【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】 ─国策の大潮流に乗るリ・オープン関連に関心高まる

市況
2022年10月30日 14時00分

「国策の大潮流に乗るリ・オープン関連に関心高まる」

●米市場に底入れ感出るか、企業業績の方向性にも注目

11月中旬までの東京株式市場は、引き続き米国の利上げ動向など外部環境に左右される状況が続きそうだ。国内では2023年3月期の第2四半期決算の発表を迎え、好業績銘柄をピックアップする動きが想定される。例年、11月は相場の基調が強いというアノマリーがある。11月中旬までの日経平均株価のレンジは2万6500円~2万8500円程度を予想する。

重要スケジュールでは、いずれも以下は米国となるが、11月1日に製造業PMI(購買担当者景況感指数)、ISM製造業景気指数、2日にFOMC(連邦公開市場委員会)結果、3日にISM非製造業景気指数、4日に雇用統計、10日に消費者物価指数(CPI)、16日に小売売上高……などが発表される。特にFOMCについては0.75%の利上げは織り込み済みだが、12月以降の政策金利を参加者がどう見ているかに関心が高い。雇用統計やCPIも引き続き重要となる。一連の発表を受けて、米国株式市場に底入れ感が出るのか、景気の失速懸念が継続するのかが焦点となる。このほかでは、3日に英中銀金融政策委員会の結果、15日にドイツZEW景況感指数などの発表が予定されている。

また、8日には米中間選挙が実施される。下院は全435議席、上院は3分の1にあたる34議席が改選される。バイデン政権に対し審判が下されるが、民主党の劣勢が予想される。同時に36州で州知事選も行われる。これらの動向次第では、政治の混迷が懸念されるケースも意識されそうだ。

国内では中旬にかけて3月期決算企業の第2四半期決算発表がピークを迎える。欧米主要国のインフレ進行、円安による輸入物価の上昇の影響をこなして、どの程度の増益となるか、通期見通しの方向性に注目したい。なお、決算発表が本格化する前の10月24日時点での日経平均株価の1株利益は2166円(PER12.4倍)となっている。

●総合経済対策関連のほか国内ハイテクの動向をチェック

物色面では、引き続き経済再開(リ・オープン)関連が有望だ。欧米の経済状況など外部環境の影響を受けにくいうえ、10月11日からの訪日外国人観光客に対する水際対策の大幅緩和や円安の定着、国内でも「全国旅行支援」の開始で、内需関連企業が幅広く恩恵を受け始めているとみられる。岸田首相は訪日外国人の年間消費額で5兆円超の達成を目指すことを明らかにしている。日本航空 <9201> [東証P]、ANAホールディングス <9202> [東証P]、JR東日本 <9020> [東証P]など主力株のほか、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、セイコーグループ <8050> [東証P]、資生堂 <4911> [東証P]、マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]といった消費関連などに関心が高まることが予想される。

また、政府は10月28日に総合経済対策を決定する(本稿の執筆時点では未公表)。円安対策や電力料金の負担軽減などが軸になるとみられるが、先に自民党から提出された「新たな総合経済対策に向けた提言」では老朽化したインフラの対策推進、人への投資の抜本的な拡充などの文言もみられる。国土強靱化ではショーボンドホールディングス <1414> [東証P]、技研製作所 <6289> [東証P]、日特建設 <1929> [東証P]、リスキリング(学び直し)関連ではインソース <6200> [東証P]、ジェイテック <2479> [東証G]、ベネッセホールディングス <9783> [東証P]、KIYOラーニング <7353> [東証G]、パーソルホールディングス <2181> [東証P]などに関心が向かう可能性もありそうだ。

一方、下げのきつかった国内ハイテク株にリバウンドの動きもみられる。アマゾン・ドット・コム<AMZN>やメタ・プラットフォームズ<META>など米巨大ハイテク企業の決算が市場予想を下回ったのは懸念材料ながら、レーザーテック <6920> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、SCREENホールディングス <7735> [東証P]、アドバンテスト <6857> [東証P]など半導体関連の決算、株価の動向はチェックしておきたい。

(10月28日 記/次回は11月27日配信予定)

■和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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