。

後日、個人投資家のケーススタディ編で紹介する予定の30代前半の投資家は、2011年に投資開始してから3年目の14年に、20代半ばで億の大台に達していた。これらもあり、3920人の回答者の中に20代の億マンさんが4人占めるのは、不思議ではない。

居住地と性別は以下の通りだ。

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注:回答数は100

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注:回答数は100

職業は会社員、定年退職者、専業投資家の順、年収トップは1000万~1500万円未満

職業は会社員、定年退職者、専業投資家がほぼ同水準で並び、次に会社役員、自営業と続いた。全回答者では専業投資家は8番目の2.9%にとどまったが、億マンさんでは3番目となっている。

今後、紹介予定のケーススタディ編でも、収入や心の安定性確保や投資以外の関心から仕事を持ちながら投資をする兼業投資家と、資産額が一定額に達し運用スタイルに自信が付いたことで脱サラした億マンさんがいた。

億マンさんは専業投資家の割合が全体と比べて高いものの、兼業投資家が過半を占めているのは、こうした取材結果からも整合すると見ている。

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注:回答数は100

年収はやはり1000万円以上が全体の60%近くを占めた。3000万円以上の回答者は17%となっている。全体での構成比は1000万円以上が10%、3000万円以上では1%にとどまる。

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注:回答数は100

日本株の運用額は1億~3億円未満がトップ、10億円以上も

日本株の運用額は下のグラフの通り。1億~3億円未満が73%を占め、次に3億~5億円未満の12%、5億~10億円未満の9%と続く。10億円以上も6%を占めた。

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注:回答数は100

金融資産に占める日本株の比率は、90%台が最も多く、続いて100%のフルポジと続いた。グラフの右に示した全体の回答と比べると、90%台の差が3倍近く開いている。また80%台、70%台も億マンさんの構成比が高い。

この差は、億マンさんはリスクを取ってポジションを高めていることから資産が増えた面と、一定の資産を確保したことでリスクを取ってポジションを持っているのと両面ある。

これまでの取材では、安定志向の人も一定のポジションを確保している例が多かった。

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注:回答数は、億マン100、全体3920

今春時点も昨年の運用成績は、全体の結果よりも良好

ここから運用成績の動向について見ていく。

今春時点の運用成績(下の2つのグラフの上)も、新型コロナウイルスで暴落と反発が起きた昨年の運用成績(同グラフの上)も、どちらも全回答者の結果と比べると結果は良好。利益を上げた人はより多く、損失を被った人はより少なかった。

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注:回答数は100。3月15~31日の回答時点

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注:回答数は、億マン100、全体3920

昨年のパフォーマンスを増減別に見ると、まず増加では「10~30%未満」の人が最も多く、これは全体でも同様だった。

差が出たのは、億マンさんの2番目が「30~50%未満」で全体の15.7%を占めたが、全回答者では同9.5%で4番目となる。

一方、全回答者の2番目は「5~10%未満」で構成比は29%を占めたが、億マンさんの場合は3番目で同14.3%になる。

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注:回答数は、億マン70、全体2192

2020年の減少動向も下のグラフ同様、億マンさんは全体と比べて低い下落率にとどまる人が多い。気になるのは資産を2分の1から10分の1に減らしたと回答した人がいること。

この該当者は3人で、いずれも信用買いと売りの両方をしていると回答している。参考までに足元の含み損の大きい銘柄をみると、ある銘柄では昨年の3月までに株価が年初の半値から3分の1近くなった後、反発局面では安値から7倍ほど上昇するといった動きが見られた。こうした値動きの中で、仮に信用取引が裏目に働いたら、大きな資産減に見舞われた可能性はある。

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注:回答数は、億マン22、全体1270。▲はマイナス

投資開始以来の運用成績は以下の通り。資産を10倍以上に増やした人が31.8%、2~10倍未満に増やした人は27.3%だった。

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注:回答数は、億マン100、全体3920

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注:回答数は、億マン88、全体2306

投資開始から資産を減らした人は8人で、内訳は60代が3人、70代が2人、40代が2人、50代が1人だった。日本株の運用額は1億~3億円未満が7人、10億円以上が1人。

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注:回答数は、億マン8、全体1192(増加および減少について無回答が422)

投資スタイルについては、全体の回答と傾向は変わらない。ただし、トップのグロース重視と2番目のバリュー重視の構成比がいずれも全体を上回っている。また5番目のイベント重視もやや上回る。

一方で、 3番目のテクニカル・需給重視と4番目のテーマ重視は全体の構成比より低めとなっている。

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注:回答数は、億マン100、全体3920

最後に回答時点で含み益と含み損が最大と回答した銘柄の上位5番目までを紹介する。注意していただきたいのは、表の注で示したように母数が非常に少なく、順位はほぼ意味を持ちえないことだ。

■回答時点で含み益が最大と回答した銘柄のトップ5

順位銘柄名<コード>
1エムスリー<2413>
2ファーマフーズ<2929>
2ソニーグループ<6758>
2任天堂<7974>
5三櫻工業<6584>
5エスプール<2471>
5Jストリーム<4308>
5コマツ<6301>
注:回答数は48。回答時期は3月15~31日

■回答時点で含み損が最大と回答した銘柄のトップ5

順位銘柄名<コード>
1日本たばこ産業<2914>
2ペッパーフードサービス<3053>
3日経Dインバ<1357>
3明光ネット<4668>
5エムスリー<2413>
5AI inside<4488>
5スリー・ディー・マトリックス<7777>
5エヌ・ピー・シー<6255>
5そーせいグループ<4565>
5花王<4452>
5ビーグリー<3981>
5三光マーケティングフーズ<2762>
5ストライク<6196>
5平田機工<6258>
5ウェッジホールディングス<2388>
5CRI・ミドルウェア<3698>
5ココペリ<4167>
注:回答数は26。銘柄名の一部は簡易表記

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