【杉村富生の短期相場観測】 ─利上げは来年早々に打ち止めか?

市況
2022年9月25日 9時15分

「利上げは来年早々に打ち止めか?」

●世界はコロナのパンデミックをほぼ克服!

NY市場は波乱含み。FRB(米連邦準備制度理事会)は9月21日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、0.75%の利上げを決めた。6月、7月に続く0.75%の大幅利上げだ。ただ、ここまでは株価に織り込まれていたと思う。問題は今後の金利見通しだろう。これは年内に4.375%、来年には4.625%(政策担当者)と引き上げられている。

マーケットはこれを「想定外」と受け止めたようだ。21日のNYダウは522ドル(1.70%)安、ナスダック指数は204ポイント(1.79%)安と急落した。ドル指数は111.63と20年ぶりの高値になった。円・ドルは1ドル=141円前後の円高だ。22日、145円を突破された段階で当局が「円買い」介入を行った。今後も介入するという。

原油価格(WTI)は1バレル=82ドル台に低下している。これは世界景気の減速、需要減を反映したものだろう。一方、金利見通しを前提にすると、利上げは「来年早々に打ち止め」(ピークアウト)ということになる。それに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はほぼ収束した。むしろ、こちらを評価するべきではないか。

実際、モデルナ<MRNA>、ファイザー<PFE>、ビオンテック<BNTX>などワクチンメーカーの株価が“崩れ足”になっている。半面、ラスベガス・サンズ<LVS>、ノルウェージャン・クルーズ・ライン・ホールディングス<NCLH>などカジノ、クルージングの株価が上昇している。これは大きな変化である。

●テクニカル的には売られ過ぎゾーンに突入!

とはいえ、現状は各国中央銀行が利上げ、QT(量的金融引き締め)を継続、株式市場がベア(弱気)マーケットなのに変わりがない。ウクライナ情勢は不透明だ。ロシアは予備役30万人を動員するという。2月の侵攻以来、ロシア軍の死者は8万~10万人に達し、脱走が相次いでいるらしい。プーチン大統領のイライラは募るばかりだろう。

いずれにせよ、この局面は個別銘柄対応が有効である。この基本戦術は不変だ。何を狙うか。コスモスイニシア <8844> [東証S]はマンション中堅だが、商業ビル「クロスシービル」、オーストラリアの住宅販売、 ホテル事業など多彩に展開している。筆頭株主は大和ハウス工業 <1925> [東証P]だ。発行済み株式数の63.19%を保有している。

ホテル事業は「MIMARU」ブランドだ。ユニークなのは長期滞在型の都市型アパートメントタイプであること。家族連れ、グループの訪日客(インバウンド→特に、中国人?)を意識しているのは明らか。なにしろ、キッチン、調理器具、大型冷蔵庫、ホテル内にはコインランドリーがある。

業績は好調に推移している。2023年3月期は16.4%増収、最終純益は29.1%増を見込んでいる。1株利益は65.6円となる。営業利益は35億円の予想だ。中期経営計画では27年3月期に「営業利益100億円」を目標にしている。これが達成できると、1株利益は何と、「約190円」になる。

このほか、話題のLNG(液化天然ガス)関連(基地建設)のクリヤマホールディングス <3355> [東証S]、キッツ <6498> [東証P]、住友精密工業 <6355> [東証S]、明星工業 <1976> [東証P]などに注目できる。ヨーロッパはLNGの受け入れ、アメリカはLNGの輸出に向け、港湾設備の建設を急ピッチで進めている。

さらに、日本電波工業 <6779> [東証P]、アドベンチャー <6030> [東証G]、M&A総合研究所 <9552> [東証G]は狙える。なお、全般相場はテクニカル的には売られ過ぎゾーンに突入している。ここはNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]を買ってみるのはどうか。

2022年9月22日 記

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.