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AI・半導体株高で「ピースラリー」加速、インテルが導く逆襲の咆哮 <株探トップ特集>

特集
2026年4月18日 19時30分

―米SOX指数は最高値圏に浮上、中東停戦合意とマスク氏の巨大構想で潮目は急変―

市場はイラン紛争の終結を織り込みつつある。ハイテク株への選好姿勢が強まるなかで、米国ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が今週、史上最高値圏に浮上し、日経平均株価も16日に過去最高値を更新した。半導体株の上昇を牽引する銘柄として指摘されているのが米インテル<INTC>であり、東京市場でも初配当の検討が報じられたキオクシアホールディングス <285A> [東証P]が賑わっている。市場を揺り動かしているAI・半導体株の逆襲劇を詳解する。

●米国株の起爆剤となった「テラファブ・プロジェクト」

世界経済は歴史的な転換点を迎えている。4月8日、パキスタンの仲介による米国・イスラエル対イランの「2週間の停戦合意」が報じられ、中東における全面戦争の危機が一旦の小康状態に入った。地政学的リスクを嫌気してVIX指数が一時35を超えるなど、ボラティリティを高めていたマーケットは、これを受けて一気に「戦争終結相場(ピースラリー)」へと舵を切った。特にその象徴となっているのが、米国の半導体関連株である。

この停戦合意はあくまで2週間の時限的なものであるものの、トランプ政権の外交交渉が具体的に結実したことで、投資家のマインドは「最悪期の脱出」を確信したのだろう。株価反転は「買い戻し(ショート・カバー)」との見方もあるが、株価指数はマドを開けて上昇するなど強いモメンタムを感じさせるものとなっている。東京株式市場に至っては商いを伴っていることから、腰の入った買いが流入したことを物語っている。

劇的な復活を遂げている代表例がインテルであろう。4月に入ってからの株価上昇率は個別の材料もあって16日時点で前月末比約55%と、同期間のSOX指数の上昇率(約23%)を上回っている。インテルは長年、製造プロセスの遅れとファウンドリー事業の赤字に苦しんできたが、7日にイーロン・マスク氏が提唱する超巨大半導体コンプレックス「テラファブ・プロジェクト」への参画を電撃発表した。半導体製造の全プロセスを1カ所に集約するという同プロジェクトにおいて、インテルはロボティクスやAIデータセンター向けの次世代プロセッサーを製造するという。

これまで「エヌビディア<NVDA>一強」に甘んじてきた市場にとって、テスラ<TSLA>や宇宙開発のスペースX、その傘下にあるAI開発のxAIを束ねる巨大プロジェクトの製造パートナーにインテルが選ばれたことは、大きなインパクトを持つ。テキサス州オースティンで計画されているこのプロジェクトは、インテルの最先端プロセス「18A」をベースにするものと見られている。インテルのファウンドリー事業にとって「アンカー・カスタマー(大口顧客)」を確定させた格好だ。2025年まで「負け組」の烙印を押されていたインテルが、マスクという最強のパトロンを得たことで、猛烈な見直し買いが入っているのである。

●キオクシアの初配当報道と指数採用も刺激材料に

東京市場ではキオクシアの株価が4月に入って前月末比一時93%高と気を吐いた。IPOの延期を経て、24年末にようやく上場を果たした同社は、26年4月から日経平均の構成銘柄に採用された。上場来初の配当実施の検討も報じられ、「利益を再投資に回さざるを得ない不安定なメモリー銘柄」と見なされてきたキオクシアの評価は一変。半導体メモリー市況の高騰と、AIデータセンター向けのNAND型フラッシュメモリーの需要爆発が、同社のキャッシュフローを劇的に改善させるものとして期待されるようになった。

