今週の【早わかり株式市況】3週ぶり下落、米景気に先行き懸念が浮上
1.日経平均は3週ぶり下落、米景気懸念高まる
2.週初は楽観ムード、欧米のインフレ鈍化で
3.米経済指標受け地合い一変、原油市況の高騰も
4.ディフェンシブ銘柄に底堅さ、電力・医薬品など
5.米休場と雇用統計控え、週末は様子見姿勢強まる
■週間 市場概況
今週の東京株式市場で日経平均株価は前週末比523円(1.9%)安の2万7518円と、3週ぶりに下落した。
今週は、週半ばを境に相場の地合いが一変した。週初は欧米のインフレ鈍化が好感され楽観ムードが漂っていたが、米経済指標の悪化を受けて一転、米国景気の減速懸念が浮上。週後半は売り圧力の強い展開を余儀なくされた。
新年度相場入りとなった3日(月)の東京株式市場は総じて買いが優勢となり、幸先の良いスタートを切った。インフレ指標の鈍化を受けて前週末の欧米株市場が高く、これが投資家のセンチメントを強気に傾けた。プライム市場全体の8割近い銘柄が値上がりした。4日(火)も買い優勢の展開が継続。ただ、米経済指標をきっかけとする米国景気の先行き懸念が浮上していたこともあり、上値は重かった。鉄鋼株のほか、小売りやサービスなど内需関連株が総じて下落、一方で原油市況の高騰により資源関連株や海運株が上昇した。一転、5日(水)は大きく売りが先行し、日経平均は一時500円超の下げで2万8000円台を一気に割り込んだ。前日の米株市場で経済指標を手掛かりに改めて景気減速懸念が高まり、NYダウやナスダック総合株価指数が下落。米株安に加え、為替市場での円高も重なり、東京市場はリスク回避の動きが強まった。6日(木)も引き続きリスク回避の地合いに。日経平均は大幅続落し、2万7000円台前半まで水準を切り下げた。全般買い手控えムードではあったものの、そのなかで電力株や医薬品株などディフェンシブ銘柄の一角が底堅さをみせた。7日(金)の東京市場はようやく反発。前日までの下落の反動で値ごろ感からの買いが入った。ただ、この日は日本時間夜に米雇用統計の発表が控えていたほか、米株市場が祝日で休場となることもあり、買い一巡後は様子見姿勢が強まった。
■来週のポイント
来週は、米国の景気後退懸念から積極的な買いは入りづらい展開となりそうだ。日経平均株価は下落局面では押し目買いも期待できるが、2万8000円台乗せのような上昇気流は望み薄と思われる。12日に発表される米3月消費者物価指数や14日発表の米3月小売売上高など、米国指標の発表に注目が集まるだろう。
重要イベントとしては、国内では10日に行われる植田日銀新総裁の就任会見、12日朝に発表される2月機械受注が注目される。海外では上記の米経済指標のほか、11日に発表される中国3月の消費者物価指数と生産者物価指数、13日発表の中国3月貿易収支に注視が必要だろう。
■日々の動き(4月3日~4月7日)
【↑】 4月 3日(月)―― 続伸、欧米株高を受けリスク選好の買いが優勢
日経平均 28188.15( +146.67) 売買高11億7975万株 売買代金 2兆8278億円
【↑】 4月 4日(火)―― 3日続伸、資源関連が上昇も上値は重い
日経平均 28287.42( +99.27) 売買高11億6147万株 売買代金 2兆8866億円
【↓】 4月 5日(水)―― 4日ぶり急反落、米株安を受け2万8000円台割れ
日経平均 27813.26( -474.16) 売買高11億6563万株 売買代金 2兆8161億円
【↓】 4月 6日(木)―― 大幅続落、米景気の先行き懸念で売り優勢
日経平均 27472.63( -340.63) 売買高11億4651万株 売買代金 2兆8165億円
【↑】 4月 7日(金)―― 3日ぶり反発、米雇用統計を控え様子見姿勢
日経平均 27518.31( +45.68) 売買高8億2049万株 売買代金 1兆9995億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、26業種が値下がり
(2)下落率トップは日本製鉄 <5401> など鉄鋼。信越化 <4063> など化学、住友電 <5802> など非鉄といった素材株は大きく売られた
(3)コマツ <6301> など機械、アドテスト <6857> など電機、トヨタ <7203> など自動車といった輸出株も大幅安
(4)内需株も安い。セブン&アイ <3382> など小売、トランコム <9058> など倉庫・運輸の下落率が大きい
(5)金融株は野村 <8604> など証券が軟調の一方、みずほFG <8411> など銀行が買われた
(6)原油市況の高騰を受け郵船 <9101> など海運が上昇率トップ。INPEX <1605> など鉱業も高い
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)
1(16) 水素 ── 水素基本戦略6年ぶり改定で再脚光
2(1) 人工知能
3(7) パワー半導体
4(13) インバウンド
5(2) 半導体
※カッコは前週の順位
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