来週の相場で注目すべき3つのポイント:イラン和平協議の行方、米中首脳会談、国内外主要企業決算発表
■株式相場見通し
予想レンジ:上限65000円-下限62000円
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比12.19ドル高の49609.16ドル、ナスダックは同440.88ポイント高の26247.08で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値920円高の63760円。米国とイランの和平協議への不透明感が上値を抑えたものの、4月雇用統計では雇用者数が市場予想を上回る増加となって買い安心感が広がった。なお、半導体株の勢いが止まらず、ナスダックの上昇幅が大きくなっている。
5日から6日にかけて米SOX指数は2営業日で8.9%の大幅高となり、さらに今週末も5.5%高と急伸。4月以降今週末まで、実に55%も上昇している。4月29日にはハイパースケーラー4社の決算発表が集中したが、一部で警戒されたほど株式市場全体に与えるネガティブ影響が乏しかったことで、一段の買い安心感につながった面もあろう。ただ、例年に比べても高水準とされてきた米国の税還付は近く一巡することになり、集中して買われてきた半導体株は、目先的に買われ過ぎの反動が顕在化するリスクは拭い切れない。今後、14日にはアプライド・マテリアルズ、20日にはエヌビディアが決算発表を予定している。期待感先行の可能性は高いものの、決算発表後の株価動向にはいったん警戒を強めておくべきと判断する。
8日には米国とイランの間で再び軍事衝突が発生し、戦争が早期に終結するとの期待がやや後退する状況となるなど、中東情勢の不透明感は依然として強い状況にある。ただ、来週には米中首脳会談の開催が予定されており、この前後では状況改善に向けた流れが強まるとの期待は高いと考えられる。仮に、首脳会談後も中東情勢に変化がみられなければ、戦争の長期化リスクが一気に強まる公算は大きいだろう。この場合、原油高や資材調達難による業績への影響が強く意識されることになっていこう。ちなみに、現在の株式市場は戦争の早期終結期待が反映されている印象が強く、戦争終結に伴うポジティブインパクトは早い段階で収まってしまう可能性も高いといえよう。
国内では、来週も主要企業の決算発表が目白押し。11日には、JX金属<5016>、イビデン<4062>、住友鉱<5713>、12日には三菱重<7011>、住友電<5802>、古河電<5801>、川崎重<7012>、13日にはソフトバンクG<9984>、三井住友<8316>、レゾナック<4004>、三井金属<5706>、SCREEN<7735>、14日にはフジクラ<5803>、SMC<6273>、大成建<1801>、15日にはキオクシア<285A>、三菱UFJ<8306>などが発表を予定。大手電線株を中心としたAI関連株のほか、AI・半導体からの資金の受け皿となり得る防衛関連株の決算などが特に注目されよう。一方、建設株のほか、タイヤや化学株など、資材不足、資材価格高騰の影響が懸念されるセクターのガイダンスには注意したいところ。
今週末の取引時間中に決算を発表したトヨタ<7203>は、減益ガイダンスが嫌気されて売りが先行、足下の円安一服も重なって、自動車関連には幅広くマイナスの影響が想定される。また、任天堂<7974>も減益・減配ガイダンスを受けて時間外取引では売りが先行、全般的な材料価格上昇のマイナス影響を意識させることになろう。決算発表のタイミングが遅い企業ほど、中東情勢リスクの長期化、円安基調の一服がガイダンスに反映されてくる余地が大きいとみられることには注意。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米国とイランの停戦は継続、和平協議への注目が続いている。今後の両国による歩み寄りで地域の安定化が期待されるが、不透明感は完全には払しょくされておらず、リスク選好的なドル買いがただちに弱まる状況ではないとみられる。また、足下の米経済指標でインフレ圧力が顕著になり、連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制的な政策スタンスを示唆している。来週発表される米4月消費者物価コア指数(CPI)が市場予想を上回った場合、ドル買いに振れやすい。
ただ、市場参加者の間では、日本の為替介入への警戒感は消えていない。先月末にはドル・円が160円台後半から失速し、155円付近に急落する場面があった。この間、日本政府は大規模な為替介入に踏み切ったとみられ、目先的に投機的な米ドル買い・円売りは抑制されやすい。
■来週の注目スケジュール
5月11日(月):米・中古住宅販売件数(4月)、中・消費者物価指数(4月)、中・生産者物価指数(4月)、中・資金調達総額(4月、15日までに)、中・マネーサプライ(4月、15日までに)、中・元建て新規貸出残高(4月、15日までに)など
5月12日(火):日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27・28日分)、家計支出(3月)、景気一致指数(3月)、景気先行CI指数(3月)、連合が26年春季生活闘争(春闘)の第5回回答集計結果公表、米・消費者物価コア指数(4月)、米・財政収支(4月)、独・CPI(4月)、独・ZEW期待指数(5月)など
5月13日(水):国際収支(経常収支)(3月)、銀行貸出動向(含信金前年比)(4月)、貸出動向 銀行計(4月)、景気ウォッチャー調査 現状判断(4月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断(4月)、黒田東彦前日銀総裁が講演、米・生産者物価コア指数(4月)、欧・ユーロ圏GDP改定値(1-3月)、欧・ユーロ圏鉱工業生産指数(3月)、石油輸出国機構(OPEC)月報など
5月14日(木):中・トランプ米大統領が訪問(北京、15日まで)、対外・対内証券投資(先週)、マネーストック(4月)、増一行日銀審議委員が講演、米・小売売上高(4月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・輸入物価指数(4月)、米・企業在庫(3月)、英・GDP速報値(1-3月)、英・鉱工業生産指数(3月)、英・商品貿易収支(3月)など
5月15日(金):国内企業物価指数(4月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(5月)、米・鉱工業生産指数(4月)、米・パウエルFRB議長が任期満了、中・経常収支速報(1-3月)、欧・欧州中央銀行(ECB)経済報告、露・GDP(1-3月)など
5月16日(土):氷見野良三日銀副総裁が講演など
《YU》