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金は戻りを売られる、米イラン停戦の行方は不透明 <コモディティ特集>

特集
2026年4月22日 13時30分

金(ゴールド)の現物相場は、イラン戦争の長期化見通しを受けて3月に昨年11月以来の安値4103ドルをつけ、テクニカル面で中長期の節目となる200日移動平均線を試したが、トランプ米大統領が早期撤退を示唆したことなどを受けて下げ一服となった。

米大統領はイランに「停戦合意に応じなければ橋や発電所を攻撃する」と警告したが、イランが拒否したため、米大統領は攻撃期限を延長しながら脅しを繰り返した。4月7日、パキスタンの仲介で2週間の停戦合意が成立し、11~12日にかけて停戦協議が実施されたが、交渉は決裂。ただその後、米軍がホルムズ海峡を封鎖したことで協議再開に向けた動きが出た。協議再開期待に加え、イランのアラグチ外相がレバノンでの停戦合意を受けてホルムズ海峡を開放すると述べると、金は4882ドル台まで戻した。

協議再開にむけてイランは代表団をイスラマバードに送る可能性が伝えられた。しかし、イランのガリバフ国会議長が「米大統領は降伏のテーブルに変えようとしている」との見方を示し停戦協議の欠席を通知。これにより金は戻りを売られた。米大統領は停戦延長を発表したが、協議の行方は不透明である。

イラン戦争について米国は当初、イランの弾道ミサイル排除や海軍破壊、核兵器開発の放棄、テロ組織への武器・資金の提供停止という4つの目標を示していた。初日に最高指導者ハメネイ師や軍幹部を排除し、イラン戦争は短期間で終結するとの見方もあった。しかし、イランはイラク戦争などを教訓として、幹部が排除されても対処できる組織を構築しており、抵抗が続いた。米軍は制空権を確保したとみられるが、イランの新防空システムで戦闘機が撃墜されてもいる。

初回の停戦協議では核開発などで大きな隔たりがあることが明らかとなった。米国はイランの核濃縮作業を20年間停止することを要求したが、イランは3~5年に制限することを主張した。米国が妥協しないかぎり、停戦協議はまとまらないとみられる。

●米FRBはインフレと景気後退懸念で難しい判断

3月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.3%上昇し、前月の2.4%上昇から伸びが加速した。前月比では0.9%上昇と、前月の0.3%上昇から伸びが加速し、2022年6月以来の大幅な伸びとなった。イラン戦争によるエネルギー価格上昇や関税による物価押し上げが背景にある。ガソリンの小売価格が4ドル台で高止まりしており、米大統領の支持率低下につながっていることは停戦合意を急ぐ要因になっている。

一方、3月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万8000人増加した。医療従事者のストライキ終結などを受けて前月の落ち込みから回復したが、イラン戦争の長期化で労働市場の下振れリスクが高まった。3月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でインフレ高止まりを受けて利下げが必要になるとの見方も出たが、イラン戦争の長期化で景気後退も懸念され、当面は様子見を維持するとみられている。

●イラン戦争の終結期待で金ETFに投資資金が戻る

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、4月20日に1060.62トン(3月末1046.13トン)となった。イラン戦争の終結期待などを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは4月14日時点で16万2526枚(前週15万6305枚)となった。イラン戦争の終結期待を受けて相場は戻り歩調だが、TACO(トランプはいつも尻込みする)トレードが意識されるなか、逆張りの動きとなっている。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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