あらためて半導体株への資金流入の背景を考察すると、いくつかの理由が挙げられる。まずは地政学リスクの「織り込み済み」化である。イラン紛争中に拡大したサプライチェーンの寸断懸念が、ピースラリーとともに後退することになった。サプライチェーンの正常化は、特にインテルやキオクシアなど製造拠点を自社で保有する「IDM(垂直統合型)」のメーカー、大規模な設備投資を必要とするメーカーにとって、業績のダウンサイドリスクの低下を意味する。

加えて、「テラファブ・プロジェクト」は、AIが単なる「モデル開発」から「ロボティクス」や「エッジ端末」への実装段階に入ったことを想起させるものである。高性能GPU(画像処理半導体)にとどまらず、汎用プロセッサーや大容量メモリーなどの「量」が必要とされる時代が到来するというシナリオに立てば、これらを製品群に持つ企業の評価が切り上がることになる。

半導体セクターは一部の銘柄が集中して物色される傾向を強めてきたが、インテルのテラファブ参画は日本の装置・材料メーカーにとっても巨大な商機となる。具体的には、インテルの18Aプロセスに不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置向けの検査装置を供給するレーザーテック <6920> [東証P]や、次世代パッケージに対応するイビデン <4062> [東証P]への再評価が進むだろう。前述の通り「量」が必要とされる時代においては、 半導体関連株のなかで相対的に出遅れていた銘柄が見直され、「格差縮小」が進む可能性もある。こうした観点で注目銘柄をいくつかピックアップしていく。

●トムソンや平河ヒューテなどに注目

日本トムソン <6480> [東証P]は直動案内機器やニードルベアリングを手掛け、半導体製造装置向けに展開。26年3月期第3四半期累計(4~12月)の経常利益は前年同期比2.4倍の31億4200万円で、通期計画に対し進捗率は98.2%と肉薄する。25年10~12月期の受注高は前四半期比で14.7%増と大きく伸びた。PBR(株価純資産倍率)は0.8倍台にとどまっており、バリュー系半導体関連銘柄として投資妙味を感じさせる。

電線や放送・ネットワーク機器などを手掛ける平河ヒューテック <5821> [東証P]は、AIの普及に伴う高速大容量・高信頼性ケーブルの需要拡大が期待されている。半導体関連では検査装置向けの売り上げが増加し、25年4~12月期は営業利益が前年同期比2.1倍の34億9700万円と急拡大。通期業績の上振れ着地に期待が膨らむ。

富士紡ホールディングス <3104> [東証P]は繊維や化学工業品事業とともに、超精密加工用の研磨材を展開。半導体製造の前工程となるCMP(平坦化)工程で使用される研磨パッド市場において、ソフトパッド分野では業界トップシェアを誇る。1月に中期経営計画を発表。最終年度の31年3月期に売上高650億円(26年3月期予想454億円)、営業利益130億円(同75億円)に伸ばす目標を掲げた。研磨材事業を主力ドライバーとして営業利益率の更なる向上を図る方針だ。旧村上ファンド関係者が運営するシンガポール拠点のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントは富士紡HD株式の20%弱を保有している。

ミナトホールディングス <6862> [東証S]は好実態の半導体メモリー関連株。ROM書き込みサービスやタッチパネル、デジタルサイネージにも展開し、M&Aを活用して事業規模の拡大にまい進する。需給逼迫を背景としたメモリー価格の高騰が話題となって久しいが、同社もこれを追い風とし、26年3月期の業績予想について今年3月に3度目の上方修正を行った。5月12日に公表予定の27年3月期業績予想の水準が注目されるところだが、株価は直近で5日移動平均線と25日移動平均線がゴールデンクロスを形成している。

フジミインコーポレーテッド <5384> [東証P]はウエハーの研磨材で世界シェアトップ。台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>などと取引関係を構築してきた。積極的な設備投資を実施し生産能力の増強に注力。中期的な成長に向け布石を打った同社の株価は年始から2月末まで好パフォーマンスをみせていたが、イランを巡る軍事衝突を機にした全体相場の調整に連れる形で下押し圧力が高まった。需給調整が一服した後、見直し機運が高まるか注視される。

株探ニュース

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