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「人的資本経営」の潮流は不可逆的、好実態の人材関連株に再脚光 <株探トップ特集>

特集
2026年4月21日 19時30分

―春闘の賃上げ率3年連続5%台なるか、労働力希少社会で躍動期待の銘柄群―

日本企業が人的資本経営を活発化させている。中東情勢を巡る不確実性が高まり、資源価格の上昇によるコスト増加懸念が台頭しているにもかかわらず、今年の春季労使交渉(春闘)において賃上げ率は5%を超える高水準を継続すると期待されている。労働力希少社会が到来するなかで有能な人材を確保すべく、福利厚生の拡充に取り組む企業が相次いでいるほか、変化の激しい現代社会でのキャリア形成の一環として、 リスキリング支援を活用する人も増えている。今回の株探トップ特集では成長が続く 人材関連サービスに焦点を当て、好実態の上場企業をピックアップしていく。

●労働力希少社会到来で高まる人的資本獲得・定着の重要性

日本の現役世代がこれまで経験をしたことがないような高水準の賃上げ環境が続いている。連合が17日に発表した2026年の春闘の第4回回答集計によると、賃上げ率は5.08%となり、24年を起点とする3年連続の5%台での着地が視野に入っている。内訳をみると300人以上の企業での賃上げ率5.10%に対し、300人未満の企業では4.84%。大企業と中小企業の賃上げ余力にはそもそも格差が存在するものではあるが、中小企業でも高い賃上げ率を示さなければ、人材確保が困難な状況となっている。

賃上げは本来、消費の活性化につながるものとされる。だが実際に日本経済に浮揚力を与えるものとなるかは未知数だ。厚生労働省が8日に発表した2月の毎月勤労統計(速報)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.9%増と2カ月連続でのプラスとなった。ただし電気代やガス代の補助政策による物価押し下げ効果によるところが大きく、イランでの軍事衝突やホルムズ海峡の封鎖を背景としたインフレ圧力の高まりが警戒されるなかにあって、実質賃金がプラス圏を維持できるかは予断を持って語ることは難しい。手取り収入の伸びが見込めないなかでは、消費者も生活防衛的な行動を取らざるを得なくなる。

労働者が収入を増やすための選択肢の一つとなるのが、今よりも好待遇の職場に自らを売り込み、転職をすることである。待遇というのは収入だけの話ではない。福利厚生や働き方に関わる部分も、転職活動をする際の重要なポイントとなっていく。26年度の税制改正で、4月1日に企業による従業員への食事補助の非課税限度額が42年ぶりに引き上げられたことが話題となったが、都心で働くビジネスパーソンにとって昼食代の価格高騰は頭の痛い問題であるだけに、補助の増額や社員食堂の整備といった取り組みが今後、拡大することが期待されている。人的資源の充実が困難ななかでは、従業員のエンゲージメントを高めてパフォーマンスを向上させる戦略の立案・実行も迫られることとなる。

人材面での投資余力が限られる企業のうち、AIの活用やDXによる生産性の向上にも取り組めない企業は、必然的に事業活動の継続自体が困難なものとなっていく。実際に「人手不足倒産」に至った中小零細企業は増加している。産業界の新陳代謝が促されるなかにあって、従業員側がより魅力的な職場に活躍の場を転じるには、転職支援サービスだけでなく、新たな職場で活躍できるスキルを獲得するためのリスキリング支援サービスの活用も、求められていくこととなるだろう。

株式市場において人材関連サービスを提供する主要銘柄には、転職サイトを運営するリクルートホールディングス <6098> [東証P]やパーソルホールディングス <2181> [東証P]、人材紹介のジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]などがある。人材派遣で成長したパソナグループ <2168> [東証P]や技術者派遣のメイテックグループホールディングス <9744> [東証P]なども加わることになるだろう。このほか、HRテック領域を主力とする企業や、特定領域に特化した人材紹介サービスを提供する企業もある。以下に、人的資本投資の追い風を受けて躍進が期待できる銘柄をリストアップしていく。

●人材関連サービス提供の有望5銘柄選抜

ビジョナル <4194> [東証P]はハイクラス転職サイト「ビズリーチ」を展開。25年1月には社内スカウトで人材流出を防ぐ「社内版ビズリーチbyHRMOS」をローンチした。26年7月期は過去最高業績の連続更新に向け、1月中間期連結営業利益の進捗率が約55%と堅調に推移。日系企業においてダイレクトリクルーティングの浸透が進むなか、同社のサービスを導入する企業が増えている。SaaS関連株として年明け以降に調整色を強めたが、3月に下げ止まり、7000円どころで下値抵抗力を示している。

ワンキャリア <4377> [東証G]は就活・転職支援サービスや企業向け採用DX支援サービスを提供。26年12月期の通期連結業績予想は売上高が105億円(前期比38.6%増)、営業利益が30億円(同41.0%増)と高成長・連続最高益更新を見込む。新卒採用事業で得た強固な会員基盤や顧客基盤を、中途採用事業でも活用することにより事業シナジーの最大化を図る方針だ。200日移動平均線を下回る足もとの株価水準は値頃感を意識させる。

リンクアンドモチベーション <2170> [東証P]は組織運営や人事などに関するコンサルティングを展開。組織改善プラットフォーム「モチベーションクラウド」を提供する。組織の診断から変革までワンストップで支援する体制を構築し、従業員のエンゲージメント向上に向けた課題解決に注力。採用領域でも新たなサービスを投入するなど攻めの姿勢をみせ、30年12月期に営業利益を150億円(25年12月期は42億400万円)に拡大する野心的な目標を掲げている。3月末以降に株価は一時的に動意づき、過熱感を冷ます過程に入ったが、株価500円台で好取組とあって、投資妙味を感じさせる。

プラスアルファ・コンサルティング <4071> [東証P]はデータに基づく人材活用やリスキリングの推進などを目的に導入されるシステム「タレントパレット」を主力とする。26年9月期第1四半期(25年10~12月)の連結営業利益は前年同期比49.5%増の16億7600万円と大きく成長。タレントパレットでエンタープライズ企業を中心に新規顧客を獲得したうえ、既存顧客の上位プランへの移行と有償オプションの浸透も進んだ。株価は昨年8月14日につけた52週高値から2月16日につけた年初来安値までの下落幅に対し、3月に半値戻しを達成。その後は一進一退の動きとなっている。75日移動平均線近辺での売り物をこなして反騰機運を高められるか注目したい。

スタメン <4019> [東証G]は人材定着や情報共有を促進するエンゲージメントプラットフォーム「TUNAG」(ツナグ)を提供。26年12月期の連結業績予想は、売上高51億5500万円(前期比35.0%増)、営業利益4億円(同37.4%増)とする。販売パートナーの開拓、エンタープライズ企業や物流業界などへの営業を強化するとともに、解約率の低下と顧客単価の向上を図る構え。株価は25日移動平均線に触れた後に反発し、きょう75日移動平均線を上抜いた。上昇トレンド入りへの期待感が高まっている。

株探ニュース

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