村瀬智一が斬る!寅年「有望株!」 <新春お年玉企画>
「脱炭素社会に向けた政策テーマに引き続き注目」
●サプライチェーンの混乱は解消、参院選や米中間選挙が変動要因に
2021年の日経平均株価は、8月に2万7000円を割り込んだ後は、通期業績予想の上方修正が本格化したことなどで上昇に転じた。その後、菅首相の事実上の退陣表明による新政権への期待感や、新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを受けて、9月半ばには31年ぶりの高値水準に急伸した。それもつかの間、中国恒大集団の経営危機や米連邦債務問題、世界的なインフレ懸念などにより10月初旬には一時2万7293円まで急落。10月末の衆院選で議席を大きく減らすとみられていた与党が過半数を大きく上回ったことで、改めて政策期待が高まり、11月中旬には3万円大台に迫る場面もあったが、期待された12月相場は冴えない展開となり、2万7500円~2万9000円のレンジでのもみ合いに終始した。
物色の流れとしては、世界の経済活動が正常化に向かうなか、グロースからバリューへのセクターローテーションが強まり、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は2月25日の15.66倍をピークに、10月6日には14.17倍まで低下した。なお、年後半には半導体株への物色が再燃し、東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>などが最高値を更新した。
2022年の株式市場は、新型コロナウイルス変異株(オミクロン型)の世界的な感染拡大の影響は重荷となろうが、コロナ禍におけるサプライチェーンの混乱は解消に向かうとみられ、減産対応を余儀なくされている自動車業界の回復が見込めよう。国内では7月25日に参議院議員が任期満了となる。参院選で与党が圧勝するようだと、長期安定政権の可能性が意識されて政策期待などが高まりやすい。
また、海外では中国情勢や米中対立がこれまで同様、警戒される要因となるほか、米国では11月に中間選挙が行われる。足元でバイデン大統領の支持率が低迷していることもあって、相場の大きな変動要因となる可能性には警戒しておきたいところだろう。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2021年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)の前倒しを決定し、2022年に3回の利上げを実施するとみられている。利上げ実施は織り込まれているとはいえ、実際に踏み切ればこちらも相場の大きな変動要因となる可能性がある。
企業業績については、自動車などでの回復が目立つ一方で、半導体では年後半から需給が緩和する可能性があることには注意しておきたい。コロナ禍で影響を受けたサービス業などが回復に向かう反面、これまで恩恵を受けていた企業で増益率の低下がみられそうだ。
●宇宙関連ビジネス、メタバース関連などに注目
需給要因では、東証の新市場区分の選択結果の公表が1月11日に予定されている。東証1部上場企業のプライム希望は8割程度との観測もあり、市場再編としては大きなインパクトは見込めなさそうだが、従来手控えられていた日経平均型のインデックス売買が増えてくる可能性がありそうだ。
イベント絡みでは、年明け後の早い段階で「Go Toトラベル」の再開が見込まれるため、旅行などを筆頭として関連銘柄への物色が強まりやすいだろう。2月には北京冬季オリンピック、3月に冬季パラリンピックが開催される。五輪関連として一般的な銘柄のほか、東京五輪の時のように、選手の活躍によって新たに注目を集めるスポーツも表れてくるとみられ、関連する銘柄には短期の値幅取り狙いの資金が集中しそうだ。
また、 脱炭素社会に向けて、2050年までにCO2(二酸化炭素)排出量の実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」の流れが強まるなか、EV(電気自動車)に関連する次世代電池、充電インフラのほか、洋上風力といった再生可能エネルギー関連が引き続き材料視されよう。
加えて、新たな生活様式が根づくなか、非接触に絡んだキャッシュレスや顔認証といった分野のほか、「デジタル田園都市国家構想」でのAI(人工知能)、5G(次世代通信網)、 IoTといったデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の企業などが随時注目されることになりそうだ。2022年12月をメドに、有人エリアで操縦者の目視外でドローンを飛ばす「レベル4飛行」が実現するとみられ、ドローン関連も注目されよう。
そのほか、一般人の宇宙飛行が現実となったことで、 宇宙関連ビジネスが今後広がりをみせてくることが考えられる。また、フェイスブックがメタ・プラットフォームズ<FB>に社名を変更したことをきっかけに話題となった メタバース関連では、VR、AR、MRといった関連銘柄を含めて、今後中核的な銘柄が出現することになりそうだ。
◆村瀬氏のお薦め「2022年ポートフォリオ10銘柄」
FRONTEO <2158> [東証M]<2158>----「AI」
サーキュレーション <7379> [東証M] ---「プロ人材」
SCREENホールディングス <7735> ---「半導体」
ネクソン <3659> ---「ゲーム・メタバース」
ニチコン <6996> ----「蓄電池・充電インフラ」
CINC <4378> [東証M] ----「ビックデータ分析」
アスタリスク <6522> [東証M] ---「非接触」
セーフィー <4375> [東証M] ---「クラウド・セキュリティ」
プロジェクトカンパニー <9246> [東証M] ---「コンサルティング」
ベイシス<4068> [東証M] ---「5G、IoT、スマートメーター」
2020年12月27日 記
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