増配ラッシュで究極に輝く、魅惑の「高配当&好業績割安株」リスト <株探トップ特集>
―業績回復と合わせ株主還元を積極化、インカム・キャピタル両面で旨味を満喫―
上値が重く膠着状態にある日経平均株価を横目に、配当利回りが高水準な銘柄への資金流入が目立つ。国内の高配当株に投資している上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100) <1698> [東証E]が8日に約2年8ヵ月ぶりの高値をつけたほか、時価総額が小さい企業でも配当利回りに妙味のある銘柄は、足もとで堅調な値動きを示しているものが多くみられる。ポストコロナを展望する今期は利益還元に対するマーケットの視線は熱く、業績回復を背景に積極的な株主還元姿勢をみせる企業に物色の矛先が向いているようだ。そこで今回は、22年3月期に増配を計画している企業群のなかから、配当利回りが高く、かつ指標面に割安感のある好業績株を探った。
●22年3月期は3割が増配を計画
新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ業績の回復基調が鮮明になるとともに、株主還元を強化する企業が増えている。22年3月期の配当予想を開示している約2000社を調べたところ、増配を予定する企業はおよそ700社に上った。全体の3社に1社が前期よりも配当を増やす計画だ。一方、減配の方針を示す企業は約200社にとどまる。上場企業の22年3月期業績は最終利益段階で前期比3割近い増益を見込んでいる。新型コロナウイルスワクチンの普及で先行き不透明感が後退するなか、株主への利益還元に前向きな姿勢をみせる企業が相次いでいる。
以下では、22年3月期に増配を計画している配当利回り3%超の高配当株のなかから、今期業績が営業利益段階で2ケタ成長を見込み、かつ投資指標面で割安感が強くキャピタルゲインも期待できる6社を紹介していく。
※配当利回りは6月14日終値ベースで算出。
【バンドー化学 <5195> 】 配当利回り3.69%
バンドー化学は自動車用伝動ベルトなど産業用ベルトメーカーのパイオニア。中長期的な成長を見据え、長年にわたって培ってきたゴムやエラストマーの加工技術を武器に、電子デバイスや医療・ヘルスケア機器などにも進出し業容を広げている。22年3月期業績は自動車生産が回復に向かうなか、徹底した原価低減を継続し、売上高900億円(前期比10.6%増)、営業利益65億円(同20.9%増)と2ケタ増収増益を見込む。年間配当は前期比6円増の32円を計画し、配当利回りは3%を超える。また、発行済み株式数の3.49%に相当する160万株、または10億円を上限に自社株買いを実施するなど、株主還元に前向きな姿勢をみせる。指標面は予想PER8倍台、PBR0.5倍台と極めて割安感が強く、見直し余地は大きい。
【日本精線 <5659> 】 配当利回り3.53%
日本精線はスマートフォンや家電、自動車などに使われるバネやネジ・ボルトの素材となるステンレス鋼線のトップメーカー。22年3月期業績予想は太陽光発電用極細線や 半導体製造装置向け超精密ガスフィルターといった高機能製品の販売が伸び、売上高390億円(前期比14.3%増)、営業利益35億円(同47.1%増)と新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復する計画だ。株主還元に意欲的で配当性向を徐々に引き上げている。24年3月期までは配当性向40%程度を目安に実施する方針とし、今期配当は160円(前期比50円増)を予定している。同社は水素発生装置向けに耐水素脆性ばね用ステンレス鋼線を提供するなど、水素関連の切り口でも注目度が高い。
【白銅 <7637> 】 配当利回り4.42%
アルミニウムや伸銅などの非鉄金属専門商社である白銅は、22年3月期の配当を年間82円(前期は58円)実施する計画だ。普通配当73円に、創業90周年記念配当9円を上積みする。前期業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響で設備投資が大幅に減少し売上高はマイナス成長となったものの、経費削減と原材料市況の好転を背景に営業利益は20%近い増益を達成した。今期は5G関連やデータセンターの需要拡大が継続するなか、半導体製造装置メーカーによる旺盛な引き合いが見込まれ、営業利益は29億2000万円(前期比47.4%増)に拡大する見通しだ。01年3月期に記録した過去最高益(32億5300万円)の更新も視野に入る。
【品川リフラクトリーズ <5351> 】 配当利回り5.26%
品川リフラクトリーズは筆頭株主のJFEスチールをはじめとする鉄鋼業界向け耐火物メーカー。22年3月期から配当性向の目標を30%(従来は20%)に引き上げ、今期配当は前期比80円増の190円と大幅増配を計画している。前期業績は国内粗鋼生産量の減少を受けて苦戦を強いられたが、今期は3期ぶりの増収増益を見込む。自動車向けを中心に鋼材需要が回復するほか、傘下のセラミックファイバー大手であるイソライト工業 <5358> では 半導体関連などの機能性製品が伸びる見通しだ。予想PER5.8倍、PBR0.5倍台と割安に放置されているうえ、配当利回りは5%を超える水準にあり、株価の水準訂正余地は大きい。なお、イソライトも予想PER8.6倍、配当利回り3.51%と投資妙味が高い。
【高砂熱学工業 <1969> 】 配当利回り3.15%
空調設備工事大手の高砂熱学工業は安定した業績成長と良好な財務基盤を背景に、20年以上も配当を減らしたことがない。現中期経営計画(21年3月期~24年3月期)の対象期間中も減配は行わず、利益成長に応じて配当を増やす方針を打ち出し、22年3月期は年間配当58円と前期比2円増配する計画だ。前期業績は大型工事進捗の端境期に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中小規模工事が減少し、6期ぶりに営業減益となったが、今期は引き合いが強い半導体・電子部品分野を中心とする産業空調分野や大型再開発案件を取り込み、営業利益138億円(前期比12.2%増)と巻き返しを図る。同社は期初予想を保守的に見積もる傾向が強く、業績上振れの可能性を内包している。
【エレマテック <2715> 】 配当利回り3.51%
エレマテックは豊田通商 <8015> グループのエレクトロニクス商社。足もとでは他社ブランド製品を設計段階から受託するODMをはじめとする高付加価値ビジネスに加え、電動化の進展で需要拡大が見込まれる自動車分野に注力している。前期業績はドライブレコーダーなどのアフターマーケット向け製品や中国向けゲーム機器関連部材の販売が伸びたほか、出張自粛による販管費の減少も寄与し、増収増益を確保した。今期は前期に落ち込んだ自動車関連部材の回復やODMビジネスの強化を通じ、営業利益65億円(前期比19.0%増)と2期連続の2ケタ増益を目指す。好調な業績を踏まえ、配当は上場来最高水準となる43円(前期比7円増)の実施を予定している。
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